◆井ノ原さんはご自分に一番近いと思うキャラクターはいますか?
井ノ原:どのキャラクターにも「この子のこういうところは分かる」という部分がちょっとずつある気がします。しかもそれは、立派なところではないんです。例えば本上さんがおっしゃったような、ちょっとした劣等感みたいなものだったり。僕は子供のころ、「こうじゃなきゃいけない」ということからいつも逃げていた気がして。何でやらないといけないんだろうと思っている時に、「だって小学生だから」と言われたりすると、「何で小学生だとやらないといけないだよ」と思うような子供で(笑)。だから「暖かいところが好きだから」って、寒いところから逃げてきたしろくまにキュ~ンときてしまったり。
◆監督やスタッフの方からはナレーションについて何かリクエストはありましたか?
井ノ原:特別はなかったですね。
本上:前作は、“作品の世界観みたいなものについてレクチャーがあるのかな”と思って現場に行ったら、そのままスルッと始まって、今回は前作と違うスタッフの方が作っていらっしゃるので、“何かあるんだろうな”と思っていたんですが、事前に仮の音が入っているVTRを渡されただけで、説明みたいなものは特にありませんでした。ということは、信頼してくださっているのかな、と。
井ノ原:そうですね。そうだといいな(笑)。「前作の感じでお願いします」ってことなのかなと、僕は受け取っていました。
◆ナレーションする上で心がけていること、意識していることがあったら教えてください。
井ノ原:すみっコたちはいるだけでかわいいから、この世界を壊したくないっていう気持ちが大きいです。だからキャラクターたちにそっと寄り添うみたいな気持ちでやりました。多分、感情を込めすぎると見ている人たちが、“この声の人たち誰なの?”って思ってしまうから、何も考えず淡々と。
本上:もともとすみっコたちって喋らないんですよね。すみっコたちが動いているだけで、すみっコたちの絵を見るだけで、子供たちは“今こう考えているんだな” “ちょっと頼りない気持ちでいるんだな”って見てくれると思うんです。そこを私たちが過剰に補足していく必要はなくて。だからBGMみたいな感じで、私たちの声があればいいんじゃないかなって思います。