◆原作は人気漫画ですが、どんな印象を持ちましたか?
とても前向きになれるお話で勇気をもらいましたし、この作品がアニメ映画になることにとてもワクワクしました。漫画のモノクロの絵に色がついたら、どういう世界になるんだろうなと。あと、たまきの明るさや一生懸命なところがまさに“ヒロイン”という感じだったので、自分もその天真爛漫さを表現できるように頑張ろうと思いました。
◆たまきの魅力は?
共感できる部分より、私自身にはない部分でいいなと感じたのが、自分の思ったことをありのまま伝えられるところ。大人になればなるほど、いろいろ考えすぎて言葉選びに慎重になってしまうことってありますよね。そうすると回りくどい表現になって、自分の伝えたいことがちゃんと伝わらなかったりして…。だから、感情のままに行動できるたまきは本当にすてきだなと思います。
◆たまきはサークル活動や恋愛といった普通の大学生活に憧れて長崎県から上京します。堀田さんも芸能活動のために滋賀県から上京されたそうですが、ご自身と重なる部分もあったのでは?
そうですね。私が上京した当時は年齢が若かったこともあり、怖いものなしで(笑)。“これから楽しいことが起こるんだろうな”という期待しかなく、たまきと同じように全てがキラキラして見えました。
◆たまき役はオーディションで決まったそうですね。
はい。オーディションでは、劇中のたまきのせりふの一部を読みました。普段のお芝居のオーディションは制作スタッフの方々が目の前にいらっしゃるのですが、今回のオーディションは1人で収録用ブースに入って、制作スタッフの方々は違う部屋にいらっしゃったんです。ただ、ブースでの様子をたくさんの方が見られる状態だったので、ものすごく緊張しました。
◆実際にアフレコが始まって、監督からのオーダーで難しかったことは?
ありがたいことに、監督は「自由に演じてください」とおっしゃってくださって。「ここをこうしてほしい」という細かな指示はほとんどなく。もしそう言われていたら私、きっとパニックになっていたと思います…。初めての声優がこの作品で、このチームで、本当によかったです。
◆今回の声優の経験は、今後、女優の仕事に何かフィードバックできそうですか?
声優のお芝居は、女優のお芝居とはまたちょっと違うのかなと思いました。例えば、“息芝居”はドラマや映画では使わないですし。なので今回の経験は、もしまた別の作品で声優ができる機会があったら、その時に生かしたいです。今回、キャストやスタッフの皆さんのおかげで本当に楽しくお芝居ができました。ぜひまた声優に挑戦してみたいです!
◆今後、別の作品でまた声優ができるとなったら、どんな役に挑戦してみたいですか?
人間ではないものになれるのもアニメーションの魅力だと思うんです。なので、自分の目で見たことのない妖怪とか、架空の生き物を演じてみたいです。そういう役って正解がない分、どう演じるか考えるのも楽しそうですし。
◆今作は体育会航空部を舞台にしていますが、その青春模様についてはどう感じましたか?
私自身は大学生活の経験がないので、もし大学に通っていたらこんな日常を送っていたのかなと想像しちゃいました。劇中に出てくる“学食”や“合宿”というワードが、すごく学生っぽくて。たまきが(先輩の)空知とこっそり部屋を抜け出して雲海を見るシーンとかも、青春だなーとうらやましくなりました。
◆堀田さん自身は“空”や“グライダー”に興味はありますか?
空を見るのは大好きです! たまに家族から地元の空の画像を送られてくると、“あぁ、同じ空の下にいるんだな”と温かい気持ちになります。グライダーは飛行機とはまた違うので、“上空ってどんな状態になるんだろう”というのはすごく興味があります。でも、上空で安定してしまえばきっと気持ちいいんでしょうけど、そうなるまでは怖そうですよね。なので、安全に操縦できる人と同乗させていただけるなら、ぜひ体験してみたいです(笑)。私、実は高いところがそんなに得意ではなくて。飛行機とかから景色を見下ろすのは大丈夫なのですが、東京タワーや東京スカイツリーの展望台で床がガラスになっている部分があるじゃないですか。あそこに立つと足がすくんでしまうんです(笑)。
◆ちなみに、堀田さん自身は学生時代に部活動に打ち込んだ思い出はありますか?
中学ではバスケットボール部でした。小学校から(バスケを)やっている子たちもいるようなチームで。特に後輩の代がものすごく強かったんです。だから、外周を走るタイムも後輩のほうが早くて。後輩に負けたら外周をもう1周しなければいけないという決まりがあったので、先生にバレないように後輩たちに「ゆっくり走って!」とこっそりお願いしていました(笑)。
◆では最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。
これから春を迎えると、環境が変わってドキドキワクワクすることが多い半面、きっと前向きになれないこともあると思います。私も悩みがあると下を向きがちですが、空を見上げると気持ちが晴れるんです。去年末に実家に帰った時、父と琵琶湖までドライブしたら偶然虹を見つけて。あまりのきれいさに感動して、それからよく空を見上げるようになったんです。そんなふうに、この作品が皆さんにとって空を見上げるきっかけになったらうれしいです。
PROFILE
堀田真由
●ほった・まゆ…1998年4月2日生まれ。滋賀県出身。ドラマ『正体』(WOWOWプライム)が3月12日(土)に、『クロステイル~探偵教室~』(フジテレビ系)が4月9日(土)にそれぞれスタート。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合ほか)にも出演する。雑誌「non-no」の専属モデルも務める。
作品情報
映画「ブルーサーマル」
公開中
原作:小沢かな
脚本:橘正紀、高橋ナツコ
監督:橘正紀
キャラクターデザイン&作画総監督:谷野美穂
声の出演:堀田真由、島﨑信長、榎木淳弥ほか
photo/中村功 text/林桃