溝口琢矢「日常であまりストレスを感じないのが、僕のサイドエフェクトかもしれません(笑)」舞台「ワールドトリガー the Stage」

特集・インタビュー
2021年11月11日

溝口琢矢インタビュー

「週刊少年ジャンプ」で連載が開始され、現在は「ジャンプSQ.」で好評連載中の大人気SFアクション漫画「ワールドトリガー」が待望の舞台化。近界民(ネイバー)と呼ばれる異世界からの侵略者との戦いを、どのように舞台で表現するのか注目が集まる本作。主人公のひとり・三雲 修役を務める溝口琢矢さんに、キャラクターの魅力や稽古の様子を教えていただきました。極めていきたい趣味の話もたっぷりと! 11月10日発売のTV LIFE「2.5D Actor’s File」と合わせてお楽しみください。

◆「ワールドトリガー the Stage」に出演が決まった時は、どのような気持ちでしたか?

僕は漫画を読むのが好きなので、学生時代に「ワールドトリガー」も読んでいて。お話を頂いたときは、“え…? 僕の知ってるあの「ワートリ」?”というのが、まず最初に抱いた感情です。演じるのが三雲 修だと言われて、素直にうれしいと思いました。ただ、三雲 修って僕の中では弱い主人公なんです。「週刊少年ジャンプ」の主人公としては。そんな弱い主人公に決まって喜ぶのってヘンかな? と思いつつ。でもキャラクターとしては好きだし、やっぱりうれしかったです。

◆三雲のキャラクターのどんなところが好きですか?

人間味があるところです。これまでジャンプ作品で僕が好きになってきたのは、実は、人間離れした能力のある主人公だったんです。ナルトもルフィも、めちゃくちゃ強くて、だからこそカッコいいなって。異能力があるヒーローも。そんなヒーローたちの中で、三雲 修は“ん? 能力値、低くないか!? ”となる主人公でした。でも彼は、自分の信念の強さで周りを動かしていくんです。その姿がカッコいいと思ったし、“自分がそうすべきだと思っているから”という象徴的なせりふも、本当にそうだなと共感できたんです。

◆ジャンプ作品は天才的な強さを持つ主人公もいれば、成長していく上で強くなっていく主人公もいる。三雲 修は後者であり、何かで目覚めるというところもない、すごく人間的なキャラクターです。

最新刊まで読んでも、能力にそんなに大きな変化がないんです。“実は潜在能力でこんなことができました!”とか、誰かから受け継いだっていうのもない。周りが強くなっていく中、自分はどう動いたら、みんなを輝かせることができるんだろうかと、司令塔的な役割に徹しているところが、すごくカッコいいなって思います。周りのキャラクターたちの魅力もあって、例えば“もっと強くなってよ”“成長、遅いな”など、マイナスな感情を一切抱かせないところも、好きになった要因かもしれないです。

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◆演じる上で楽しみにしていることは?

まずひとつ安心なのは、役の行動と感情がつながっていて、ちゃんと理解できるところです。三雲 修には、“なんでそういうことをするの?”と疑問に思うことがない。ただ、人間らしい葛藤がちゃんとあるということも含めて、漫画に描かれているところを舞台でやろうとすると、心の内を語って終わってしまう。そこを言葉だけでなく、表情や動き、“間”などで込めていきたいと思っていて。演出の中屋敷(法仁)さんとも、「この“……”の中でいろんな感情や考えが渦巻いていると思うので、表すのに意外と時間がかかるかもしれません」とお話したんです。そこは同意してくださった上で、「もし、言葉にしたほうがいいと思ったら、そこは文字にしよう。でも表情や行動で補える部分は、舞台の醍醐味として積極的に表していこうか」と話し合いながら進めています。

◆SF的な構造や世界観を、どのように表現するのかも気になります。

“フィジカライブ”と言っているぐらいですからね。舞台ならではの表現を生身の体でやるには、どうするのが一番いいのか。振り付けに梅棒さんが入ってくださっているのですが、ダンス、舞い、動き、みんなで体を動かして表現していく形を、大枠から綿密に作り上げているところです。緊迫したシーンでも、近くで見ていてもワクワクするような表現になっていますから。ダンスとお芝居が、別々というよりは混合している舞台になると思います。

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◆キャラクター、作品づくり以外に、溝口さんが今、極めたいことは?

魚をさばくことです。長らく続いている趣味のひとつなんですけど、おいしいお刺し身が食べたいっていう目的がはっきりしていること、集中できてゴールがあるという点において、すごくいい気分転換になるんです。お魚をさばいてお刺し身にしたら、自分の仕事が終わる。ツマや大葉、すだちなどもちゃんと用意して、盛り付けが終わったらミッション終了です!

◆盛り付けは何かを参考にしているんですか?

最近はYouTubeがありますから。魚さばき自体も、半年ぐらい動画を見ていたら投稿者の方が「この動画を長く見ている人なら、もう鯛ぐらいなら余裕だと思いますよ」と言っていたので、そうか、じゃあやってみよう! と始めたんです。ひとつ、明確な終わりがあることって、やり終えるとすごくスッキリするんですよね。

◆これからさばいてみたい魚は?

ブリかな。あ、いやサケにしよう! サケは新鮮なものを手に入れないと、お刺し身で食べられないんです。でも鮭ってメスの場合、いくらのほうに栄養を持っていかれるから、身がちょっとだけ薄くなっちゃう。だから、おいしいお刺し身を求めるならオスを選んだがほうがよくて、いくらも楽しみたい場合はメスっていう選択になりますね。大きい魚は、カツオまでさばいたことがあります。一時期、大きめな魚をさばいたときは、近所のおじいさん、おばあさんにも配ってたんです。でも今は配れないので、なかなか大きな魚にチャレンジできなくて。

◆釣りにも興味はありますか?

やってみたいです。今は釣ってもらったらさばきますよ、っていうポジションですけど、自分で釣るところからやってみたいですね。僕は基本、お一人様が好きなので、ひとりで遊べるものに興味がいきがちで。サバイバル動画もよく見ています。自然も堪能できますしね。

◆ストレス解消になる?

実は、僕は普段、日常生活でストレスを感じることがほとんどないんです。だからストレス解消、というのも考えたことがない。「ワールドトリガー」に登場するキャラクターが持つ「嘘を見抜く」とか「少し先の未来が見える」といったサイドエフェクトのように、これが僕のサイドエフェクトかもしれません(笑)。

溝口琢矢インタビュー

PROFILE

●みぞぐち・たくや…1995年5月9日生まれ。東京都出身。AB型。最近の主な出演作は舞台「モダンボーイズ」「Being at home with Claude~クロードと一緒に~2021」など。『ハンサムゼミ』(MBS)に出演中。映画「ハザードランプ」が22年春公開予定。

作品情報

「ワールドトリガー the Stage」
2021年11月11月19日(金)~28日(日)東京・品川プリンスホテル ステラボール
2021年12月2日(木)~5日(日)大阪・サンケイホールブリーゼ

<STAFF&CAST>
原作:「ワールドトリガー」葦原大介(集英社「ジャンプSQ.」連載/ジャンプ コミックス刊)
脚本・演出:中屋敷法仁
出演:植田圭輔、溝口琢矢/其原有沙、高橋健介、茜屋日海夏、近藤頌利、飯山裕太、廣野凌大、小南光司、河内美里、櫻井圭登、鯨井康介ほか

<あらすじ>
人口28万人が暮らす都市・三門市に、ある日突然、異世界につながる門(ゲート)が開いた。街は蹂躙され、人々は恐怖に包まれた。だが、これに対抗する組織・界境防衛機関「ボーダー」の登場により事態は鎮静化された。それから4年――。門(ゲート)は開き続け、依然として襲撃はあるものの、「ボーダー」の活躍により日常生活を取り戻した人々は、時折届いてくる爆音や閃光に慣れてしまっていた…。三門市の中学校に通う三雲 修と、謎の転校生・空閑遊真が出会い、物語は動きだす。

©葦原大介/集英社
©『ワールドトリガー the Stage』製作委員会

●photo/中田智章 text/根岸聖子 styling/村留利弘(Yolken)hair&make/小倉優美(LaRME)衣装協力/コウズ リック クロ

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