これまでに発売された番組DVDは累計100万本を突破するなど、異例の大ヒットを飛ばしているバラエティ番組『内村さまぁ~ず』。番組開始から10周年を迎える今年、同番組が「内村さまぁ~ず THE MOVIE エンジェル」(9月11日(金)公開)としてまさかの映画化。内村光良、さまぁ~ずらレギュラー陣が出演するほか、映画の製作も番組スタッフが担当。劇中では劇団兼探偵事務所のメンバーを演じた3人に話を聞きました。
普通の役者さんの10倍は疲れました(笑)(三村)
――どのような流れで映画化に至ったのですか?
内村:『内村さまぁ~ず』を立ち上げた工藤ちゃん(工藤浩之監督)とは20年ぐらいの付き合いが3人ともあるので、「1回映画やろうか」みたいな話になって。きっと酒の話からだよね。
三村:そうですね。突然な感じはしましたよ。「え、本当に映画やるんですか?」みたいな。
内村:で、急にこういう感じになってましたね。きっと水面下では動いていたんでしょうけど、我々はそんなに知らなかったんです。
大竹:そうなんですよ。あんまり映画の話を聞かない期間もあったから、もうやらないのかなって思ってたんです。だから決定したときは「本当にやるんだ」って(笑)。
内村:その後にプロットが届いたんですけど、初めてプロットを見たときは「私たちが探偵を演じて、ちゃんとした1本のお話にするんだな」って思いました。撮影中はいろいろ意見を求められたんですが、「こう動きたい」って言ったぐらいで、脚本とかには一切タッチしていないですね。演者としてだけです。
――三村さんは本作で主役を務めていますが、大役を張ってみていかがでしたか?
三村:疲れましたね。撮影が1年前だったのでちょうど去年の今ごろを思い出しますけど、ふらふらでした。多分普通の役者さんだったら軽くこなすんでしょうけど、その10倍は疲れてたと思いますね(笑)。何せ何にも覚えられないんで、周りの方に支えてもらわないと立ってられないぐらい、精神的に疲れちゃいました。
大竹:ぐったりしてたもんな。
三村:台本の暗記が大変で…。
大竹:僕は長年知ってますから。覚えることは無理だって。
三村:(笑)。「よしっ!」って言って、よしだった試しがないからね。
大竹:三村さんは一生見ても覚えないですから。で、また監督が「三村は台本覚えてこなくていいよ」なんて言うから…。
三村:最初そんなノリだったんですけど、いざ始まったらそうじゃなかったんです。「やっぱり覚えてこないといけないじゃねーか!」みたいになって(笑)。
大竹:工藤さんも分からないぐらいのレベルでやってなかったってことですね。
三村:だって監督が「三村は当日見りゃ大丈夫ぐらいの量だから」って言ってたし…。
大竹:だから横で僕は「何を言ってるんだ。逆ですよ。絶対覚えさせたほうがいいです」って思ってたんですけど、結局そのまま覚えずに来ちゃって。そこからもう三村さんがおかしくなってました。
三村:(苦笑)
鶴瓶師匠が藤原令子ちゃんの胸を触ろうとしたので全員で止めました(内村)
――劇中はアドリブが多いと伺いました。
内村:アドリブのところも、ちゃんとした下地のせりふがあるんですよ。その上でカットがかかるまでずっとアドリブを続けて…。私らも笑ってましたけど、劇中で急に笑い声とかが入ってくる場面はアドリブです。
三村:そういう映画はあんまりないですもんね。
内村:(笑福亭)鶴瓶師匠がアドリブで(藤原)令子ちゃんの胸を触ろうとしたんですけど、全員で止めにかかりましたから。しかも、みんな役のまんまツッコんでるんですよ。
大竹:使われるかもしれないので、OKかかるまでは一応そうしてました。
内村:確かに。そういう気を発していたんですよね、あのおじさん。「やるな」っていう。
三村:そしたらやっぱりやりましたね(笑)。
内村:鶴瓶師匠が朝イチで水をかけられるシーンもありましたが、(撮影が冬場だったので)寒かったと思います…。
三村:「お湯にしてや~。演技できるから」って声が聞こえてきました。
――アドリブが続くと、結構テイクを重ねたのではないですか?
内村:いや、そうでもないんです。やってもテイク2ぐらいですかね。
三村:そうですね。意外とOKが早かったです。
大竹:あと、モニターチェックがなかったんですよ。
内村:だから早撮りでしたね。やったものは振り返らない主義。
三村・大竹:(笑)。
内村:「もういいんだ。これが生きた証しだ。(監督のOKがかかれば)もうOKなんだ」という気持ちでやりました。あと撮影期間も短くて、主役の三村君が11日で、私らは10日だったかな。
――50名を超える芸人さんが出演されていますが、10日間でこれだけの芸人さんが集まってくれたってことですよね。
三村:誰が出るか分からないんで、控え室見て「お!今日出んの?」みたいなのばっかり(笑)。映画終盤、俺が走ってる場面で梅小鉢の2人に道を聞くシーンがあるんですけど、「あの辺にいる梅小鉢の2人から道聞けばいいから」ってスタッフに言われて。「もし違う人に聞いたらどうします?」って質問したら「大丈夫、大丈夫」って(笑)。だから「よろしくお願いします」と言って始まるんじゃなくて、梅小鉢はもう既に立ち位置にいるっていう。それで終わったら「お疲れ様でした」と言って帰っていく…。
大竹:(笑)。会ってない人も結構いますから。
三村:確かに。でもラッキーな人もいましたよね。せりふがあったのはアンジャッシュの児嶋(一哉)とカンニング竹山、つぶやきシローぐらいじゃないですか?でも、「こんだけかよ!」って文句言って帰っていく人はいませんから。みんな納得してたし、協力体制万全みたいな感じでしたよね。内村さんの人徳じゃないですか、ここは。
内村:関係ないよ…。
三村:ここで内村さんに恩を売っといて「ほかの番組も出して!」みたいな。
内村:嫌らしいな!(笑)
人を消すマジックは、本当に消してるんです(大竹)
――映画の序盤にはアクションシーンもありましたね。
内村:当日、現場行ってびっくりしました。
三村:車も頻繁に通る普通の道路なんですよ!
内村:しかも商店街だから、「ここでやんの?」って本当に面食らいましたね。
大竹:しかも撮影がハロウィンの日だったんですよ。ハロウィンの子供の行列が来て、それがハケるまで撮影待ったりもしました(笑)。
内村:そうそう。「200人ハケるの?」とか。本当にあの場所でよくアクションシーンできたなって思いますね。
大竹:ちなみに、三村さんはオールスタントマンですよ(笑)。
三村:だって俺がバク転できるわけないじゃないじゃん!できたらとっくにテレビで見せてるから。でも、内村さんはノースタントですよ。
内村:そうなんですけど、当日急に殺陣の練習をしたので本当にびっくりしました(笑)。もっと簡単なものだろうと思ったんですけど、結構本格的でしたね。
――大竹さんは劇中でマジックも披露していますね。
大竹:僕、急に趣味がマジックって設定になったんです。で、マギー審司が現場に来てくれて、わざわざマジック教えてくれたんですよ。タネがバレていいマジックとバレちゃいけないマジックがあるみたいなんですが、バレちゃいけないマジックをやるときの緊張感ときたら…。
三村:だからハトとか人が消えるマジックは、本当のマジシャンみたいにタネ明かししてくれなかったもんね。
内村:そうだった。あと、ハトが元気なくてNGっていうのもあったし。
三村:ありました、ありました(笑)。まあ本番もそこそこ元気ないんですけどね。
内村:ハトがぬいぐるみに見えてきたり。
大竹:「ハト元気だせよ」って。
内村:どうやって元気出すんだよ(笑)。
大竹:ハトもそうですけど、最後に披露した人を消すマジックも大変でしたね。あれカット割じゃなくて本当に消してるんですよ。でもOKテイクは出来としては60点ぐらいですかね。もうちょっとやれたかもしれない…。
内村:あれがオールアップの日で、ラストカットでした。
三村:そうですね。夜に近かったです。
内村:私は長ぜりふが多かったんですけど、私が話してる後ろで大体なんかやってるんですよ。だから私のところにほとんど目がいかないのがしゃくに障ってね。誰も見ちゃくれない(笑)。
大竹:内村さんが真剣に話してる後ろで炎が出るシーンは、火が上がらなくてNGになりましたから。
内村:あれは7テイクぐらいかかりましたね。
大竹:内村さん、何回も真面目なせりふを言ってて…。
内村:だから本編で使われてないカットが私の気に入ってるせりふだったり(笑)。
大竹:内村さんじゃなくて後ろの技術合わせですから。
内村:そんな映画あるのかよ!誰も私の芝居見てくれない。みんな火の心配しかしてない…。
劇中は奥の方で何かしら巻き起こってます(内村)
――実際に映画を観た感想を教えてください。
三村:客観的には見られないんですけど、「すぐ終わるから見やすい作品。これぐらいでいいんじゃないかな」って思いましたね。映画って腰上げんの大変じゃないですか(笑)。でも、この作品は「130分か…」みたいな気持ちにならないので。
内村:トイレの心配もしなくていいですね。予告がいくら長くても、85分ですからギリ間に合います。
――最後に、本作で注目してほしいところや面白いポイントを教えてください。
内村:さっきも言ったんですけど、私が手前で芝居してるときに奥の方で何かしら巻き起こっているので、そこを見てほしいです。私なんていいんです(笑)。
三村:舞台あいさつのときにも言ったんですけど、2回見てほしいなって思います。いろいろアンケートを取ると、奥の方に集中すると内容が入ってこないみたいなんですよ。だから1回目で手前のストーリーを把握してもらって…。
大竹:それで2回目は奥に集中するみたいな感じですかね。あと、意外と何気ないシーンでグッとくるんですよ。僕とは関係ないシーンなんですが(笑)、例えば竹山が走ってるシーンとか。三村さんも走ってますけど、走るシーンで泣けます。走るって…いいですよね。
(一同爆笑)
内村:そういうことなのよ!
三村:おじさんが真剣に走るっていうのがすべてです(笑)。
PROFILE
内村光良●うちむら・てるよし…1964年7月22日生まれ。熊本県出身。AB型。
さまぁ~ず
三村マサカズ●みむら・まさかず…1967年6月8日生まれ。東京都出身。A型。
大竹一樹●おおたけ・かずき…1967年12月8日生まれ。東京都出身。O型。
作品情報
「内村さまぁ~ず THE MOVIE エンジェル」
9月11日(金)全国公開
脚本:森ハヤシ、たかはC
監督:工藤浩之
出演:三村マサカズ、内村光良、大竹一樹、藤原令子、久保田悠来、京本政樹、笑福亭鶴瓶 ほか
主題歌:PUFFY「これが私の生きる道」
【STORY】
「エンジェル社」は、依頼に合わせてシナリオを作り、メンバーが架空のキャラクターを演じて依頼を解決する、劇団兼探偵事務所。メンバーは、代表のマサル(三村)、役者兼脚本演出の次郎(内村)、マサルの幼なじみで役割不明の大島(大竹)、女優志望の夕子(藤原)、役者兼調査担当の伊東(久保田)の5人。ある日、エンジェル社に訳ありげな男・中川(鶴瓶)が訪れ、思いもよらない依頼が舞い込む。
公式HP(http://uchisama-movie.com/)
(C)2015 「内村さまぁ~ず THE MOVIE エンジェル」製作委員会
●photo/関根和弘 text/金沢優里 hair & make/大の木ひで(Hidden)
styling/中谷東一(内村)、髙村純子(さまぁ~ず)