◆今作におけるピーターパンは、ウェンディにとってどのような存在だと思いますか?
ウェンディの想像の中の登場人物なのかなと思います。それはピーターに限らず、フック船長も同じで。その中でも、ピーターはウェンディが思う理想のヒーローであり、目の前に現れて欲しい人物の象徴なのかなと。と言うのも、ジョナサンから以前、「フックはウェンディが想像する大人の男性なんだ」という演出を受けました。魅力的で、ちょっと危ない存在。その話を伺い、ウェンディと同年代のピーターは、自分を助けてくれる理想の男の子なのかなと。強くて、アグレッシブで、怖いもの知らずだけどセンシティブな一面もある。そこは、これまで描かれてきたピーターと大きな違いはないと思います。
◆そのピーターを演じるのが、ダブル主演の中島裕翔(Hey! Say! JUMP)さんです。また、フックとウェンディの父親の二役を堤真一さんが演じるなど、豪華な顔ぶれが揃っていますね。
中島さんとは初共演になります。一緒に稽古をしてみての印象になりますが、とても真面目で素直な方だなというのが演技からも感じられます。それに、身体能力がすごく高いんです! 今回の舞台には殺陣やフライングなどいろんなアクションがあるのですが、全部一発で覚えちゃう。そうしたところはまさにピーターにピッタリだなと思いながら、毎日稽古を見ています(笑)。堤さんとは今までにも何度かご一緒させていただいていて、堤さんご自身も実生活ではお父さんということもあり、安心感がありますね(笑)。子どもたちとのやりとりもとても自然で。それに、とてもユーモアのある方で、違和感なく父娘の関係が築けているように思います。
◆では、そうしたカンパニーを引っ張る上で、座長として意識されていることは?
あまり座長という自覚がなく、座長としてやれていることと言えば、差し入れするぐらいです(笑)。若い方が多いカンパニーということもあって、普段から和気あいあいとしています。作品自体もものすごくエネルギーがいるので、稽古中はみんなのパワーがみなぎっています。また、今作にはシャドウというピーターパンの影を演じる方々がいらっしゃって、シャドウの皆さんがいなかったら舞台が成り立たないと思うぐらい私たちができないフィジカルな部分を担ってくださっています。とても活気に満ちた、楽しい稽古場になっています。