◆また、劇場版ということで普段のテレビシリーズとの違いを感じるところはありましたか?
撮影の部分では大いにありました。オープニングの登場シーンが屋上での撮影だったのですが、とてもきれいな夕陽が映り込んだカメラワークで、しかもそれをクレーン車を使い、長回しのぶっつけ本番で撮ったんです。これは映画ならではのスケールだと思いました。それに、中盤から後半に向かっていくところでは3ページのシーンを、スタジオでやはりクレーン車を使って長回しで撮影をして。このシーンはたくさんの共演者もいたので、カメラワークと役者のタイミングを何度もリハーサルして本番に臨みました。撮影中は、そうした“これはいつもとはちょっと違うな”と思える部分に、スタッフさんたちの意気込みを感じていましたね。
◆これまでにない撮影という意味では、今回アクションシーンにも挑戦されたとか?
はい! 生まれて初めて4mの高さまでつられました。細胞が震えるような体験でしたね(笑)。引っ張られてずんずん上がっていくごとに恐怖心が出てしまうので、一生懸命、マリコの気持ちになって、“大丈夫!”と言い聞かせていました(笑)。
◆(笑)。さて、『科捜研の女』もスタートから20年目になります。ここまで支持された理由はどんなところにあると感じていらっしゃいますか?
ドラマの大きな軸として、“科学と人間”をテーマに描いているところではないでしょうか。最新の科学で事件が解き明かされていく面白さに加え、人間の側面をリアルに、丁寧に、そして温かく描いているところを、多くの方々が長く愛してくださっているのではないかと思います。
◆この20年で、マリコ自身にも変化を感じますか?
最初のころのマリコは科学一辺倒でした。でも、小林稔侍さんが演じられたベテランの木場刑事に「犯罪だけじゃなく、人を見ろ」と教わり、そこから彼女は変わっていったように思います。また、木場刑事に限らずですが、多くの人との出会いの中で、マリコは人として周りにいる人々を優しく見つめる女性に成長していきましたね。