◆かわいらしいビジュアルとは対照的に、“中指を立てる様な日々”というフレーズが印象的でした。まさに心の葛藤を象徴した言葉でもありますよね。
18歳ってまだ大人になりきれていないし、かといって子供でもない分“大人って…”みたいな気持ちがあると思うんです。でも、そのガッツがあるからこそ、東京でやっていけるんじゃないかなって。
◆確かに、そういった反骨精神が原動力になったりしますよね。上京した経験のある人は、年代性別を問わず共感できる部分がとても多いと思いますが、本作で伝えたいメッセージはありますか?
忙しなく生きていると、何が幸せなのか分からなくなってしまうことがあると思うんですけど、ふと実家のごはんが恋しくなったり、今までそんな風に思えなかった小さな幸せに気づける瞬間でもあると思うんです。それを積み重ねていくことで、大きな幸せにつながっていくと思うし、結果的に何かを成し遂げていくことができるのかなって。私と同じように上京されている方はもちろんですが、これから何か頑張ろうとしている方にも何か通ずるところがあると思うので、ぜひご自身と重ね合わせながら歌詞を見て、聞いていただきたいです。
◆ミュージックビデオはどんな仕上がりになりましたか?
渋谷を舞台に、古塔つみさんに描いていただいたイラストの中に実写の私が登場するという斬新なMVになっています。撮影の時は背景が何もない状況での撮影だったので、感情を入れるのが難しかったのですが、渋谷は実際に自分が18歳の時に働いていた思い入れの強い街ですし、私の中で東京=渋谷というイメージがあるので、何より渋谷とコラボレーションできてうれしかったです(笑)。
◆安斉さんの中では東京=渋谷ということですが、渋谷を表すランドマーク的なものと言えば?
109とかスクランブル交差点も含めて、渋谷の街並みですね。最初は人混みの多さにびっくりしましたし、スクランブル交差点を歩いている時に誰かとぶつかったりしまうこともあったんですけど、今では無意識のうちにうまくかわしながら歩いていて。でもそれは、ただ東京という街に馴染んでしまっただけでなく、そういう術を身につけながら、自分というものを見失うことなく、しっかり前進できるようになった成長の証でもあるんじゃないかなって思うんです。正直、最初のころは、自分が思い描いていた現実とあまりにも違いすぎて、何か困難にぶち当たるたびに逃げたくて、実家に帰りたくてしょうがなかったですもん(笑)。
◆実際、逃げたことはなかった?
なかったですね。でも、変な意味ではなく、いつ逃げてもいいやとは思っていました。でも、いつの間にかそんなことを思わなくなるぐらい自分が強くなっていたんです。