◆ドレスコードみたいな感じだったんですね。
松本:そう、まさにドレスコード!(笑) メイクさんがCAさんの格好をして、「失礼します」って言って私のメイクをしてくれたこともありました。ユーモアある現場で、スタッフの皆さんも楽しんでいて、でも作品に向ける情熱はハンパない。「こんなにいい現場、ある!?」って思うくらい、現場にいるのが楽しくて楽しくてしょうがなかったです。そんなこと、初めてでしたね。
タナダ:もちろん、どの現場でもやっているわけではないんですよ(笑)。主演がそれを許してくれたから(笑)。まりかちゃんが楽しんでくれたから、スタッフも調子に乗って「今日は何縛りにする?」って考えるようになったんです。
松本:じゃあ、今回が初めてなんですか!? あれがタナダ組なんだと思ってました。
タナダ:いやいや、毎回やらないから(笑)。
◆ちなみに、どういう経緯でコスプレが始まったんですか?
タナダ:1話に出演してくださった板谷由夏さんの回想シーンで、「(板谷さんを)ターバンをつけている人にしましょうか」ということになったんです。そしたら撮影時、なぜかターバン率が高くて(笑)。板谷さんもまりかちゃん同様、笑ってくれる方だったので、気持ちが和んで、そこからみんな調子に乗り始めたんです(笑)。今回は衣装・メイク部が元気なチームで。もちろん、もしもおふざけに走りすぎて仕事が疎かになったら注意したと思うんですけど、この人たちがとってもよく働くんですよ。
松本:いや、ホントによく働く! しかもおふざけすればするほど、もっともっと仕事に集中していくっていう、すごいことが起きていたんです。その姿を見て、感動してしまいました。今回のことで、ユーモアってすごく大事なんだなって思いましたね。タナダさんの作品って、絶対ユーモアがあるんです。ことさら人をキラキラ描かないし(笑)、作られたキュンキュンもない。「まりかちゃん、ブス顔して」って言ってきたりと、人の欠点もちゃんと見せるんだけど、それによって登場人物がもっと愛おしくなる。タナダ監督の作風みたいなものが、あの現場でも起きていたなって思います。
タナダ:よかった。いつ苦情を言われるかと思っていたから(笑)。
松本:なんなら、私も乗っかってましたし。
◆日常を過ごす松本さんの、いろんな表情が見られるドラマだと思います。タナダ監督は「普段の表情」みたいなものを引き出そうと思っていらっしゃったのでしょうか?
タナダ:今まであまり見たことがない「松本まりか」を見せたというのはありました。でもお芝居に入ってしまうとまりかちゃんは自然にできてしまうので、私から事細かく「こうしてほしい」「ああしてほしい」と言うよりも、まずやってみてもらって、何かあれば修正していく感じだったと思います。