◆そんな、おいしいものがご褒美の広瀬さんが主演を務める『失恋めし』が、新年早々、Amazon Prime Videoで配信されます。この作品は、見ていると物語に引き込まれるだけでなく、すごくお腹が空くドラマですね(笑)。
良かった!(笑) その感想、すごくうれしいです。ぜひドラマに登場するお店のロケ地巡りもしてほしいです。
◆どの料理もおいしそうに食べている広瀬さんの姿が印象的でした。
どれも本当においしかったです! 本番中も、たまに撮影ということを忘れそうになるくらい“おいしい〜!”と思いながら食べていて。監督からカットがかかったあと、スタッフさんに、「これ、全部食べていいですか?」って、全部いただいていました(笑)。
◆今回演じたミキは、街で失恋した人を探し求めては、そこで出会った人たちのエピソードを「失恋めし」というコミックエッセイにしているイラストレーターの女性です。最初にこの設定を聞いた時はいかがでしたか?
食事と失恋の組み合わせに面白さを感じました。私の持論ですが、人はおいしいものを口にしている時、不幸とか哀しさから一瞬だけ遠くにいけると思うんです。“おいしい!”と思った瞬間だけは、嫌なことや落ち込んでいたことを忘れさせてくれるような。
◆確かにそうかもしれませんね。
しかもその喜びって、気持ちを前向きにさせてくれる力でもあると思うんです。“おいしいと思える感情があるのなら、自分はまだ大丈夫なのかな”って。このドラマは、決してものすごくポジティブなことを描いているわけではないですし、哀しさを完全に打ち消してくれるものでもないのですが、落ち込んでいる人の背中を軽くポンと押してくれる、そんな優しさに溢れた作品だなって思います。
◆タイトルだけを見ると、少し切ないドラマのような印象がありますが、決してそうではないですよね。
そうなんです。失恋って聞くと、どうしてもネガティブなイメージが思い浮かびますよね。なので私も、“どんなお話になるのかな?”と思っていたら、“こんなにも心がほっこりする作品なんだ!?”って驚きました。それに、失恋した相手になんの感情移入もせず、淡々と取材をしているミキの姿もおかしくて(笑)。たいていの女性は、失恋話を聞かされると自然と気持ちが入っちゃうと思うんです。「それは許せないね!」って同情したり、慰めたり。もちろん、そうした言葉もかけるんですが、ミキは完全に一線を引いた状態で会話をしていて、「それ本当ですか?」とか「えっ、それで?」ってドライにインタビュアーに徹しているところがある。完全に仕事モード(笑)。そこも面白いです。
◆過剰に寄り添わないからこそ、相手も喋りやすいのかもしれないですね。
そうですね。ミキの聞き方にはあまり嫌味がないですし。というのも、場合によっては、初対面の相手にいきなり失恋話を聞いて、「それ、エッセイで書いてもいいですか?」とお願いするのは、すごく嫌な女性に見えてしまうこともあると思うんです。ですから、そこは監督とよく話し合って、聞き役のミキをどんなスタンスにしていくか考えていきました。