岡田健史インタビュー「平九郎のことを信じながら最期を迎えました」『青天を衝け』

特集・インタビュー
2021年08月17日

現在放送中の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合ほか)で、主人公・渋沢栄一(吉沢亮)の従弟・渋沢(尾高)平九郎役を演じる岡田健史さん。

尾高家の末っ子として生まれた平九郎は、偉大な兄たちの背中を追いかけ、姉の千代(橋本愛)を心から慕う、文武両道で心優しい美青年へと成長。栄一のパリ行きにともない栄一の養子となるが、それをきっかけに幕府崩壊の動乱に巻き込まれていくという役柄だ。

そんな平九郎の最期が描かれる822日(日)第25回の放送に先駆け、岡田さんが平九郎を演じる上で感じてきたことや印象的だったシーンについて、お話をお聞きしました。

渋沢(尾高)平九郎役・岡田健史インタビュー

◆これまで約1年間、平九郎を演じてきた中で、演じる上での変化はありましたか?

変化というか、新しく気づかされたことはあります。何かが変わったのではなく、新しく発見したものが追加されていった、という感覚です。実在の人物を演じることは膨大なエネルギーを要するとともに、こんなにも濃厚に生きることができるのかという驚きもありました。

これまでは架空の人物を1から自分で作りあげていく作品に出演してきましたが、過去の実在の人物を演じるのは今回の『青天を衝け』が初めてでした。先の展開やその最期がどのようになるか分かっているからこそ、簡単には演じることができないことに気づかされました。

例えば「渋沢栄一役をやりたいです」とか、口先では簡単には言うことができますが、実際に演じるとなると全然簡単じゃないと思います。もちろん、架空の人物を作るのも難しいのですが、それとは異なる大変さがあり、命を削るというか、まさに命がけで演じることができたという手応えを感じています。

平九郎の最期のシーンの撮影の時には自然と涙があふれていました。天国で渋沢平九郎さんが「お前に演じてもらって俺はうれしい」とか思ったりしてくれたかな、という思考にいたった結果なのですが、実在の人物の最期を演じることで「こういうふうな気持ちになるんだな」と新鮮な思いでした。

◆最も印象的だったシーンは、やはり平九郎の最期のシーンでしょうか?

最期のシーンは、変な話、僕でなくても壮絶なシーンになると思います。そうではなくて、そこに至るまでの“平九郎”という人物をどのように作ってきたのか、ということこそ僕にしかできない平九郎なんだと思います。それはよしあしで計れるものではなくて、良くも悪くも僕がそれまでに作ってきた“平九郎”がそこに至ったというのがその最期のシーンではあります。

そういった意味では一番印象的なのは、第7回のシーンでしょうか。第7回では栄一と惇忠が漢詩を詠みながら藍売りの旅に出るのですが、出発前に剣道場でそれを聞いた平九郎が栄一に「へぇ。詩かぁ。いいなぁ」とひと言こぼします。僕は純粋な憧れの対象である“兄ぃ”たちとの関係性を徐々にズームアップしていくことこそが、平九郎を演じる上での真骨頂であると考えていますし、平九郎の最期を演じるにあたっても、僕が考えたのは“兄ぃ”たちのことでした。
“兄ぃ”たちを慕っている平九郎の中身を濃く作っていくために一番考えて、またその後のリズムをつかむことができたこともあって、そこが一番印象に残っています。

また、平九郎の根底には憧れと同時に、「いいなぁ、兄ぃたち」という自分にはできないことをやってしまうことへのコンプレックスもどこかあるのだと思います。僕自身も幼少期に上のお兄ちゃんたちに対して感じたことでもあるのですが、大人とは違い、幼少期に感じる歳の差というのは、非常に大きいものがあると思います。自分が持っているものと年上の人たちが持っているものの違いに対するコンプレックスというのはすごく大きいと思います。

◆平九郎の最期が描かれる第25回(8月22日放送)に向けて、視聴者のみなさまへのメッセージをお願いします。

なんと言って良いか非常に難しいのですが、僕もこれまで自分が見て演じてきた平九郎のことを信じながら最期のシーンを迎えました。これまで『青天を衝け』をずっとご覧いただいている視聴者のみなさまにも、僕のことを信じて、平九郎の最期を見届けていただきたいです。

番組情報

大河ドラマ『青天を衝け』
NHK総合ほか
毎週日曜日 後8・00~8・45ほか

WEB

番組HP:https://www.nhk.or.jp/seiten/
番組Twitter:https://twitter.com/nhk_seiten
番組Instagram:https://www.instagram.com/nhk_seiten/

この番組の写真

©NHK

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