世界最強のスパイ組織“キングスマン”の活躍を描く『キングスマン』シリーズ。その最新作にして、“キングスマン”の誕生秘話を描く『キングスマン:ファースト・エージェント』が12月24日(金)に公開される。そこで今回は、キングスマンの礎を築いた英国紳士・オックスフォード公の吹替を担当する小澤征悦さんと、その息子・コンラッドの吹替を担当する梶裕貴さんにインタビュー。スパイ映画としての注目ポイントから、自分なりのファッションのこだわりまで語ってもらいました。
◆お2人は今回初共演になりますが、お互いの印象は?
梶:小澤さんの俳優としてのお姿はもちろん、番組などでお話されている姿も拝見していたので、とても頭が切れてトークが面白い方だなというイメージがありました。実際にお会いしてもその印象は変わらず、軽快なトークで現場を明るくしてくださいつつ、こういったインタビューの際には、ここぞというポイントを押さえた切り口で作品を語られる。自分にないものをたくさん持っている、憧れの人という感じです。
小澤:この間、とある番組でご一緒したんですが、僕はまず『進撃の巨人』のエレン役というイメージがあったんですね。で、実際にお話をしたら、繊細で物事を深く考える方だなって。すごく真面目な方で、だからこそ声優だけじゃなくいろんな方面で活躍されているんだろうなと。
◆お2人が演じたキャラクターについて教えてください。
小澤:僕は、レイフ・ファインズさんが演じるオックスフォード公という英国紳士を演じました。表の顔は紳士だけど、裏の顔は過激なスパイという役どころです。
梶:僕は、ハリス・ディキンソンさん演じるコンラッド役を担当させていただきました。小澤さん演じるオックスフォード公の息子です。幼いころに母を亡くしていており、人を守ることに対する、ある種の強迫観念めいたものを感じている部分がある人物かと。父と同じく正義感が強く、平和のために、国のために力になりたいと心から願っている青年です。
◆演じるにあたって、どんなところにこだわりましたか?
小澤:レイフさんは英国を代表する役者さんですが、実年齢が僕より少し上だったので、監督と相談して、少し低めの落ち着いたトーンにしました。映画の中でも静かな渋い話し方をするので、それに合わせられるように。
梶:ハリスさんの持つ精悍で華やかな雰囲気は、まるで昔話の王子様のよう。加えて今作では、コンラッドの内面にある熱さや未熟さを感じさせるお芝居を上乗せされていて、”信念を貫く若き青年”という印象を受けました。とにかく原音を大切に、何よりもハリスさんが表現されていることを忠実に形にしようと心に決めていました。
◆今回、小澤さんは吹替をされるのが初めてだと聞きました。
小澤:今回、オーディションで選んでいただいたので、すごくうれしかったです。マイクの前で体をほとんど動かさずに芝居をするのも勉強になりました。空から落ちたり、大男に殴られてうめいたりするアクションシーンも全部自分で演じたので、今後、動かずに声だけで激しい芝居をする機会があったら、この経験を活かせそうだなと思いました。
梶:確かに、声だけでの表現は、声優ならではですよね。逆に僕は、自分が舞台や映像のお芝居に出演させていただく際、どうしても視覚的な動きが小さくなってしまいがちなことをハードルに感じていました。もっともっと、このテーマについて小澤さんとお話してみたいです!(笑)
◆梶さんは、派手なスパイ映画の吹替ということでの難しさはありましたか?
梶:距離感は意識しましたね。日常会話に加えて、今作で大事なのが戦場のシーン。環境的にも空間的にも大きく違う場所なので、誰に向かって喋っているのかを明確にする必要がありました。相手が味方なのか敵なのか、周りが開けているのか狭いのか…秩序などなく、緊張感ばかりが高まっている場所で、どのような声のかけ方をするのか。コンラッドの声に集中しながら繰り返し映像を観て、アフレコに臨みました。
◆今回の物語は、“キングスマン”の誕生秘話が描かれますが、本作ならではの魅力といえば?
小澤:時代背景が感じられるところかな。第一次世界大戦が偶然にして始まるところも描いているわけですが、その歴史的背景にもきちんと触れていて。さらに、戦争の描写もあるんですが、俯瞰で撮った街に爆撃が落ち、廃墟になるところを早回しで見せていく。あえて俯瞰して戦争を描いているところに、この映画のすごさを見た気がしました。それから、いわゆる秘密兵器的なガジェットが、“この時代にあったらいいな”というものばかりなところもワクワクしましたね。
梶:アクションが圧倒的なのはもちろん、シリアスな人間ドラマを丁寧に描いているのが本作品の大きな魅力かと。”英国紳士”と”スパイ”という異色の組み合わせが見事にハマっています。前作はハリーとエグジーの『世代を超えた友情』を、今作はオックスフォード公とコンラッドの『親子関係』を。年齢や人間性の違う2人のバディ感とコンビネーションに惹かれますね。そして、今作はいわゆるエピソードゼロ的な立ち位置。この作品で『キングスマン』の作風に惹かれたら、前2作も間違いなく楽しんでいただけると思います。
◆親子関係という点に注目した際の、本作の面白さは?
小澤:人間臭さですね。オックスフォード公は、息子の決意を知りつつも、やはり危険なところに行かせたくないんですよ。でも言葉が足りなくて、それをうまく息子に伝えられない。コンラッドからすると、その心配がちょっとうざいという(笑)。よくある親子関係ではありますが、そこに英国紳士的なプライドと親子間での駆け引きも混ざってくるので、その関係性ややり取りも見どころだと思います。
梶:作中で描かれている世界は、時代も地域も環境も、現代日本を生きる僕らとは異なる点だらけではありますが…それでもきっと多くの方が、この親子の色々な部分に共感するんじゃないかと思いますね。彼らの意見の食い違いや衝突は、極論、互いを思う気持ちから溢れているもの。シリアスな場面も多く描かれている本作ですが、そんな2人の姿を見ていると「いつの世も、親子ってこんな感じなのかもな」と、どこか微笑ましく思えてくるところもあるかもしれません。
◆親子愛だけでなく、師弟愛を描いている作品でもありますが、お2人が“師”と仰いでいる方は?
小澤:山寺宏一さんですね!!
梶:それ、たぶん僕のエピソードです!(笑)
小澤:(笑)。僕は公私共にお世話になっている佐藤浩市さんですね。ご縁があって一緒にいろいろなことを体験させていただけているのは、本当に光栄なことで。それから、緒方拳さん。僕のことを「征悦」と呼んでくださっていたんですが、芸能界で僕のことを「征悦」って呼ぶのは、緒方さんと浩市さんくらいなんです。緒方さんからは書を教えていただいたことが心に残っていますし、緒方さんと浩市さんの流れの中に自分がいられるのは、うれしいですね。
梶:僕は、それこそ山寺宏一さんです。もちろん尊敬する先輩や近い距離感でお世話になっている先輩方もたくさんいらっしゃいますが…山寺さんは、自分が声優を目指し始めた時に初めて意識した方であり、その後もいろいろな作品でお声をお聞きして、気が付いてみると「この役も山寺さんだったんだ!」ということが多くて。幅広いジャンルでご活躍されていますが、自分の中では「アニメといえば」「吹き替えといえば」山寺さんであり、憧れて目指してきた存在です。今では多くの作品で共演させていただいて…とある作品ではライバル役もやらせていただけるようになり、それが夢のようであり、とてもとても幸せです。このコロナ禍でお酒を飲みに行く機会がなかったので…早くご一緒して、いろいろなお話を伺ってみたいです。
◆先ほど、作品の時代ならではのガジェットが登場するというお話がありましたが、特に気になったガジェットは?
小澤:オックスフォード公が、氷河みたいな崖にしがみつかなければいけないシーンがあるんですが、その時、胸元から小さなナイフを出して靴の先につけて、それで崖を登るんです。僕は、そこに時代を感じましたね。
梶:オックスフォード公が持っている杖です。前作においてのハリーの傘もそうですが、日常アイテムが隠し武器になっているところが面白いですよね。まさに、英語紳士! という印象ですし。
◆スパイ映画ということで、アクションシーンでの目玉を!
小澤:ラスプーチンのアクションはかっこいいですね! 曲と動きがリンクしていて、めちゃくちゃおしゃれ。
梶:僕もそのバトルは印象的でした! ラスプーチンのインパクト、半端ないですよね(笑)。貴重な親子共闘シーンでもあるので、思い出深いです。
◆英国紳士といえば、ファッション的なこだわりも欠かせないかと思いますが、お2人のファッションのこだわりは?
小澤:僕は赤いパンツ、ボクサータイプの赤い下着をいつもはいています。あと、JAMES PERSEのVネックのTシャツが好きで、同じものを30枚くらい持ってます。今日も着てきましたし、昨日も着てました。
梶:たしかに、初めてお会いした時も着てらっしゃいましたよね?
小澤:もちろん、毎日変えていますよ!(笑) 僕たちは芝居をする時、必ず衣装に着替えるので、私服に意識がいかないというか。自分の好きなものを着ていたいだけなんですけどね。
梶:なるほど、分かる気がします。そういえば、先日放送された占いの番組で、小澤さんと赤パンツの相性は褒められていましたよね(笑)。僕はオレンジや黄色がラッキーカラーだと言われたので、いつか買おうとは思っていますが…僕はできるだけ目立ちたくないタイプなので…。
小澤:スパイ的に。
梶:そう、スパイ的に…って続けると、話が明後日の方向に行ってしまいそうなので戻しますが(笑)、僕は黒を選んでしまいがちなんですよ。カラフルなアイテムもファッションとしては大好きなんですが、普段着という観点で考えると、どうしても「目立ちたくないな」という気持ちの方が勝ってしまって。結果、モノクロの地味めな服ばかりに落ち着いてしまいます。とにかく闇に紛れたい一心で黒い服ばかり身に着けていると、気づけば全身真っ黒になってしまっていることがよくあって…さすがに妻に「それ、逆に目立ってるんじゃない?」とイジられてしまいました(笑)。なので、カラフルで派手めな服装は、イベントや撮影の時に思いきり楽しむような形ですね。私服では「よく見ると、実はこんなこだわりが!」というような、襟の形やボタンの材質などに遊び心があるものを好んで着ることが多いです。
小澤:でも、ちょっとずつ違うっていうのは、おしゃれだと思うよ? 僕は全部同じだからね。
梶:でも、着心地は大事です!
小澤:僕はTシャツと赤パンツ一本でやっていくので(笑)。
梶:じゃあ、僕は形や素材の方面で頑張っていきたいと思います(笑)。
PROFILE
小澤征悦
●おざわ・ゆきよし…6月6日生まれ。カリフォルニア州出身。2022年1月より放送開始のテレビ朝日木曜ドラマ『となりのチカラ』に木次学役で出演。2022年3月18日より公開の映画「KAPPEI」(平野隆監督)が控える。
梶裕貴
●かじ・ゆうき…9月3日生まれ。東京都出身。2022年1月9日より放送開始のアニメ『進撃の巨人 The Final Season』にエレン・イェーガー役で出演する。
作品情報
『キングスマン:ファースト・エージェント』
2021年12月24日(金)公開
(STAFF&CAST)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題:THE KING’S MAN
監督・原案・脚本・製作:マシュー・ヴォーン
キャスト:レイフ・ファインズ(オックスフォード公)、ハリス・ディキンソン(コンラッド)、ジェマ・アータートン(ポリー)、リス・エヴァンス(ラスプーチン)、ジャイモン・フンスー(ショーラ)
吹替キャスト:小澤征悦(オックスフォード公)、梶裕貴(コンラッド)
(STORY)
表の顔は、高貴なる英国紳士。裏の顔は、スパイ組織“キングスマン”。世界最強ともいわれる“キングスマン”の最初の任務は、世界大戦を終わらせることだった…! 英国貴族のオックスフォード公と息子のコンラッドは、仲間たちと共に世界大戦を密かに操る闇の狂団に立ち向かう。果たして彼らは、戦争を止めることができるのだろうか?
公式サイト:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/kingsman_fa
公式Twitter:@kingsmanjp
© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
photo/関根和弘 text/野下奈生(アイプランニング) hair&make/石邑麻由(小澤)、高橋優(フリンジ)(梶) styling/吉田幸弘(小澤)、SUGI(FINEST)(梶) 衣装協力:ディスティンクション メンズビギ(小澤)
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<応募締切>
2021年12月27日(月)23:59