◆加瀬にとっての“最愛”について、回を重ねてどのように感じていますか?
加瀬の“最愛”は、変わってないんだなって思います。3話の始まりのナレーションで、加瀬は自分の家族について語ったんですよね。他の人たちもそれぞれ自分の“最愛”について語ったんですけど、加瀬にとってはそれが家族で。でも、血がつながってる、つながってないってことじゃなく、真田家との関係はそういうものを越えたところにある。梨央との関係も、きっかけは梓さん(薬師丸ひろ子)の「うちの娘のこと、加瀬君に任せたよ」ってことだったかもしれないですけど、仕事もプライベートも支えていくっていうことを15年以上してきて。それ以外は本当にないんですよね。本当にこの人はすごくシンプルなマインドを持っているなと。でも、加瀬の“最愛”の形っていうのは、もしかしたら多くの人が持ってる“最愛”の形でもあるのかもしれない。登場人物の“最愛”の形の中で一番シンプルというか、普通なんじゃないかと思ってるんです。分かんないですけどね、9話と10話でテーブルをひっくり返すかもしれないですし(笑)。今の所はそんなふうに思ってます。
◆加瀬には“普通さ”があると捉えていらっしゃるんですね。
今ロケが終わってオフィス街にいますが、ちょうどお昼時なのでたくさんの人がお昼に向かっていて。加瀬もその中の1人にいても何の違和感もないというか。そういう感じなんですよね、加瀬の存在って。後藤さんがここにいると浮くんですけど(笑)。後藤さんとちょっと並べて見ると、後藤さんみたいな繊細さって意外と加瀬は持ち合わせてなくて。後藤さんは公園の芝生の上では絶対寝っ転がらないでしょうけど、加瀬はきっと寝っ転がっちゃう。どんなに梨央社長が自由奔放で、「やるな」っていうことどんどんやって振り回されても、加瀬は鼻血は出さないですし(笑)。そういう図太さも持ってるんですよね。そういう意味でも加瀬って、マンションの隣の部屋に住んでる人ぐらいの距離感の人だと思ったりして。サイコパスのような人でも、今の所はないですし。特別な能力を持ってる訳でも、個性が強い訳でもない。本はだいぶ好きみたいですけど。そういう普通の人が持つ“最愛”ってどれぐらい強いのかなって、10話に向けて僕も楽しみなんです。