◆つまり、ルーファスは自分自身にも嘘をついているということですよね。
そうですね。ずっと自分を演じている。彼にはそうやって鎧をまとっていないと生きていけないところがあるんです。理由の1つに、やはり心のどこかにいつまでも姉の姿を探している幼いころのルーファスがいて、それを突き放そうとしているもう1人のルーファスがいるからなんだと思うのですが、そうした葛藤も意識して演じていきましたね。
◆松下さん自身も、自分を演じているような瞬間ってありますか?
昔はすごくありました。自分というものが何なのかが分からないことがありましたし、この仕事をしていく上で何が大切なのかも分からなくて。それで、20代前半から中盤のころは、とりあえず“あの人みたいになりたい”というふうに、誰かの真似事みたいなことをしながら生きていたような気がします。
◆自分探しの時期ですね。
ほんと、もがいてました(笑)。けど、誰かの真似をしたところで、それはその人しか着られないスーツなんですよね。似たような服を見つけて着ても、サイズが合わないし、何より似合わない(笑)。それなのにまた別の人が着ているスーツを見ては、カッコいいなぁと真似をして。それを繰り返した結果、30代になってようやく、“裸一貫が一番ラクだ”“自分らしくいることが一番の理想だ”ということに気がついたんです。今はバラエティ番組に出させていただいて、もちろん緊張はするんですが、素顔に近い僕を面白がってくれたり、受け止めてくれる人がいる。そのことを体験できたのも、僕にとってはすごく大きかったですね。