◆中村さん自身は、こうした物事を決めていく際、率先して考えるほう?
時と場合によって違いますね。基本的には雑な性格なので、「もう、これでいいじゃん!」ってすぐに決めてしまうことが多いです。でも、自分で決めたいという人がいれば、待ちますね。逆に意見が多すぎて停滞するようであれば折衷案も出しますし。ものづくりも同じで、いろんな現場があり、いろんな役者さんがいますから、その時々で、何をどうすれば目の前の流れが良くなるかを見ながら動く。そういう軽やかな身のこなしを武器に、これまで生きてきました(笑)。
◆(笑)。自分で決める時の決断も早いんですか?
音速です(笑)。僕、たまにトークライブのようなイベントをするんですが、時間がなくてまわりのスタッフさんたちが慌てはじめても、僕1人だけ「大丈夫、大丈夫。これとこれを用意してください。あとはそれもあれば問題ないです」ってどんどん決めていっちゃいますね。
◆それは、最初からゴールが見えているから決断が早いということなんでしょうか?
どちらかというと、こだわりがないんですよ。役者の仕事もそうですが、お芝居の正解っていくらでもあるようで、実はあまりなくて、でも不正解は確実にある。その不正解のジャッジさえできれば、あとは正解だけなので、それなら細かく突き詰めなくても大丈夫だと思ってしまうんです。
◆なるほど。また、先ほど「彰人がどんな男性なのかを細かく決めずに演じた」とお話されていましたが、逆に、今回の役を演じる上で意識したことは?
関水(渚)さん演じる新婦の遥といる時と、彰人が高校時代の男友達とつるんでいる時の、ちょっとしたギャップが欲しいと大九さんがおっしゃっていたので、そこは少しだけ変えました。でも、彰人のようなタイプの男性は男同士でいても、そんなに立ち位置や振る舞いは変わらない気がしていて。なので、明らかに分かりやすく変えるということはしなかったです。
◆言われてみれば、遥といる時の彰人は言葉を飲み込むことが多く、男友達といる時は思ったことをそのまま口にしていますね。
そうなんです。そのぶん、遥といる時は心の声としてモノローグで語っていて。そうした、“あえて口に出さない”というちょっとした気遣いができる男性であるというのも、意識したことの一つでした。
◆では、遥という女性に対してはどのような印象を持たれましたか?
純粋で、真っすぐな女性…ぐらいかな(苦笑)。いや、語弊があるかもしれませんが、僕はあえて彰人と遥を、強い個性のないどこにでもいそうなカップルにしようと思ったんです。というのも、彼らのまわりにいる友人や親族たちがみんな濃い人ばかりで(笑)。2人はそうした皆さんの個性を引き立たせるポジションだと感じたんです。だから、僕らが普通であればあるほど、みんながイキイキしていく。それもあって、彰人役に関しても、あまりキャラクターの背景などは考えずに演じていったところがあります。