I Don’t Like Mondays.インタビュー「僕たちっぽさを出すには楽曲がきれいになりすぎないように汚すこと」

特集・インタビュー
2021年08月24日

先日4thフルアルバム「Black Humor」をリリースしたI Don’t Like Mondays.。本作には201911月からの配信シングル曲に加え、新譜5曲を含む全17曲を収録。チルタイムにぴったりのキャッチーなメロディーラインとセクシーなサウンドが人気の“アイドラ”に本作の制作経緯をたっぷりと語ってもらいました。

◆まず、本作の制作経緯から教えてください。

YU:本来は昨年夏ごろのリリースを考えていたんですが、環境の変化から見送っていました。その間に、コロナ禍という特殊な環境下で“僕らって本当はどういうことをやりたかったんだろう”とか、“音楽を通じて何がやりたいんだろう”などと考え直すことが多くなって。今回リリースできることが決まった時に、特殊なマインドになってから作った曲を届けたい思い、今まで考えていたものから一新して「新しい自分たちとは何か」というところをより出した作品にしていきたいと思ったんです。これまでのアルバム三枚から、曲の書き方自体を変えていますし、歌詞もより日本語の重心が大きくなっています。

◆全体的な印象として、聴き手に寄り添ってくれるような、どこか近しくなったような雰囲気を感じました。

KENJI:コロナ禍になって、曲の聴き方に変化があった方も多いはずなんですよね。本作は家でじっくり音楽を聴く楽しみを見いだしたリスナーに向けた面が大きいです。

YU:僕らとしては、ライブの機会がなくなったという影響が大きかったです。今まではライブでどう聴かせるかとか、一緒に盛り上がってもらうにはどうすればいいのかということを考えて作っていましたが、物理的に機会がなくなってしまったので。イヤホンで聴くこと、家で聴けてホッと心の中に入ってくるような曲というものを意識しましたね。

◆チルな曲も増えましたよね。

CHOJI:確かに、そうですね。

YU:家の中でブチ上がるのもね、ちょっと難しいでしょうし(笑)。どちらかと言うと、心地よいサウンド作りを意識していると思います。

I Don't Like Mondays.インタビュー
YU (Vocal)

◆「Black Humor」というタイトルに込めた思いは?

YU:タイトルを付ける前に、まず突っ走ってきた今までを立ち止まって振り返る機会があって。例えば、そもそも僕らはどうしてI Don’t Like Mondays.いう名前を付けたのだろうとか。これに関しては「月曜から学校や会社に行きたくないよね」っていうアイロニーなところが気に入っているし、骨子にある反骨精神や社会を斜めから見ている自分たちを表しているんですけど。あらためて「自分たちっぽい曲って何だろう?」と考えている時に、アルバムの中心となる「MR.CLEVER」ができて、アルバムの方向性が見えてきました。「MR.CLEVER」は賢く生きていこうぜっていう曲なんですが、聴く人によれば明るく前向きな曲で、またある人にとっては社会風刺のように聴こえる。そこに、僕ら自身が自分たちらしさを感じました。笑えないことも多い社会だけど、それをジョークとして捉えられるかは自分次第。このアルバムも、リスナー次第の聴き方で感じ取ってもらえたらという思いです。

◆「MR.CLEVER」がターニングポイントという感覚があった?

YU:ありました、ありました。これまでのパーティーチューンから、より抉っていくという感覚。自分たちでも、新たな発見のあった曲です。

◆ここからは、配信シングル以外の新録曲についてご解説いただきたいのですが。

CHOJI:じゃあ俺「MOON NIGHT」にしよ。

KENJI:あ、やっぱそうだよね?

CHOJI:じゃ、一緒に語る?

KENJI:いや、いい(笑)。

◆では、CHOJIさんに「MOON NIGHT」をお願いします。

CHOJI:アルバムの中でも最後に作った曲です。ビルボード大阪でのライブ終わりの楽屋で、出来上がっていたデモをみんなで聴いた時に「なんか違うんじゃないか」ということになって、もう一回作り直すことになって。

◆ライブ終わりのテンションでそのまま?

CHOJI:そうなんです。レコーディングまで時間がない状況だったんですけど、なんだか結構楽しみながら作ったんですよね。新幹線で東京に戻って、そのまま曲作り。その日のうちに、フルコーラスが出来上がった、バンドとしても結構思い出のある曲なんです。

KENJI:聴きどころとしては?

CHOJI:既存の曲でいうと「LEMONADE」のような雰囲気。2021年らしいチル要素も含みつつ、ライブで盛り上がるような楽曲に仕上がりました。「もうやっちゃえ!」感も出てると思います。

KENJI:分かる。なんだろうね、アルバムで最後に作る曲って「好きなことやっちゃえ!」ってなるんだよね。

YU:肩の力が抜けるというか。

CHOJI:そうそう。そのあたりが反映された気楽なサウンドです。

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CHOJI (Guitar)

KENJIさんは「ノラリ・クラリ」をセレクト。

KENJI:これはシンセベースなんですけど、動かすようなベースフレーズを自分で作って、完全に決め切ってやるっていう初めての試みをしています。今までの打ち込みもシンプルなものは自分でやっていたんですけど、自分で弾いたベースラインをアレンジしてる方に「こんな感じで打ち込んでください」「ちょっとフレーズを変えてもらっても大丈夫です」というふうにお任せしていた部分も多かったんです。鍵盤でベースフレーズを決めていくっていう作業を初めてやりました。

◆音作りの新しい部分が。

KENJI:僕の中では新しい試みではありつつ、僕自身が好きな今までのI Don’t Like Mondays.らしい曲調でできたというのがうれしいところ。面白かったですよ。今、打ち込みベースの曲ってたくさん出てきていて、生っぽい音でも実は打ち込みだっていうこともありますし。一旦見つめ直して、あらためて勉強する良い機会にもなった曲だし、家で一番長く考えた時間が多い曲でもあります。

◆続いて、「独り占め」についてSHUKIさんお願いします。

SHUKI:J-POPの王道に近いものをやってみようというところからスタートした曲で。それだけやっても面白くないので、出来上がった後にいかに僕らっぽさを出していけるかっていうのを試行錯誤しました。

◆王道に落とし込んだという“I Don’t Like Mondays.っぽさ”とは?

SHUKI:やったことと言えば、きれいになりすぎないように汚していくことですね。

KENJI:そうだね。アレンジ自体も結構シンプルだし。

YU:「馬鹿」っていう曲の続編的な感じなんです。

SHUKI:「馬鹿」と「独り占め」が、ほぼ同じ時期に、同じような作り方をした曲。ピアノを中心に作っていって、ピアノとメロディーを最初に全部完成させるという作り方をしていて。普段は、途中でアレンジしつつなんですけど、そういう意味で近いものを持った2曲だと思います。アルバムの中でも挑戦的なことをしたっていう認識ですね。

I Don't Like Mondays.インタビュー
KENJI (Bass)

◆そして、バラードナンバーの「サボテン」が。

YU:これはアルバム制作の中では、かなり初期からあった曲です。

SHUKI:1、2年くらい前じゃない?

CHOJI:え、そんな昔だったっけ?

KENJI:思い出した! 5か月連続配信リリースの時、どれかをバラードにしてみようっていう候補として挙がってたんだよ。結果的に「エキストラ」に変えたけど。

YU:勢いづいている中にシングルとして出すよりも、やっぱりアルバム曲として入れたいということになってね。聴きやすいというか、バンドサウンドになじみのない人でも聴けるラブソング。僕は結構、気に入ってくれる人が多いんじゃないかと予想しています。

◆ラブソングの中でも、恋というよりは愛を歌った歌詞ですね。

YU:まさにそうです。「愛言葉」にもちょっと近くて。「愛言葉」は恋から愛へのグラデーションを歌詞にしていますが、「サボテン」は愛が育っていくところをテーマにしています。

◆ではタイトルの「Black Humor」にちなんだ質問を。メンバーの中で、一番ユーモアがある人は?

YU:ふふふ(笑)。

KENJI:いやもう、今すぐ「せーの」で言っても3人は一致しますね。

SHUKI:考える時間いらないです。

CHOJI:え、なんで? ちょっと待って。

◆皆さん、最初からCHOJIさんを見ていましたが(笑)。

YU:こんなに面白い人間、いないでしょ?

KENJI:生きざまがもうブラックユーモアだもん。

CHOJI:それはKENJIもそうじゃん。

YU:ユーモアっていう意味では断トツじゃないですか? 天然さんだから。

CHOJI:その天然さんの“さん”って嫌やなぁ。

SHUKI:(笑)。

KENJI:「そうは見えないのに」っていうのが大きいんだよ。

YU:そうそう、ギャップだよギャップ。

KENJI:ステージ上と全然違うもんね。自分でも言ってるでしょ。

CHOJI:…あのねぇ、実は俺も最近なんとなく分かってきた。

YU:自覚してきた?

CHOJI:うん。コメント動画撮ってる時とか、どこ向いていいのか分かんないんだよね。自分でも客観的に見てキョロキョロしとるなって印象はある。それはなんか違和感があった。

SHUKI:あははは!

YU:違う、そういうことじゃないと思う(笑)。

KENJIあのね、コメント撮りの時は「今なんでこれ言ったんだろう?」ってことが多いの。

YU:とりあえず質問関係なく、自分がしゃべりたいことしゃべるでしょ。

CHOJI:ああ、そうだね。しゃべりたいことをしゃべるかも。

I Don't Like Mondays.インタビュー
SHUKI (Drums)

◆ちなみに、CHOJIさん的には誰だったんですか?

CHOJI:難しいなぁ。

KENJI:自分がこれだけユーモアあるからね(笑)。

CHOJI:SHUKIもユーモアあるんすよ。

SHUKI:え、俺!?

CHOJI:でもブラックユーモアっていうならKENJIかな。ベイビーフェイスやけど、毒舌を吐くよっていう。

YU:ああ、確かに毒ある。ミスタークレバーっぽくもあるもんね。

CHOJI:そう。いろんなミスタークレバーがおるからさ。

KENJI:…みたいなことをおっしゃる感じなんですよ、CHOJIさんは(笑)。

◆(笑)。さて、9月から「I Donʻt Like Mondays. Black Humor Tour」が控えています。2020年に延期となったツアーの振替開催でもありますね。

YU:僕らにとって久しぶりのライブです。昨年はライブの機会がなかったので、楽しみでしかないですね。

KENJI:久々に全国のみんなに会えるし、できるだけいろんな人に見てほしいツアーになっています。

YU:16都市24公演、I Donʻt Like Mondays.としては最大規模です。僕自身が歌っていて楽しい曲ばかりなので、早く一緒に楽しんでほしいなと思います。

KENJI:雰囲気としては、ちょっと大人っぽい曲調が多くなる予定です。

YU:サウンドを楽しんでもらえるような、そういう音作りをしていきたいと思っているのでぜひ生音で聴いてほしいですね。

◆最後に、今後の展望を教えてください。

KENJI:コロナ禍になり、曲作りを少しずつ変えてきて、なんとなく形になってきたものを今回のアルバムで出せたなと思います。このマインドを引っ提げつつ「こんな曲できちゃったよ!」という面白い曲を、ツアー後もどんどん出していきたいですね。

CHOJI:変えてきた部分もあるけれど、やっぱり常にリスナーを驚かせるようなことはしていけるバンドでいたい。これからも、そのスタイルであり続けたいと思います。

SHUKI:まだまだ油断のできない状況が続きますが、新しい作り方にトライできたことで、コロナ禍が明けた後、その後もどうなっていくんだろうっていう楽しみができました。もっとすごい曲が作れるかもしれないですし、僕自身がこの先に期待が高まっています。

YU:曲作りのやり方を、この一枚のアルバムでいろいろ表すことができたんじゃないかなと思っています。新たにプロデューサーさんを迎えた曲もあれば、鍵盤だけで作った曲もあれば、海外のバンドさんと一緒に作ったものもある。今回だけでなく、次も、その次も、さらに幅を広げていきたいですね。

PROFILE

I Don’t Like Mondays.
●あいどんとらいくまんでーず…YU(Vocal)CHOJI(Guitar)KENJI(Bass)SHUKI(Drums)からなる4人組ロックバンド。2014年にミニアルバム「PLAY」でメジャーデビュー。

リリース情報

thフルアルバム「Black Humor
現在発売中

商品概要:https://idlms.com/news/337193

iTunes Pre-order:https://itunes.apple.com/jp/album/id1577321266?app=itunes&ls=1

Apple Music Pre-add / Spotify Pre-save:https://avex.ffm.to/norarikurari

先行配信楽曲「ノラリ・クラリ」:https://idlms.lnk.to/norarikurari

先行配信楽曲「MOON NIGHT」:https://idlms.lnk.to/moonnight

ツアー情報

I Don’t Like Mondays. “Black Humor Tour”
公演概要:https://idlms.com/news/337153
ツアーグッズ:https://idlms.com/news/338154

●photo/田中和子(CAPS) text/桜居 和

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