萩原みのり「私、“清純派”って言われると思ってた(笑)」 映画「成れの果て」で難役を熱演。「今は目の前の仕事に全力で挑むだけ」

特集・インタビュー
2021年12月02日

萩原みのり「成れの果て」インタビュー

昨年から今年にかけてドラマや映画出演がめじろ押しの萩原みのりさん。12月3日(金)から公開される「成れの果て」では、悪夢のような過去を背負いながら生きる主人公・小夜の苦しさを、鬼気迫る演技で表現。緊迫感あふれる本作の撮影中、彼女が心がけていたこととは。

 

◆最初に台本を読んだ時、どんな印象を持ちましたか?

ホントにとてつもないお話で、ものすごいストーリーだなと。電車の中で読んだんですけど、台本を閉じてしばらく固まってしまったくらい。台本を読んだだけでは小夜が取っていく選択が私には理解できなくて、想像できないくらいつらい気持ちにならないとあそこまでたどり着けないんだろうと思い、自分にこの役が演じられるのか不安でした。でも、もしかしたら演じてみないと小夜の気持ちは分からないんじゃないかなとも思って、彼女の気持ちを知りたかったし、彼女が見ている景色を見てみたくて、思い切って挑んでみようって。

萩原みのり「成れの果て」インタビュー

◆小夜以外の登場人物もみんな曲者ぞろいです。特に気になったキャラクターはいましたか?

やっぱり、お姉ちゃんのあすみですね。もし自分がお姉ちゃんの立場だったら、どんなことを思うんだろうと考えました。小夜もお姉ちゃんもどちらも悪くないし、それはお互い分かっているんだけど、2人の間にはどうしても埋まらない溝がある。そうした中でのお互いの気持ちを、すごく考えましたね。

◆撮影に入る時は何を一番に考えていたんですか?

冷静でいること。カメラの前で感情を爆発させるシーンはいくつかあったんですが、その爆発する瞬間以外は常に冷静でいようと思っていました。

萩原みのり「成れの果て」インタビュー

◆実際に撮影が始まってからはいかがでしたか?

撮影が始まっても共演者の方たちと距離をとっていて。もちろんごあいさつはするけど、みんなそれ以上の会話はしませんでした。大勢で集まってワイワイお喋りするようなことは全くなかったし、みなさんが私に気を遣っている感じで。きっと小夜自身も周りの人たちからそういう扱いを受けてきたと思うんですけど、皆さんのおかげでその気持ちを自然に感じることができた気がします。

◆撮影の合間は、1人で何を考えていたんですか?

今回、衣裳さんが私の友人だったということもあって、なるべく友人とフラットな状態でいるようにしてました。小夜は怒りを抱えているとは思うんですが、彼女の中ではそれすら日常になじんでいるはずなので、オフの部分でも、苦しい気持ちを持ち続けるよりはフラットな時間があったほうがいいと思ったんです。

萩原みのり「成れの果て」インタビュー

◆それでも内容が内容だけに、現場には緊張感が漂っていたのでは?

穏やかなシーンが1つもないので緊迫感はありましたけど、私は自分のシーン以外はなるべく撮影している部屋から出るようにしていました。ほかの作品では、むしろ現場にいることのほうが多いんですけど、居心地の良さを感じたくなかったので。決して和やかな現場ではなかったので、この現場を振り返って“楽しくていい現場だったな”と思っているキャストはいないかもしれないですね(笑)。

◆撮影中、悩んだり苦労したことはありましたか?

最初から、お姉ちゃんとの距離感はかなり難しいなと思っていました。“姉妹”である瞬間は冒頭シーンぐらいしかなくて、そこ以外はずっと小さな溝がある。そのことは2人の中で常に持っていなきゃいけないなと思っていたんですが、それを露骨に見せるのも違うし、そのバランスがすごく難しくて…。結果、それがお姉ちゃんとのぎこちない空気につながって、いい意味での気まずさを作れたかなと思います。

萩原みのり「成れの果て」インタビュー

◆完成した映画を観た時、一番に思ったことは?

展開が早い作品なので、映画を観た方がどれくらいついてきてくれるんだろうって。私は、小夜のことをあまり遠くに感じてほしくないなと思っていて、彼女を理解できないまでも、こういう人もいるということを少しでも分かってもらえたらうれしいですね。それがどれくらいお客さんに伝わるのか、どう受け止められるかというのは、今まで自分が出演してきた作品の中で、正直一番分からないです。

◆とはいえ小夜は主人公ですし、見ていて感情移入しやすい気もします。

ただ、好いてもらえる瞬間を作るシーンが、かなり少ないんですよね。小夜が普通の、どこにでもいる女性なんだというのが伝わる瞬間が、1か所くらいしかないので。それが縁側のシーン。あの瞬間だけは小夜がオフになっているので、そこはすごく大事にしたくて、あのシーンの撮影は変な緊張感が自分の中にありました。“ここでお客さんに好いてもらわなきゃ!”って(笑)。

◆そんな小夜を演じて、今どんなことを感じていますか?

演じる前に想像していた“小夜が見ている景色”よりもはるかに苦しいなというのは、演じ終わった時に思いました。やっぱり想像だけじゃ分からないことがたくさんあるんだなって。とはいえ、私は演じただけで、実際に自分が経験したわけではないので、結局は想像でしかないんですけど、小夜が最後に出てくるシーンを撮った時は、本当に苦しくて。“この答えしか出せなかった小夜は、どれだけ苦しかったんだろう”って、すごく思いました。

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◆女優としてデビューしてからの活動を振り返って、一番感じることは?

私、“清純派”って言われると思ってたんです(笑)。でも、デビューしてから一度も清純派とは言われず、“あれ?”と思って。母にも「おかしいよね?」って言ったり(笑)。いつも“個性的な”と形容されて、その違和感はデビューしてからずっと感じているんですけど、でもその代わりいろいろな役をやらせていただけていているので、そこはすごくありがたいなと。

◆演じることについては?

もともと学芸会などで演じることは好きだったんですが、実際に女優として芝居をするのは、思っていたよりも苦しいし、思っていたよりも難しいし、でも思っていた以上に楽しいという思いはずっとあります。

◆この先の女優業について考えることはありますか?

逆に、どんどん考えなくなってきましたね。昔は先のことばかり考えて、“いつかこういうお仕事ができたらいいな”とか、いろいろ思っていたんですけど、今は目の前のお仕事を全力でやるだけ。そのほうが濃い密度で1つひとつのお仕事と向き合える感じがするし、以前よりも演じることを楽しめているなと思います。

萩原みのり「成れの果て」インタビュー

◆今後やってみたい役などはあるんですか?

コメディー作品に出てみたいのと、そろそろ年齢的にギリギリになってくるので、今のうちに学生服を着る役をもっとやっておきたいです(笑)。

◆20年後の自分は想像できますか?

ずっとこのままでいたいなと思ってます。子供みたいに無邪気なままの大人になりたいし、いつまでも「大人になりたくない」と言ってたいです(笑)。

◆今のところ無邪気なまま生きている?

無邪気に生きてる気はします。昔はもっと大人ぶっていたんですけど、それをしなくなった感じ。背伸びをするのは、もういいかなと思って。

◆20年後、萩原さんがどんな女優になっているのか楽しみです。

こんなことを言っておいて、すごく落ち着いた大人の女性になっていたら申し訳ないですけどね(笑)。

PROFILE

萩原みのり「成れの果て」インタビュー

萩原みのり
●はぎわら・みのり…1997年3月6日生まれ。愛知県出身。2013年、ドラマ『放課後グルーヴ』で女優デビューし、同年には「ルームメイト」で映画デビューも。以後、映画、ドラマ、舞台などで活躍し、2021年『RISKY』で連続ドラマ初主演を果たす。現在放送中のドラマ『お茶にごす。』にヒロイン・浅川夏帆役で出演。

作品情報

『成れの果て』
2021年12月3日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

(STAFF&CAST)
監督:宮岡太郎
脚本:マキタカズオミ
出演:萩原みのり、柊瑠美、木口健太/田口智也、梅舟惟永、花戸祐介、秋山ゆずき、後藤剛範
配給:SDP

(STORY)
小夜(萩原みのり)は東京でファッションデザイナーの卵として暮らしていた。そんなある日、地元に暮らす姉のあすみ(柊瑠美)から連絡が入り、今度結婚すると告げられる。相手の名前を聞いて小夜は愕然とする。その男は8年前にある事件を起こしていた。いてもたってもいられず、友人のエイゴ(後藤剛範)を連れて故郷へ戻った小夜。妹の突然の帰郷に、あすみは動揺を隠せない。その日から、質素ながらも平穏だったあすみの暮らしは、小夜を中心に回り出す。

公式サイト:https://narenohate2021.com
公式Twitter:@mov_narehate

©︎2021 M×2 films

 

photo/TOMO(tweety) text/水上じろう hair&make/石川奈緒記 styling/清水奈緒美

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