殺人事件の重要参考人となった女性実業家・真田梨央(吉高由里子)と、彼女を追う刑事で梨央の最愛の人でもある宮崎大輝(松下洸平)、梨央の会社で梨央を支える弁護士・加瀬賢一郎(井浦新)の3人を中心に、15年前の失踪事件から現在の連続殺人事件へとつながる謎に迫る『最愛』(TBS系 毎週(金)後10・00)。大輝の上司で警視庁捜査第一係長・山尾敦を演じている津田健次郎さんが現場での裏話や見どころを語ってくれました。
◆放送が開始されましたが、周りの方の反響はいかがでしょうか?
周りの関係者の方やTwitterのフォロワーの皆さん、ネット上のご意見なども含めて、「面白い」「次どうなるんだろう」という感想をたくさんいただいていて、本当にありがたいなと思います。実は映像作品のレギュラー出演が久しぶりだったので、多少の緊張と大きなワクワクがあって、第1話のオンエアの前日からそわそわしてたんですよ(笑)。現場でモニターを見て、確認する時間があまりなかったこともあって、自分の芝居も含めてどんな感じになってるのかなと、ドキドキそわそわしながらオンエアを待っていたので本当にほっとしました。これからも、気が緩まないように緊張感を持って撮影に臨んでいこうと思っています。
◆出演するにあたり、塚原あゆ子監督や新井順子プロデューサーから何かお話はありましたか?
衣装合わせの時に塚原監督、新井プロデューサーとお会いして、山尾というキャラクターの方向性について「津田さんの山尾と佐久間(由衣)さんの桑田には、ほんわかした部分を担っていただきたい」というお話をいただいたんです。第1話では出てこなかったんですけど、山尾はかわいらしいサブバッグを持っていたり、桑田とのやりとりのゆったりした感じは、僕としてはすごく意外でとても面白いなと思ったんです。こういうところに塚原監督、新井プロデューサーのヒットメーカーたるゆえんと言いますか、緩むところも丁寧に作られるんだなっていうのを感じました。
◆塚原監督、新井プロデューサーと話して、山尾はどんなキャラクターだと思われましたか?
実は、台本に出てこない設定も細かく作られている作品なんです。山尾には子供がいて、どこの大学を出ていて、学生時代どういう感じだったのかなどの設定の1つにキャリアではないことが書かれていて。僕も事前に台本を読ませていただいた時に、キャリアの刑事ではないのは何となく分かっていたので、そこは解釈が一致していましたね。派出所勤めから叩き上げで係長まで出世しているということは仕事ができるのは間違いないだろうなと。そう思った時に、現場刑事のパワフルな足で聞き込みしてきた叩き上げの部分と管理職としての人心掌握して組織を動かしていく部分というのは、その人との関係性の中で多層的に見せられると一番良いのではないかと感じました。
◆松下洸平さん、佐久間さんとのシーンが多いですが、お2人と共演するまでの印象と、実際に共演されての印象で変わったことはありますか?
初めてご一緒するお2人だったのでどういう方なのかなと、ワクワクしながらお会いできるのを楽しみにしていました。それで控え室でごあいさつをさせていただいたら、お2人ともとてもフレンドリーで、柔らかい方で、早速仲良くさせていただいています。撮影中の緊張感を持ちつつも、控え室では2人ともマイペースに穏やかに過ごされていて、たまにくだらないことを話したり楽しく過ごしていますね。
◆お2人とどんな演技をしていきたいですか?
松下さんはこの重いドラマのシリアスパートを背負っていくポジションなので、山尾と宮崎というキャラクターの立場の違いみたいなものが今後出てくると思うんですよ。そこの温度差や、立場の差を作っていけたらなと思っています。寝ている宮崎を起こすシーンがあるんですけど、ちょっと丁寧に起こしちゃったんです。そうしたら、監督から「違います、そこはパンといってください」と言われて、山尾と宮崎の関係性は体育会系っぽい先輩後輩なんだなと分かりました。桑田役の佐久間さんとは塚原監督、新井プロデューサーからご提案があったほんわかした部分を担っていくので、2人でほほ笑ましいものを作っていけたらなと思ってます。
◆第1話の山尾が桑田の名前を呼ぶ時に詰まってしまうシーンは、確かにほんわかしました。
実は、台本には名前で詰まるとは書かれていなくて、ただ単に「宮崎、桑田」と呼ぶだけだったんです。そこで僕が勝手に「詰まったほうが面白いな」と名前を覚えてないという設定を思いついたんです。佐久間さんには事前打ち合わせなしで「宮崎と桑…」と止まったらナチュラルに佐久間さんが「田です」と僕のアドリブを受けてくれたので、そのまま採用していただけました(笑)。そういった遊びどころも含めて、いろいろできるといいなと思っております。
◆第2話でも“桑子”というあだ名が出てきたりしましたが、他にもアドリブや提案をしたところはありますか?
山尾がかわいらしいサブバッグを持っているというプランをいただいた時に、「何で持っているんだろう?」と自分の中の想像力がかき立てられ、「もしかしたら、子供のものを勝手に持ってきてるのかな?」「お弁当でも入っているのかな?」と思ったんです。そういった遊び心を大事にしていきたいなというのがあったので、かわいらしいペンを3種類ぐらい買って、監督さんに「これ持ち込んでもいいですか?」と聞いたら、「どうぞ使ってください!」と言われたので、机の上に置いているんですが、1話、2話では映りませんでした(笑)。そういった小物から視聴者の皆さんの想像が膨らむと面白いなと思います。そのサブバッグの中には、実際にはのど飴がいっぱい入っていて。それも既製品のものではなくオリジナルのパッケージに入った僕専用ののど飴なんですよ。なので、どこかでそののど飴を舐めようと思っています。
◆津田さんが思う塚原監督の演出の魅力は何でしょうか?
現場でとても柔らかく演出されてらっしゃるんです。もちろん緊張感を出す時はビシッと出されるんですが、基本的には丁寧に柔らかく、「こういう感じの空気感とか、ダイアログが作れるといいなと思ってるんですけど、どうですかね」とアプローチをしてくださいます。こちらのイメージしてきたものをまずは一回受け入れて、その中で違ったら違う、オッケーならオッケーと、とても大事にしてくださるので、本当にありがたいなと思っています。
◆塚原監督から言われた言葉で印象に残っていることはありますか?
実は、監督から直筆のお手紙を頂いたんです。その中で“見てくださる皆さんの金曜日の夜一時間がすてきなものになるように私たちは頑張っていきたいと思います”という言葉が書いてあって、「視聴者の皆さんの時間をすごく大事にしていらっしゃっるんだな」と作品に対する思いに感動しました。それから公式Twitterの中にも、塚原監督からもらった言葉と同じような言葉が出てくるんですよ。それはきっとこの作品作りに参加する皆さんの共通意識なんだなと思いましたし、そういったスタッフの方々と一緒にお仕事できる現場は、とても誇らしいなと思います。この『最愛』は、放送までに2~3年かかって立ち上げられているということで、その直筆のお手紙に込められた思いを目の当たりにしてしまったら、僕もできることの全てを一緒に、作れたらなと思いながら参加させていただいていますね。
◆すてきな現場ですね。
すごくいい雰囲気の現場ですね。僕は少し遅れての参加で「遅れて参加だな、緊張するな」と思いながら現場へ行ったんですが、本当に皆さん優しく接してくださって。スタッフの皆さん1人ひとりが、時に緊張感持って、時に冗談などを交わし合いながらとても楽しそうにドラマを作っていらっしゃるのを見て、「ああ、とてもいい現場だな」というのが現場入った第一印象だったので、「こういう現場はきっといい作品が生まれるぞ」と思いましたね。
◆今回オリジナル脚本ということで、最後までどういう結末になるか分かりません。津田さんは最後までどんな演技をしていきたいですか?
僕も最後がどうなるか知らないので、どうなるんだろうと思っています。そういう意味では視聴者の皆さんと同じで、この物語を楽しみつつ、同じ目線で「ああ、なるほど」みたいな瞬間があります。そこは楽しみの1つでもありますし、自分のお芝居に関しては、先を知らない分、僕の立ち位置とかやってることはあっているのか、塚原監督たちのジャッジに委ねて、やっていきたいと思っています。
◆第3話の見どころをお願いいたします。
一番注目していただきたいのは、物語の展開ですね。「この人、こんな人だったの…!」というのが、第3話に限らず、今後もある物語だと思いますので、僕としても台本読んでいて特に「おー! マジか」ってなる瞬間でもあります。第3話も展開していきますから楽しみにしていてください。そして、1話を逃すと物語が分からなくなる可能性があるので、ぜひ1話も逃さずに見ていただきたいです。最近はTVerやParaviという見逃し配信ツールもあるので、見逃したり、展開が早すぎてついていけなかったという方も、そういったもので見ていただいて、3話に備えていただきたいです!
PROFILE
津田健次郎
●つだ・けんじろう…6月11日生まれ。大阪府出身。数多くのアニメや洋画の吹替、ナレーターといった声優業、舞台や映像の俳優業を中心に、映像監督や作品プロデュースなど多方面で活躍。『新・情報7daysニュースキャスター』のナレーションも務めている。
番組情報
金曜ドラマ『最愛』
TBS系
毎週金曜 後10・00~10・54
<第3話(10月29日放送)あらすじ>
大輝(松下洸平)から「友達として話をしたい」と言われた梨央(吉高由里子)は、近所のなじみの鉄板焼き店へ。ぎこちないながらも昔のような空気が2人の間に流れ、梨央は事件当夜に昭(酒向芳)に会ったことや、遺留品のお守りに見覚えがあることを打ち明ける。
署に戻った大輝は、梨央の足取りを付近の防犯カメラで確認。彼女の話に矛盾はなく、相棒の桑田(佐久間由衣)も梨央は犯人ではないと感じるが、同時にどこか煮え切らない大輝の態度がひっかかる。
そんな折、「真田ウェルネス」に一通の脅迫メールが届く。後藤(及川光博)は中止を進言するが、新薬開発をなんとしても成功させたい梨央は「中止はしない」と断言。説明会がアナリストやメディアに評価されて新薬が承認されれば、自分の前から突然姿を消した弟の優が戻ってきてくれるかもしれないという思いもあった。物々しい警備体制のなか、事業説明会が始まる…。
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