◆まず、台本を読んでの感想を教えてください。
戸松:原作がありつつも、ミトというオリジナルキャラクターを加えてのお話ということで、懐かしさと新しさがありました。『SAO』の原点回帰ではあるけれど、新たに描かれているストーリーが面白くて、一読者として純粋に楽しませてもらいました。
松岡:テレビシリーズ第1期の物語をアスナの視点で見られるということで、台本を読んだ時から映像がどのようになるのか期待感がすごく高かったです。懐かしいシーンをもう一度演じられる喜びもありましたし、何よりテレビシリーズで「もう少し、こういうふうにやりたかった」と思ったところに再度トライできたのが、すごくありがたかったです。
水瀬:私は、まず台本が手元に届いて「あ、本当に出られるんだ」という喜びと、新しい物語を読めるドキドキ感がありました。オーディションを受けた時は、ミトについて断片的な特徴や思いを知る程度だったので、台本を読んでやっと物語を手に入れられた感覚がありました。
◆ミトの存在によって、アスナの人となりがさらに深まるような印象もありました。
水瀬:日常であっても緊迫したシーンであっても、アスナとミトのやりとりでアスナというキャラクターがより形作られていく感じがしました。台本を読んだ時に、あらためてミトが生み出された理由を知り、自分の役割などを教えてもらった気持ちでした。
戸松:リアル世界での描写ってそんなに多くはないですし、あっても『SAO』から生き残ったあとでのことが多いので、本当に何も知らない“結城明日奈”を演じることができたのが、うれしくて。一般的な中学3年生の女の子としての日常や学生生活、ミトと遊ぶ姿を見られたことも楽しかったです。
水瀬:ミトにとっても、アスナにだから言えること、見せられることってあったと思うので、2人だけの時間を演じられたのは、私もすごくうれしかったです。アスナにとってもミトにとっても、お互いがすごく大切で代わりがいない、というのが感じられて。“尊い”って、こういうことなんだなって思いました。
◆松岡さんとしては、普段のアスナを見てどう感じましたか?
松岡:アスナって、家庭環境が複雑だったけれど、本当に一般的な学生だったんだなと思いましたね。《ナーヴギア》がなかったらアスナはどんな子だったのだろうと想像もできましたし。学生生活のシーンはずっと見ていたくなる気持ちと、同時に切なさも感じました。
◆戸松さんと松岡さんは、ミトを水瀬さんが演じることで、どんな魅力が生まれたと感じましたか?
戸松:完成して初めてミトの声を聞いた時、かっこ良さとかわいさが絶妙なバランスで備わっているなと感じて。ミトって、見た目は凛々しくて強そうですが、いのりちゃんのお芝居によって強すぎない印象になっていました。アスナを守るたくましさやかっこ良さはあるけど、等身大の女の子のかわいさもある。緊迫した環境の中でも、ひとときの楽しい微笑ましい距離感がすごく好きで、本当にすてきなミトが現れたと思いました。
松岡:実はキリトとミトって、ほとんど喋ってないんですよね。
戸松:そう言えば、そうだね!
松岡:なので、観客側の立場にはなってしまいますが、水瀬さんのお芝居ですごいなと感じたのが、ギャップなんです。アスナに「面貸せ」みたいに、クールに顎をクイッとやるのに、そのあと一緒にゲームやっているシーンではアスナを「大切に思っている」感じがすごく伝わってきました。柔らかい声色の中に若干冷たく感じるところもあって、場面ごとにものすごくきっちり演じ分けられている。微細なところで変化をつけられていて、本当に素晴らしいお芝居だなと感じました。
◆水瀬さんは、今回が『SAO』シリーズ初参加ですが、本作でのアスナの印象は
水瀬:アスナはいっぱいいっぱいになったり、いろんなことを考えて迷ったりしていて、一視聴者として見ていた時とは違う、新たな魅力を感じました。かっこ良くてクールで凛として強いイメージがあるけど、ゲームを始めた当初は取り乱したり恐怖におののいたりと、こんなに感情的な部分がたくさんある子なんだって。普段だったら守ってくれるアスナが、今回は守られる側で、でも守られるだけじゃないかっこ良さもある。その今までにない表情がミトによって引き出されたのであるなら、すごくうれしいです。
◆では、キリトの印象はいかがですか?
水瀬:《アインクラッド》編のキリトは、自分も知らなかった自分らしさを解放する前ということもあり、不器用なところが愛おしいキャラクターだなと思いました。アスナとのやりとりでは目に見えるくらい緊張しているんですけど、見ているだけでそれが分かるところもかわいらしいです。戦闘時とそれ以外とのギャップがより一層分かって、個人的に注目ポイントでした。それからキリトって、言葉で何かを伝えるより、自分の思いを戦いや行動で示すタイプで、アスナはそこから影響を受けたと思うのですが、ミトを演じる身としては、私(ミト)がアスナにとって、そういう存在になりたかったという気持ちもありますね。
◆テレビシリーズと本作では、アスナとキリトの出会いにも違いがありますが、松岡さんと戸松さんはどんな気持ちで、その変化を声にのせましたか?
戸松:今までを全部リセットして、もう一度ゼロからアスナを組み立てた感じですね。キリトとの関係は、他人です(笑)。ツンツンしているのは、ミトとの関わりでいろいろなことがあったのと、《アインクラッド》で生き残ってみせるという強い思いが防衛本能になったと思います。
松岡:テストでかけ合ってみたら、10ミリくらいのアクリル板が間にあるのかなって思うくらい心の距離を感じて、すごく衝撃を受けました。関係をリセットするって、寂しいことなんですね…。
◆物語では、ゲームから脱出できなくなった不安や動揺も描かれています。皆さんが考える、本作のハラハラドキドキのポイントは?
水瀬:ゲーム中の死が現実の死に直結することが明らかにされるシーンは、死刑宣告みたいで心臓がわしづかみにされるドキドキ感のような、苦しさがあると思います。ミトを演じているからこそ、「ゲームであって遊びではない」というワードもすごく刺さりました。
戸松:死と隣り合わせというドキドキ感はもちろん、きっと皆さんは「ミトが最後にどうなるんだろう?」と思いながら見ると思うんです。アスナとキリトは絶対に死なないと信じているので(笑)。そういう安心感はあるけれど、ミトの未来は誰も知らない。だからこそ、そこがドキドキポイントになるんじゃないかなと思います。それから、ボス戦って犠牲がなかった回がないんです。それが劇場版でどうなるかも、背筋がシャキッとなるポイントだと思います。
松岡:僕は、はじまりの街を出てアスナが狼に襲われるところが、すごく恐ろしく感じました。本当に命が懸かっている世界だということが、アスナの表情からも伝わってくるシーンです。口だけお化けの花みたいなモンスターが襲ってくるシーンも鳥肌が立ちました。
戸松:トラップも怖かったよね!
水瀬:生きるか死ぬかが目の前にあるのが、はっきり分かってしまうシーンですよね。皆さんの叫び声が真に迫りすぎて、すごく心が痛かったです。
松岡:「早くそこから離れて!」「見つかっちゃうよ!」と、思わず声をかけたくなるくらいのハラハラ感がずっと続くんですよね。
◆『SAO』の醍醐味と言ったら?
戸松:リアルに感じられる世界観のゲームであること。アニメは《アインクラッド》の攻略に重きを置いて描かれていますが、ミトとアスナがイチから武器を買い揃えるシーンがあったように、実は戦い以外の楽しい部分もたくさんあるんですよね。攻略さえなければ、めちゃめちゃ細かいところまで楽しめるのが『SAO』の醍醐味であり、面白いところなんだと思います。ただ、死ぬのだけは避けたいです(笑)。
松岡:ご飯が食べられて、満腹も感じられる。いろいろな可能性が詰まっているので、こんなゲームがあれば永遠にゲームの世界にいられますよね。実際に僕たちが生きているうちに実現できるかどうかは分かりませんが、もしできるなら一度プレイしてみたいです。
水瀬:私が思う醍醐味は、やっぱりシンクロ感ですかね。架空の世界だけど、ものを手に取ったりご飯を食べたりはもちろん、ゲームの中での成長とリアルな自分の気持ちの成長がシンクロする。ゲームの世界で学んだことが、ちゃんとリアルの自分にも投影されて残っていくことにすごく夢があるなと感じるんです。戦いで戦略や立ち回りの知識を得たり、生き方を学べたりするシンクロ感は、体感してみたいですね。
PROFILE
松岡禎丞
●まつおか・よしつぐ…9月17日生まれ。北海道出身。主な出演アニメ作品に『吸血鬼すぐ死ぬ』半田桃役、『東京リベンジャーズ』三ツ谷隆役、など。
戸松遥
●とまつ・はるか…2月4日生まれ。愛知県出身。主な出演アニメ作品に『ホリミヤ』堀京子役、『妖怪ウォッチ♪』ケータ役、など。
水瀬いのり
●みなせ・いのり…12月2日生まれ。東京都出身。主な出演アニメ作品に『takt op.Destiny』天国役、『死神坊ちゃんと黒メイド』ヴィオラ役、など。
作品情報
「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア」
全国公開中
(STAFF&CAST)
原作・ストーリー原案:川原礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:河野亜矢子
キャラクターデザイン・総作画監督:戸谷賢都
音楽:梶浦由記
主題歌:LiSA「往け」(SACRA MUSIC)
声の出演:松岡禎丞、戸松遥、水瀬いのり、平田広明、安元洋貴、日高里菜、檜山修之、関智一、山寺宏一 ほか
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
(STORY)
ネットゲームとは無縁の生活を送っていた中学3年生の結城明日菜。たまたま次世代VRMMORPG《ソードアート・オンライン》に参加できるという《ナーヴギア》を被ってしまった彼女は、ほかのプレイヤーと同様に突如ゲームマスターから《これはゲームであっても遊びではない。》と告げられる。ゲーム中での死、もしくはゲームからの強制ログアウトはリアルでの《死》を意味する。極限の状況に追い込まれたアスナは、ルールがわからないながらも唯一の《生》の可能性が残る、鋼鉄の浮遊城《アインクラッド》の攻略に乗り出すが…。
公式サイト:https://sao-p.net
公式Twitter:@sao_anime
公式Instagram:@sao_anime_official
©2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project
photo/河野英喜(エントランス) text/野下奈生(アイプランニング)
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2021年11月13日(土)23:59