◆今作には全体的に包み込むような温かみを感じました。歌う時に意識されたことはありますか?
詞の情景を思い浮かべながら歌いました。あと、これまでは歌に対して1つの音、主旋律として考えていたんですが、今回は“歌を歌うぞ!”と思いながら歌うようにしましたね。うまく言えないんですけど…。
◆これまでは歌もパズルのピース(音)の1つとして捉えていたのが、それぞれのピース(感情)が重なり合った上で構成されるものとして歌を捉えられるようになったと。
そのとおりです。前作あたりから捉え方が変わってきた部分が多くて。歌わせていただく機会が増えたことで、いつの間にか意識の変化があったんだと思います。
◆これまでは感情にそのまま直結しているような歌い方だったのが、今作ではメロディーに優しく寄り添っているような印象を受けたのですが。
ありがとうございます。僕としてはもっと聴き手が聴きやすい形で歌いたいんですけど…(苦笑)。
◆むしろそれが崎山さんのよさなんじゃないかと思いました。
聴きにくいとも言える、吐息を吐いているような部分はいい意味で残してうまく歌と融合できたらいいなと思っています。
◆本作のみならずタイアップをとおして幅広い世代の人に曲を聴いてもらえることも多いと思いますが、ご自身で手ごたえを感じたり、曲が浸透してきているなと感じる瞬間はありますか?
はい。タイアップがきっかけで僕のことを知ってくださる方も増えて、純粋にうれしいですし、ありがたいなと思います。僕自身、好きな映画とかで流れていた曲も含めて、その作品好きになることが多いんですけど、僕が書き下ろした楽曲がそういう風にその作品を好きな方に気に入っていただいて、作品と一緒にずっとその人の中に記憶されたらいいなと思います。
◆そういう部分でも歌に対する向き合い方が変わってきたのでしょうか?
そうかもしれないです。自分がリスナーとして客観的な立場に立って、聴いてくれる方のことをいろいろ考えられるようになった気がします。最初はとにかく曲を作りたいというところから始まったので、誰かに聴いてもらいたいというような感情がなかったんです。
◆なるほど。崎山さんはまだ19歳という若さながら、クオリティの高い楽曲でリスナーはもちろん、水野さんをはじめ、名だたるミュージシャンから称賛されています。曲作りにおいて心掛けていることなどはありますか?
これといって心掛けていることは特になくて…。この和音に対してメロディーがどうぶつかっているかとか、そういうことを考えたりするのが好きで、その作業をしている時はすごく音楽的だなと思います(笑)。変に考えすぎてしまうよりは、何も考えてない時のほうが新しい曲が生まれやすい時もあります。あとはいろんなジャンルの曲が好きなので、たくさんの曲を聴くようにしています。
◆ジャンルにこだわらず、いろんな音楽を吸収することでご自身のカラーに染め上げていくと。
はい。自分らしい音楽を作れたらいいなと思います。…(ポツリと)音楽は奥深いですね。
◆確かにそうですね。10代でこんなに達観されているとは!
僕は音楽の勉強をちゃんとしてきたわけではないので、まだまだ分からないことだらけなんです。なのでこれからもっと音楽のことを知って、もっと僕自身、音楽を好きになれたらいいなと思います。