『あの花』10周年記念!脚本・岡田麿里が語る作品への思いとキャラクターの“愛称”秘話

特集・インタビュー
2021年09月05日

◆『あの花』は、岡田さん自身が企画コンペで提案して採用された作品ですよね。どのような思いで企画されたのでしょうか?

私、学生時代はじんたん(宿海仁太みたいに登校拒否児だったんです。5年くらいほぼ学校に行ってなくて。当時はとにかく苦しかったし、出口がないと足掻いていました。自分を取り巻く状況も、自分自身も、なかなか受け入れられない時期で。だからこそ、同じような境遇のキャラクターをカッコよく描いてみたいと思ったんです。自分自身が嫌いだったからこそ、ものすごい挑戦でした。

◆実体験がベースにあったんですね。

でも当時はオリジナルアニメ、特に思春期の群像劇を描いた作品は企画として通らない時代で。なおかつ私の原案は地味と言われていたので、フックとなる何かが必要だったんです。それで、企画を通すためにノスタルジーな要素も取り入れようと。あのころは「ちょっと昔を懐かしむ作品」が世間的に受け入れられていたので。作中に登場する「秘密基地」も、ノスタルジー要素の一つですね。

◆確かに、「秘密基地」など時代を感じるアイテムや流行語、昔を懐かしむような言葉がいくつか登場していましたね。

はい。そして、そのいくつかの過去に今の自分たちが復讐されるんです。

◆“復讐される”というのは?

例えばニックネームがそうで。子供のころにつけた愛称って、自覚なく残酷だったりしますよね。あの時の無邪気さや純粋さが、少し大人になった時に人を傷つけることがある。それを象徴する要素に、ニックネームがなればいいなと。あなる(安城鳴子)がまさにそうですね。彼女はあだ名先行で名前を決めました。

◆そうだったんですね。

あとは、めんま(本間芽衣子)の存在そのものもそう。過去に解消しないで置いてきてしまった気持ちが、結果的に彼らの思春期に暴れることとなりました。ゆきあつ松雪集がめんまの格好をしてみんなをだまそうとしたのも、抑えつけてきた気持ちが暴発したからです。「超平和バスターズ」っていう名前もそうです。当時の彼らはカッコいいと思って付けたんでしょうけども、実際は平和をやっつける奴らですからね。結果的に、じんたんたちはめんまを失うことで、本当に平和をやっつけてしまった。子供のころの無邪気な発想を思い返すと、胸が痛くなることがある。でもまさか、自分たちが「超平和バスターズ」と呼ばれるようになるとは思いもしませんでしたが

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