1999年のドラマ放送開始以来、20年以上にわたって人気を博してきた『科捜研の女』がついに映画化。沢口靖子さん演じる主人公・マリコの前に立ちはだかるのは、天才科学者・加賀野亘。史上最大の強敵に、果たして京都府警の科捜研チームはどう立ち向かうのか。劇場版の見どころや撮影の秘話も含め、沢口さんにお話を伺いました。
◆ついに初の劇場版が公開されます。最初にお話を聞いた時の心境はいかがでしたか?
私もまさか『科捜研の女』が映画化されるとは思ってもいませんでした! 企画をお聞きし、夢のようなお話だなとうれしく思いましたし、20年続いてきたドラマの集大成という思いで取り組みました。
◆ひと足先に映画を拝見しましたが、まさに集大成と呼ぶにふさわしい内容でした。
懐かしいメンバーも登場されますしね(笑)。しかも、事件解決のためにいろんな力を貸してくださって。そうやってたくさんのメンバーが違和感なく登場する様子に、櫻井武晴さんの脚本の素晴らしさを感じました。その意味でも、キャストだけでなく、スタッフさんも含め、『科捜研の女』に関わる全ての人の力を詰め込んだような作品だなと思いました。
◆今作はキャッチコピーに《シリーズ史上「最難関の事件」》とあります。脚本を読んだ印象は?
いつにも増して情報量が多く、専門用語も多いなと感じましたね(笑)。でも、せりふの中にクスッと笑える場面があったり、グッと胸に込み上げてくるものがあったりして。櫻井さんはずっと長く『科捜研の女』の脚本を書いてくださっていますが、この20年分の思いや愛を強く感じましたし、その熱い思いにお応えしたいという気持ちになりました。
◆また、“最難関”の敵として登場するのが佐々木蔵之介さん演じる加賀野亘です。
蔵之介さんとは、今回初めてご一緒させていただきました。休憩中などにおしゃべりをする時は関西弁で、すごく面白い方で(笑)。でも演技に入ると、ものすごい迫力でぐっと迫ってくるものがあり、共演をしていて、思わず飲み込まれそうになりましたね。
◆全てのせりふや言動に説得力があるなと感じました。
そうなんです。目力があるし、存在感もあり、この物語に重厚なものを加えてくださった感じがします。また、そうした強さがあるので、加賀野さんが語る言葉にも、間違ったことをしているものの、どこか正義があるように感じましたね。
◆では、マリコの目線から見た加賀野はどんな人物に感じましたか?
近未来を見据えたクールな天才科学者ですね。マリコとは価値観が違う。ですので、犯人として疑いの目を向けつつも、同じ科学者としてリスペクトの気持ちはずっと意識していました。
◆クレバーなだけに強敵ですよね。
本当に! “いつもだったらこのあたりで犯人が折れてくれるはずなのになぁ…”と思ったりもして(笑)。マリコもいろんな証拠を見つけ、逮捕に向けて何度もトライするんです。でも、そのたびに逃げられ、挙げ句に正論をぶつけられ、なかなか逮捕までたどり着けないという印象がありました。まさしくシリーズ最強の敵でしたね。
◆だからこそ懐かしいメンバーも登場し、総動員で挑む必要があったように思います。しかも、みんながみんなマリコに協力的なのも、やはり彼女の人徳があるからこそだと感じました。
マリコは追い求めているものが誰よりも高いんです。普通の人なら諦めてしまうところを、彼女は諦めない。その情熱が、最終的にみんなを協力的にさせるのかなと思っています。特に今回の劇場版ではそれを強く感じました。
◆本当に多くのメンバーが参加していますが、特に懐かしさを感じたのはどなたでしたか?
渡辺いっけいさん演じる元夫の倉橋(拓也)さんですね。本当に久しぶりにご出演いただいて。私個人としても、懐かしくて、うれしかったのですが、マリコとしても今でも不器用に生きる元夫を愛おしく見つめている感じがしました(笑)。ですから、お互い人間としては認め合っている関係性を出せたらなと思って演じたんです。面白かったのが、その2人を後ろから土門さん(内藤剛志)が見守っていらっしゃるんですよね(笑)。そのシーンはぜひ楽しみにしていただけたらと思います。
◆また、劇場版ということで普段のテレビシリーズとの違いを感じるところはありましたか?
撮影の部分では大いにありました。オープニングの登場シーンが屋上での撮影だったのですが、とてもきれいな夕陽が映り込んだカメラワークで、しかもそれをクレーン車を使い、長回しのぶっつけ本番で撮ったんです。これは映画ならではのスケールだと思いました。それに、中盤から後半に向かっていくところでは3ページのシーンを、スタジオでやはりクレーン車を使って長回しで撮影をして。このシーンはたくさんの共演者もいたので、カメラワークと役者のタイミングを何度もリハーサルして本番に臨みました。撮影中は、そうした“これはいつもとはちょっと違うな”と思える部分に、スタッフさんたちの意気込みを感じていましたね。
◆これまでにない撮影という意味では、今回アクションシーンにも挑戦されたとか?
はい! 生まれて初めて4mの高さまでつられました。細胞が震えるような体験でしたね(笑)。引っ張られてずんずん上がっていくごとに恐怖心が出てしまうので、一生懸命、マリコの気持ちになって、“大丈夫!”と言い聞かせていました(笑)。
◆(笑)。さて、『科捜研の女』もスタートから20年目になります。ここまで支持された理由はどんなところにあると感じていらっしゃいますか?
ドラマの大きな軸として、“科学と人間”をテーマに描いているところではないでしょうか。最新の科学で事件が解き明かされていく面白さに加え、人間の側面をリアルに、丁寧に、そして温かく描いているところを、多くの方々が長く愛してくださっているのではないかと思います。
◆この20年で、マリコ自身にも変化を感じますか?
最初のころのマリコは科学一辺倒でした。でも、小林稔侍さんが演じられたベテランの木場刑事に「犯罪だけじゃなく、人を見ろ」と教わり、そこから彼女は変わっていったように思います。また、木場刑事に限らずですが、多くの人との出会いの中で、マリコは人として周りにいる人々を優しく見つめる女性に成長していきましたね。
◆それに伴って、コミカルさもどんどん増えていったようにも思います。
そうですね(笑)。事件を追いかけている時のマリコは常に真剣ですが、ちょっとした時にいろんな表情が出るようになってきました。マリコは科学に対して純粋なだけに、ほかの部分ではあまりにも無知なところがあって(笑)。そこが少しマリコのキャラクターのおかしみでもありますね。また、そんな彼女の個性を周りの仲間もどんどん理解していき、その結果、よりチームワークも増していったところがあります。
◆では、シリーズの今後に向けての期待は?
これまでもそうでしたが、今は科学の進歩が早く、ドラマの中で描かれる鑑定の内容も常に新しくなっているんです。そうやって科学とともにドラマも進化してきましたので、今後も最新の科学と、その裏にある人間ドラマをお届けしていきたいですね。
◆難しい専門用語も出てきますが、それでも決して分かりづらくならないところも魅力に感じます。
うれしいです。実は最近よく、小さなお子さんから「マリコさんへ」と描かれた似顔絵付きのお手紙を頂くんです。私ですら、何度も台本を読んで“難しいな…”と思うことがあるのに、こんな小さい子でも楽しんでくれているんだと思うと、本当にうれしい気持ちになります。そうした分かりやすさの裏には、丁寧な言葉で事件や鑑定結果を説明してくださる脚本家さんのお力や、カラフルな画像を使って瞬間的に状況や資料を理解できるように演出してくださるスタッフさんたちのアイデアがあるからなんです。そうした皆さんのいろんな努力があるからこそ、年齢を問わず多くの方に楽しんでいただけているんだなと、感謝の気持ちでいっぱいです。
PROFILE
沢口靖子
●さわぐち・やすこ…1965年6月11日生まれ。大阪府出身。A型。最近の出演作に『西村京太郎サスペンス 鉄道捜査官』、連続ドラマ『小吉の女房2』『お花のセンセイ』、映画『校庭に東風吹いて』など。
作品紹介
映画「科捜研の女 –劇場版–」
2021年9月3日(金)全国ロードショー
(STAFF&CAST)
監督:兼﨑涼介
脚本:櫻井武晴
音楽:川井憲次
出演:沢口靖子、内藤剛志、佐々木蔵之介、若村麻由美、風間トオル、渡辺いっけい、小野武彦、戸田菜穂、金田明夫、佐津川愛美ほか
(STORY)
京都にある洛北医科大学で起きた女性教授の転落死。科捜研のマリコ(沢口)たちが鑑定をするも、殺人の証拠は見つからず自殺と推定された。それでもどこか違和感を抱くマリコたち。そんな矢先、国内外で同じような転落死が相次ぐ。やはり他殺だとにらんだ京都府警が再び捜査を始めると、そこには現場から遠く離れた場所にいる、ある人物が浮かび上がってきた…。
©2021「科捜研の女 -劇場版-」製作委員会
●photo/干川 修 text/倉田モトキ
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2021年9月10日(金)23:59