鈴木梨央&倉科カナが“赤ちゃん縁組”に向き合い感じた思いとは『命のバトン』インタビュー

特集・インタビュー
2021年11月17日
左から)倉科カナ、鈴木梨央

1118日(木)放送のドキュメンタリードラマ『命のバトン~赤ちゃん縁組がつなぐ絆~』(BS1)で主演を務める鈴木梨央さんと、共演の倉科カナさん。本作で鈴木さんは“思いがけない妊娠”をする高校生・結を演じる。おなかの子供の父親である同級生は妊娠の事実と向き合おうとせず、孤独の中で葛藤する結に、倉科さんが演じる児童相談所の職員・千春が寄り添い、“赤ちゃん縁組”(新生児の特別養子縁組)をはじめとする、未来への選択肢を提示していく。

久々の共演でありながらも和やかな雰囲気にあふれ、息もぴったりな鈴木さんと倉科さん。そんなお2人が役に向き合っていく中で意識していたことや難しかったこと、本作を通して感じた気づきについて聞きました。

鈴木梨央・倉科カナ インタビュー

◆まず、お互いの印象を教えてください。

倉科:私たちは以前共演したことがあるのですが、当時梨央ちゃんは小学生だったので、久々にお会いしたらこんなにすてきな女性に成長していてびっくりしました。しかも、今回は赤ちゃんをおなかに宿す女性の役を演じるということですごく感慨深いですよね。梨央ちゃんは瞬発的にぐっと集中する力が強いので、私は邪魔をしないように頑張っていました(笑)。

鈴木:私は、久々にお会いしたときに、以前共演したことを覚えてくださっていたことがすごくうれしかったです。いつも明るくて優しい方なので、倉科さんがいらっしゃることで作品自体が明るくなっていく印象を受けました。

◆本作への出演が決まった時の気持ちを教えてください。

鈴木:出演できることに対してのうれしいという気持ちと同時に、不安な気持ちがありました。今まで演じたことがない役柄だったので、自分自身が結の気持ちに近づけるようにするにはどうしたらいいんだろうとずっと考えていて。でも、台本を読んでいくなかで“結の気持ちになりたい”“寄り添いたい”という思いがどんどん強くなってきて、いつからかクランクインを待ち遠しく感じるようになっていました。

倉科:私は台本を読んで使命感を感じました。自分が演じることで、1人でも多くの小さな命が守られればいいなと。生後0日の赤ちゃんを母親が殺めてしまう事件というのはニュースで目にする機会も多く、社会問題にもなっていますから、悩んでいる方がたくさんいらっしゃることを痛感します。お芝居を通して、SOSを出せる場所の存在や、「赤ちゃんもあなたも救われる選択肢があるんだよ」というメッセージを発信していけたらと思いました。

鈴木梨央

◆お2人は、それぞれの役柄を演じる上でどんなことを意識していましたか。

鈴木:世の中には、結のように悩んでいる方がたくさんいらっしゃると思います。そんな方々にとってさまざまな選択肢があることを知るきっかけになったり、悩んでいる方の気持ちや思いが多くの人に届いたらなと思って演じていました。本作では今まで以上に役柄と自分とを照らし合わせ、しっかりと結に寄り添うことができたように思います。

倉科:私は、“話しかけやすさ”を意識していました。児童相談所の職員の方に対して、“相談しにくい”という印象を持たれている方もいるんじゃないかなと思っていて。そういったイメージをできる限り取り払って、身近に感じてもらえるような役柄にしていきたいと考えていましたね。

◆表現していく中で難しさも感じられたんでしょうか。

鈴木:同世代として考えてみたり、「自分が結だったらどう考えるだろう」と考えてみたり。いろんな視点から考えることで、模索していきました。どうすればいいか分からず困っているときの結と、覚悟を決めた後の結の気持ちで、その変化を表現することが難しかったです。

倉科:とてもデリケートな題材を扱っているので、ドラマの表現によって誰かを傷つけることがないように、慎重に言葉を選びたいと思いました。脚本の段階から気になるせりふについて、監督や現場を取材してきたディレクターと何度も相談し、時にはせりふをカットしてもらったり、結や私たちの“芝居”で表現することはできないだろうかと模索しながら進めていきました。

倉科カナ

◆こういった社会問題を伝えていく手段として、エンタメに役割を感じましたか。

倉科:社会問題って、ニュースを通して耳に入ってくることがあってもどこか人ごとに感じてしまったり、概要しか飲み込めないことがあるんじゃないかなって。でも、ドラマをはじめとするエンターテインメントというのは、そういったことをより分かりやすく心に訴えかけることができるというのが強みだと思いますし、“ドキュメンタリードラマ”という形式は社会問題を伝えていくとても良い方法だなと。なので、今回そのような役柄を務めることができ、俳優としてのやりがいを感じました。

◆作品から得た気づきはありますか。

倉科:千春は、「結と生まれてくる赤ちゃんにとって何が一番ベストであるのか」を常に考えて、選択肢を広げることに努めています。けれども、千春として結に向き合っていく中で、「戸惑っているからこそ本心を表現できなくなってしまうこともあるんだな」と気づきました。ですから、“思いがけない妊娠”をした人に対して、周囲の人たちは何かを押し付けることなく、本人の意思を尊重しながら寄り添っていくことが大切だなと思いました。

鈴木:結は千春との出会いに本当に救われたように感じます。いつも包み込むような優しさと、時として背中を押してくれた、そんな千春の励ましで“結の未来”が広がったと思います。誰しも、話を打ち明けたときに親身になって聞いてくれる人がいてくれると、前を向いていくことができるのではないかと思います。そして作品を観てくださった方には、それぞれが感じた気持ちや思いを共有することで、命の大切さを改めて感じていただきたいです。

番組情報

ドキュメンタリードラマ『命のバトン ~赤ちゃん縁組がつなぐ絆~』
BS1
2021年11月18日(木)前編:後8・00~8・50/後編:後9・00~9・50
再放送:2021年11月23日(火)前編:前11・00~11・50/後編:正午~後0・50

©NHK

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