◆コロナ禍ということで、ほぼひとりずつのアフレコだったそうですね。
そうなんです。『ヤマト』は“仲間を信じることで艦を進めていく”というストーリーですし、その結果“異星人とでも分かりあえる”という人と人を描いたドラマで、さらに本作は“みんなで運命を背負うことで、古代も重圧から解放されていく”という、“みんな”が大切な物語なのに、それを1人で録るのかと。最初はつらかったですね。でも、これも運命かと思い、ならば『2199』から『2202』までで培ってきた信頼関係や絆をしっかり見せようと切り替えることができました。古代は「ポジティブ馬鹿野郎」だと思うので(笑)、その気持ちになれたのかな。桑島(法子)さんだったらこう返してくるだろうとか、祐だったらこうするだろう、山寺(宏一)さんだったらこう演じるだろうと想像もできましたね。実際に完成した映像を見たら、僕の想像を超える演技もたくさんあって、やはり皆さんこれだけの熱量をくれるんだと、改めて感動しました。その分、スタッフの皆さんはすごく大変だったと思います。だから今ここで、『2205』を作ってくださったヤマトクルーの皆さんにお疲れ様でしたと言いたいですね。
◆自分と古代がリンクしてきたというお話でしたが、自分のことも「ポジティブ馬鹿野郎」だと感じますか?
すごくうじうじしていて、内向的で、あまり論理的に物事を考えられる人間ではないという、ちょっとネガティブなイメージが自分自身にあるんです。でも、周りの人から見た自分は、ポジティブで明るいイメージみたいなんですよ。『2199』の頃から感じていたんですが、僕、悪いキャラクターをほとんど振られないんですね。声のトーンは、ミドルで低めだし、悪いキャラクターもいけると思うんです。でも、いつもポジティブ馬鹿野郎や悪者になりきれない人、ラスボスなんだけど、本当は人のために戦っている人…と、いい人を演じることがほとんどなんですね。そう考えると、周りの人がポジティブだと思ってくださる一方で、キャラクターも僕をポジティブに見せてくれているんだと思います。20年近く声優をやってきたから相互に関係し合って、今の自分はポジティブな人になっているのかもしれませんね。