脚本・演出を映画監督の橋口亮輔、三浦大輔、大九明子、谷口恒平といったそうそうたるメンバーが務めるMBSドラマ特区『初情事まであと1時間』。TVer見逃し配信の再生数ランキングでゴールデン・プライム帯全国ネットドラマと並びトップ3にランクインするなど話題沸騰中だ。9月9日(木)放送の最終話「鍋の中」に出演する細田佳央太さん、大友花恋さんに撮影が終わっての感想や、役との共通点を語ってもらいました。
◆お2人が出演する「鍋の中」は橋口亮輔監督が演出を務められました。橋口監督との撮影はいかがでしたか?
細田佳央太:細かく丁寧に演出や、その人の心情を教えてくださいました。撮影前に1度だけリハーサルをしたんですが、僕が演じる相良君には、熱量がありすぎて思いがあふれてしまうようなせりふがあるんです。そういうせりふは「こういう感じで」と具体的に、何を伝えたらいいのかを教えてくださって。怒涛の撮影期間だったんですが、大事なシーンはかみ砕いて説明してくださいました。
大友花恋:橋口監督ご自身がまみ子ちゃん、相良君を実際に演じてくれるんです。いつも「監督のまみ子ちゃんが一番すてきなのに! 私にもできるかな」とドキドキしながら挑戦していました。また、演出のことだけではなく、お芝居のことも一から教えてくださったので、「あ、お芝居ってこんなに楽しいものなんだ」とあらためて思いました。
◆演出以外のお芝居のこととはどんなことだったんですか?
大友:例えば「びっくりした時にすぐに反応しないのは、自分の中で一回かみ砕くからだよ」といった基本に立ち返ったところから、いろいろ教えていただきました。今回は5人での会話のシーンがとても多かったので、「会話のテンポがゆっくりにならないように」といった監督からのアドバイスもありました。
◆脚本を読んだ時の感想をお願いします。
細田:驚いたのと同時に、すごく楽しみになったんです。というのも、自分にとって会話がポンポン進んでいくようなものが初めてだったんですが、ずっとやりたかったんです。自分にこれができるかなと思いつつ、内心はすごくワクワクしていましたね。
大友:発する言葉の裏にはそれぞれの思いが込められているので、どんな思いでせりふを言っているんだろうとか、文字と映像だと受ける印象がかなり違ったので、これをどのように体現していくかを考えました。まみ子ちゃんは、いろんな見せ方ができると思ったので、どこまでまみ子ちゃんのあざとさなのか、ナチュラルな姿なのか、何度も脚本を読んで、かみ砕きました。
◆1話の中で自分のキャラクターを際立たせるのは、連続ドラマのように徐々にキャラクターを出していくものとはまた違った難しさがあると思うのですが、そういった連続ドラマとオムニバスドラマの違いや意識したことがあれば教えてください。
細田:僕は意外とそこに変に気を張ったり、意識することはなかったです。せりふ量が多いというのもあるんですが、そこから相良君がどういう人間なのかがわりと理解しやすかったですし、監督も丁寧に教えてくださったところがあるので、いつもどおりの感じでやれました。役作りのことで難しいというよりは、何かをやりながらせりふを話す難しさは感じました。基本、動きながら話すことが多かったので、食べながらとか、しょうゆを取りながらとか。日常では当たり前のことなんですけど、逆に僕はそれが難しかったです。
大友:まみ子ちゃんのキャラクターが、どこかつかめない不思議な女の子だったので、台本からイメージできる役柄を自分なりに考えて現場に向かい、実際に相手の俳優さんたちと一緒に演じてみる点では大きく変わらないです。まみ子ちゃんのテンポ感が、やっと自分の中でしっくりきたなと思えるタイミングで撮影が終わってしまって、それは連ドラと違って寂しいところではありました。1話で完結する話なので、視聴者の皆さんが役のキャラクターをずっと追えない分、はっきりと見せることができたら、見ている人も分かりやすいかなという思いが頭の片隅にありました。
◆お2人が感じたそれぞれのキャラクターの魅力、チャームポイント、共感したところなどを教えてください。
細田:相良君の一番の核というか、チャームポイントは、好きなものに対する熱量を持っていることだと思います。自分の好きなものに真っすぐで一生懸命になれるっていうところを見ていただく方に、共感していただけたらなと思います。
大友:まみ子ちゃんは自分のスタンスが絶対に揺るがない子です。誰にどう思われようと自分自身を変えることはないですし、自分がいいと思ってることは行動に移す。それが別に悪いことだと思っていないという、自分を信じる力がすごくある子です。なので、皆さんがどのようにとらえるかは分かりませんが、自分を強く持っているまみ子ちゃんの姿は、SNSなどで自分の核が乱れがちな今の時代にすごく新鮮に映ると思います。「まみ子ちゃんがいたら面白いだろうな」と思ってもらえたらうれしいです。
◆演じるに当たって、橋口監督から何かアドバイスはありましたか?
細田:相良君が堀北真希さんの魅力を伝えるところとかは、何度かリハーサルをしたんですが、その時に「お芝居は毎回一緒にならなくていい」と言われました。相良君が思ってる“堀北真希がすごいんだ”っていう熱量を伝えてほしいとのことだったんです。こう動いてほしいというよりは、その人のその時の感情を第一に優先してくださいました。
大友:最初に「まみ子ちゃんはあざとくなくていいよ」と言われました。まみ子ちゃんはいろいろと考えて行動しているし、受け取り手によってはさまざまな見え方をする子だけれど、あざとい女の子のイメージではないんだっていうのを最初に言っていただいたので、そこから自分の中のまみ子ちゃんのイメージが見えてきました。
◆今回、お2人は初共演となりました。お互いの印象を教えてください。
細田:大友さんご自身も言っていましたが、まみ子ちゃんというキャラクターは、めちゃくちゃ難しいと思うんです。役として、嫌われたりするのって仕方ないことではあると思うんですけど、正直、人に嫌われるって嫌じゃないですか。それに正面からまみ子ちゃんに向き合ってたところがすごいなって思いましたし、監督から言われた難しい演出にも即座に対応されていたので、見習わなきゃいけないところだなと思いました。
大友:佳央太君は、最初から最後までずっと完璧な相良君でした。私が佳央太君の横で監督に演出をつけていただいて、どのように演じようかと考えてる時も、相良君として変わらずにそばにいてくれたのですごく心強かったです。短い撮影期間で、みんなの集中力が高まり、緊張感がある中でも、柔らかい雰囲気のままでいてくれたので、佳央太君のおかげで現場の雰囲気がとても和らいでいました。
◆お2人だけが通じ合っていたような空気感を感じましたが、短い撮影の間でその空気感はどうやって作り出しましたか?
細田:それは、大友さんが演じるまみ子に相良君がひかれていったからだと思います…。
大友:お芝居をする上でとても信頼していたので、一緒に頑張ろうという思いがありました。撮影の合間の待ち時間、待合室に椅子を用意してくださっていたのですが、なぜか佳央太君は部屋の隅で地べたに座っていたんです。その姿を見て、私も地べたに座ってみたりしました(笑)。
細田:その時、すごくびっくりしました(笑)。僕はただ単純に年下だからと思って座らなかっただけなんですけど…(苦笑)。
◆もしお互いが演じたキャラクターを交換して演じることになったら、どう演じますか?
細田:間違いなく大友さんのまみ子に引っ張られる気がします…。何も知らないでやるのと、本当にまみ子を見せられてからだと、なかなか難しいですね。
大友:私は絶対に佳央太君のようには演じられません。相良君はいい子だし、すてきな青年でありながら、ピュア。でも、そのピュアさが強すぎて、見ていてまぶしいんです。あんなに雑念なく体現できるのは佳央太君だけだと思うので、私は同じようにすてきな相良君を演じられる自信がないです…。
◆作品にかけて、初めて体験したこと、初めて挑戦したことを教えてください。
細田:作品で体づくりをしたんです。体重を減らすことは今までもやっていたんですが、増やすことは初めてで。増やすタイミングの時、たまたま体を動かさなきゃいけない時期と重なっていたので、ジャンル関係なく、麺、米、デザート、お菓子と何でも食べていました。未成年なのでお酒が飲めないので、そういう太り方をしていましたね。体重を増やすのと減らすのとどっちも経験した今、どちらが大変かと聞かれると、僕は増やす方が大変だなと思いました。増やした分を戻す時がしんどくて…。今、食事管理と、この間久しぶりに走りに行ったら、筋肉痛になりまして(苦笑)。それでやっと半分まで戻りました。
大友:初めての体験とは意味が違うかもしれませんが…私は今、人生で一番髪の毛が長いです。ここまで髪の毛を伸ばしたことがなかったので、毎日初めての長さを更新している状況です。夏の暑さと、髪の毛を乾かすときのドライヤーの熱さと毎日戦いながら、切りたい衝動を何とか堪えています(笑)。せっかくの長さなので何かお仕事につながったらうれしいです。
◆作中に、相良が映画について熱弁するシーンがあります。お2人が思わず熱弁してしまうほど、好きなことはありますか?
細田:「バスケットボール」と「ポケモン」なら! ヒーローとかじゃなくて、ポケモンのアニメやゲームで育ってきたので、その分、わりと話せることもあるんですけど、それと同じくらいNBA、アメリカのバスケットリーグのこととかも結構話せます。その2つしかないですけど(笑)。
大友:一番好きなポケモンのキャラクターはいますか?
細田:サザンドラっていうポケモンがいて。ただ、これを話し出したら止まらなくなるから、言っておくだけにするんですけど(笑)。見た目がカッコよくて、小学5年生の僕がひと目ぼれしたポケモンです。
◆大友さんはいかがですか?
大友:私はディズニーが好きです。映画はもちろん、パークで遊ぶことも好きで、ディズニーのアトラクションのバックボーンを調べたりもしますし、それぞれのレストランのメニューや、どこの会社が提供しているかを調べて覚えたりもしています! なので、理想のプランを考えるのは得意だと思います!
細田:ちょうど絶叫系をディズニーから克服しようとしてるので、教えてください!
大友:「スプラッシュ・マウンテン」から乗ってみるといいと思います。
細田:「スプラッシュ・マウンテン」は乗れました! ディズニーシーがちょっと怖いんですよね…。
大友:ディズニーシーのアトラクションは、ちょっと激しくなりますよね。「インディ・ジョーンズ®・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮」から乗ってみるのはどうですか?
細田:いいですね! ぜひ乗ってみたいと思います。
◆もしお2人が芸能界に入っていなかったら、どんな職業についていたと思いますか?
大友:ちょうどそのようなお話をおとといしていました(笑)。今は難しいですけど、海外でおにぎり屋さんをやってみたいです。ご飯を作るのが好きで、おにぎりっていう日本のすてきな文化を海外の人にいっぱい伝えたいなと思って、私が好きなおにぎりの具についてや、どんなおにぎりがみんなに喜ばれるかを周りのスタッフさんと話しているうちに、「海外でおにぎり屋さんをやろう」という話になりました。
細田:僕は今もやりたいことがいっぱいあって。YouTuberとかやりたいですし、いまだにまだプロのバスケットボール選手になれるんじゃないかってたまに思うくらい(笑)。結構やりたいことが多いんですけど、中学の時から決まっていて、俳優をやっていなかったとしても、プロデューサーとか演出部さん、撮影部さん、何でもいいから、やっぱりこの世界に触れていたいなとずっと思っていて。俳優をやっていなかったり、やめていたとしても、この世界から離れたくないなっていうはあります。
◆では、映画監督を目指す裕司の気持ちは、すんなり入ってきた?
細田:そうですね。彼ほどめちゃくちゃ熱量があるかって言われると自信はないですが、気持ちは分かります!
◆料理をするシーンも出てきました。お2人の料理の腕前は?
細田:実家暮らしではあるんですけど、母から頼まれたりした時は作ります。僕、基本パスタが好きなので、パスタしか作らないんですけど(苦笑)。
大友:この間、妹が私の家に遊びに来た時に、ハンバーグを作ったら、「お姉ちゃん、このハンバーグを作ったらモテるよ!」と言われたので、ハンバーグが得意料理なんだと思います(笑)。レシピサイトを参考にしただけなのですが、丁寧に愛情を込めて作るっていいなと思いました。
◆この作品で“挑戦”だったことは何でしょうか?
細田:先ほども言いましたが、一番は鍋を囲んでの会話劇ですかね。僕自身会話がメインで繰り広げられるお芝居の経験なかったのもありますし、食べながら、準備しながらと、動きつつ会話していくことが、総合的に考えるとそこが初めてでしたし、一番の見てほしいポイントです。
大友:私は、この「鍋の中」だけではなくて、今回の全体的なテーマが挑戦だなと思っています。それぞれのカップルの初情事に迫るという内容について、初めてお話を伺った時はびっくりしました。このような作品に挑戦するという緊張感と同時に、自分も頑張らないといけないな、というドキドキがずっとありました。
◆この作品に出演する上で女優としての覚悟や思いもありましたか?
大友:頂いた台本で、その役の人生を全うするには常に覚悟が伴うので、このようなテーマだから緊張する、ということは意外とありませんでした。最初から最後まで、まみ子ちゃんとしていられたらなと思っていました。
◆最後に、見どころをお願いします。
細田:何よりも会話から出るそれぞれの個性。それは僕らもですし、他の方々含めて、短い時間の中でもいろんな矢印が見えると思うので、それぞれの立場、視点に立って、作品を何回見ても面白いんじゃないかなって感じます。撮っている間は、気負ってやっていた人は、多分誰もいなくて。みんな本当に楽しみながら、悩みながら、怒涛の日々を過ごしていたと思うので、純粋に1つの作品として楽しんでいただきたいです。先ほど大友さんが全体的なお話をしていましたけど、各話色が違うので、これが最後にきた意味もあると思うので、それは純粋に比べるとかじゃなくて、こういうものもあるよっていう意味で楽しんでもらえたらうれしいですね。
大友:せりふの下に走っている、隠れたそれぞれの思いが交わっている作品なので、シンプルに楽しんでいただけると思いますし、見終わった後に、あれってどういうことだったんだろうと考えつつ、何度も思い返してほしい作品です。みんなで鍋を食べているシーンがありますが、鍋も食べ進めていかないと最後に何が残っているのか分からないように、タイトルから連想して楽しんでいただけたらうれしいです。普段生きている中で、他人の初情事までのあと1時間の姿を見ることってないと思うんです。その様子をのぞき見る感覚というのは、すごくドキドキするものがあると思いますし、ちょっとした背徳感みたいなものを、エンターテインメントとして皆さんに楽しんでもらえるんじゃないかと思っています。それぞれのお話でそれぞれの魅力がある中で、この「鍋の中」というお話は、他のお話と比べたら登場人物が多い分、それぞれの思いが複雑に交錯すると思うんです。それがとてもリアルで。特殊なお話の回もあると思うのですが、その中でも比較的現実的な「鍋の中」のお話を見ていただくことで、私たちはどうだったかな…と、自分自身にも投影しながら楽しんでいただける最終回になると思います。ぜひ、味わいながら見ていただけたらうれしいです。
PROFILE
細田佳央太
●ほそだ・かなた…2001年12月12日生まれ。東京都出身。A型。主な出演作に、ドラマ『FINAL CUT』『さくらの親子丼』『ドラゴン桜』『ラブファントム』、映画「町田くんの世界」「十二単衣を着た悪魔」「花束みたいな恋をした」「青葉家のテーブル」などに出演。
大友花恋
●おおとも・かれん…1999年10月9日生まれ。群馬県出身。A型。主な出演作に『チア☆ダン』『あなたの番です』『新米姉妹のふたりごはん』、映画「君の膵臓をたべたい」など。映画「あなたの番です 劇場版」が待機中。
番組情報
MBSドラマ特区『初情事まであと1時間』
MBS 毎週(木) 深0・59~
tvk 毎週(木) 後11・00~ほか
チバテレ、テレ玉、とちテレ、群馬テレビでも放送中
TVer、MBS動画イズム、GYAO!で見逃し配信1週間あり(全8話)
TELASA J:COM オンデマンドほかにて見放題独占配信(全12話)
<監督・脚本>
橋口亮輔、三浦大輔、大九明子、谷口恒平
原作:ノッツ『初情事まであと1時間』
制作プロダクション:ビデオプランニング
製作:「初情事まであと1時間」製作委員会
©「初情事まであと1時間」製作委員会
●photo/干川 修 text/田中ほのか
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2021年9月8日(水)23:59