大人気作家・原田マハの美術小説「異邦人(いりびと)」を完全映像化した『連続ドラマW いりびと-異邦人-』が11月28日(日)にWOWOWでスタート。美術の世界に没頭する主人公・菜穂を演じる高畑充希さん、菜穂を演じるのは迷宮をさまよう気持ちだったそうです。京都での撮影エピソードや高畑さんが今、夢中になっていることを教えていただきました。
◆今回、WOWOWドラマ初主演ということですが、いかがですか。
前回、WOWOWのドラマに出演したのは『連続ドラマW 煙霞 -Gold Rush-』という大阪が舞台のバディもので、軽快なやりとりでガンガン進んでいく物語でした。WOWOWの作品は丁寧に作られていて、見やすさもある。その空気が楽しかった記憶があり、また参加したいと思っていたんです。ただ、この作品のお話を頂いた時は、正直“どうなるんだろう…”って。原作を読んだあとに脚本を頂き、すごく難しい題材だなと思いましたし、どうしたら小説の面白さを映像にできるのかなと。でも、こういう雰囲気の作品に参加したいと思っていた時期だったので、どうなるか想像はつかないけど「やってみよう」という気持ちで飛び込みました。でも実際にやってみると、本当に難しくて…。
◆実際に菜穂を演じて感じた難しさとは、どんなところですか?
最初に想像していた難しさとは、また違ったというか。菜穂という女性はつかみきれないキャラクターなんですが、彼女を演じているうちに自分のことまでつかめなくなってきてしまって。なんだか迷宮の中を歩いている感じになっていきました(笑)。
◆確かに、脚本を読んでも何を考えているのか分からない女性という印象を受けました。
共感できるキャラクターではないんです。でも何を考えているか分からない分、面白いキャラクターだなとも思いました。「こういうキャラクターです」って分かりやすく見せるのではなく、徐々に変化していく様が興味深いなと。ただそれも、「できなかったことができるようになりました」みたいな変化ではなく、撮影も時系列がバラバラに進んでいくので、どんどんさまよいながら演じてましたね。
◆萩原健太郎監督からは「菜穂をこういうふうに演じてほしい」という指示はあったのでしょうか。
台本では、原作と違う女性になっていたので、監督も「探りながらやっていきましょう」と。菜穂は、第1話から第5話にかけてどんどん変わっていくのが、特に難しくて。なので、監督と相談しながら進めていきました。いろいろと試してみて監督が「今のカットは菜穂っぽかった」などと言ってくださった時の雰囲気を手掛かりに、少しずつ積み上げていったような記憶があります。