井浦新インタビュー「加瀬に関しては芝居してないです。ドキュメンタリーです(笑)」『最愛』

特集・インタビュー
2021年12月09日

『最愛』井浦新インタビュー

◆今回、松下洸平さんと初共演してみて感じた魅力を教えてください。

これは本当は何かを介してじゃなく、終わってから本人に言いたいなと思ってたことなんですけど…、まぁいいかな。洸平君に関しては、とにかく初めましてからのスタートで。役柄的にも梨央を中心に対峙して、それぞれの梨央への寄り添い方や守り方っていうものがあるからこそぶつかっていくっていう関係なので、お互いどういうお芝居ができるのかって楽しみにしていました。1話から4、5話ぐらいまでは、何かしらワンシーン必ず大輝と加瀬のバチッとしたシーンがあって。僕は「ここはバチバチしちゃっていいやつですよね?」っていう感じで、前のめりでしたね。分かりやすく大声で畳みかけるとか、それとも静かにだけど間違いなく火花が散ってるとか、いろんなやり方があるなと考えながら。初共演っていうのは1回限りのご縁で、次に他の現場で会ったら、これを経た2人の何らかの芝居になってしまう。お互いの手の内が読めない『最愛』での洸平君とのお芝居は、楽しんで大切にしていきたいって思いが、正直一番強かった。洸平君もしっかり応えてくれてましたし。特に面白いなと感じたのが、僕の大輝のせりふの読み方と、洸平君の読み方全然違うんですよね。“洸平君だったらこうしゃべってくるかな” “加瀬のせりふはどうしようかな”ってイメージを張り巡らせるんですけど、どれにも当てはまらないものを必ず本番に出してくる。僕はあまり芝居を決めないで、相手との反射のし合いが楽しいと感じるので、本番に芝居が変わってきたら変わったなりにやるんですけど。洸平君の体の中に流れてるリズムがきっと独特なんですよね。息を吸って、こんなところで止めて、最後の言葉はこんなふうに吐き出してくるのかっていう。それを受けて加瀬のリズムに持ってくるためにも、自分の中でエンジンがどんどん回転するんです。自分が予測したものじゃないものが毎回来るので、本当に楽しいです。“なんで今、体をこうやって動かしたの?” “そのせりふを言いながら、そんな体の動かし方するの?”って話を洸平君に振ってみたりするんですけど、本人は全然気づいてないのも面白くて。あと、バチバチした芝居をやっていくと、予定調和になったり慣れてしまったりもするので、“そうならないぞ”って自分に言い聞かせる目標として“バチバチフレッシュ”で“バチフレ”って残しておこうってSNSに書いたんです。さっきの“ジリキュン”の延長線上の言葉なんですけど(笑)。今、8話までやってきて、大輝と加瀬のお芝居の間合いとか、空気感がいまだにフレッシュな状態でいれてるのは洸平君のおかけだなと思ってます。

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