◆どんなことを書かれたんですか?
最初は北村大河としての過去の思い出を書いていたんです。でもリアルさを出すために、そこに自分の経験を足していったら、リアルに日本に来たばかりのころに連れていってもらった遊園地のこととかを思い出して。そういうことが頭の中にどんどん浮かんできて、本当にどこからが役でどこからが自分自身なのか分からなくなる瞬間があったんですよ。それで“うわぁ〜!”と思いながらカメラの前に立つと、大体いいシーンになるんですよね。たまに少し苦しかったりしたんですけど、面白いなと思いました。
◆撮影に入る前に、特別な役作りなどはしたんでしょうか?
ラリーというものを自分なりに勉強しました。ただ、今回は脚本も塚本(連平)監督が書かれていたので、僕に近づけて書いてくださったところも、多分あるんだろうなと思っていて。大河という役は、演じるために何かすごい役作りをしなければいけないというよりは、とにかく自分とリンクする部分を意識して演じましたね。ありがたいことに、早めに台本を頂けたので、クランクイン前に監督といろいろ話し合うこともできて。家族との関係についても、「30歳の大河が自分の父親にイライラをぶつけるって、どういう感情なんですかね?」と聞いたりもしました。ただ、だからといって撮影時に100%理解していたかというと、微妙なところで。(父親役の)西村まさ彦さんの声を聞きながら自然とそういう芝居になっていった部分もあったので、そういう意味では現場で感じながら作り上げていったところが大きかったです。豊田市の実家に帰った時の大河の故郷への感覚とかもそうですし、実際に現場に入って、カメラの前に立った時に出てくるものをそのまま表現する感覚だったかなと思います。
◆共演の深川麻衣さんの印象は?
深川さんは僕と同い年で、とりあえず「タメだね!」という話で盛り上がりました(笑)。やっぱりカップルになっていく役なので、パートナーとして信頼してもらいたいですしね。とても気さくな方でしゃべりやすかったですし、お芝居にもすごく真摯に向き合っていて。本当に素敵なシーンパートナーで、いろいろと助けてもらいました。
◆橋の上での2人のシーンは印象的でした。
あのシーンは実はほとんどアドリブで、その場で生まれるものが多かったんです。ほかのシーンもそうなんですが、監督も“2人が向き合った時に生まれるもの”をかなり重視されていて。ゴールだけ決めて「よーい、はい! 好きにやってみて!」みたいな(笑)。それで何回かやって、最終的に監督が「じゃあ、これでいきましょう」と調整してくださるんですが、エチュードをして作り上げていくような感じで楽しかったです。