◆二宮さん、多部さんのお芝居に期待していることはありますか?
今後、誘拐事件を通してこの夫婦はさらにすごく難しい関係性になっていくんです。その心の距離を2人がどう演じてくれるのかが、すごく楽しみです。正直、台本を作ってる時や台本で読み取れること以上のものが、第1話の夫婦の距離感にすごく表れていて。それはお互いの演技力や関係値が成しえたものだと思うんですけど。第2話ではさらにお互いの距離が近づくようで近づかないとか。あいまいに見えがちなんだけど、この2人が演じることで距離感がすごく伝わりやすいんです。話が経過するに従って、夫婦の心の距離との実際の距離感がすごく見えやすくなると思うので、その時にどんな演技をしてくれるのかっていうのがすごく楽しみです。もう何の心配もせず、その距離感を作ってくれるだろうなっていうふうに思っています。温人と未知留って、上下関係があまりないイメージなんですよね。実際、何億も稼いでるような社長と奥さんって、意外と奥さんの方が夫婦のパワーバランス的には上だったりするんですよ(笑)。二宮さんと多部さんも多部さんの方が年下で、だけど現場ではちょっと多部さんが二宮さんを軽く叱ったりしていて(笑)。その感じって意外とリアリティがすごくあって、そういう関係値がうまく表現されてくるんじゃないかなと。画面でも表れてきている感じがありますし、そこがすごくフィットししているというか。その関係性は、見てても面白いです。
◆“俳優・二宮和也”の魅力はどんなところだと思いますか?
魅力ばっかりですからね~…(長考)。…ハリウッド俳優にあんまり“ここがすごい”とか言うのもアレなんですけど(笑)。一つ挙げるなら、自分で役を突き詰めないということ。二宮さんが「他のキャラクターがあっての自分っていうことをすごく大事にしている」っておっしゃっていて。“まず相手がこう来たら、このキャラクターならこう返すかな”っていう感覚でお芝居されているんです。柔軟性という簡単な言葉じゃないと思うんですけど、何て言うんですかね。そこにもう“その人としている”っていうことだと思うんですよ。だけど憑依型っていう表現でもない感じがして。“そこに温人がいる”って見えてしまう。それは魅力というか、すごく不思議な感じというか。俳優さんによってはすごく組み立てて役のイメージを作ってくる方と、憑依しちゃったらもう止められない的な感じの方とがいると思うんですけど。二宮さんはそのどちらにも属さない感じがしています。第1話のシーンで挙げるなら、クライマックスの手前の友果の部屋に温人が入っていって、未知留が入ってきて…という場面。あそこの感情を押し殺した、こらえてる感じの表情が僕は一番好きですかね。子供に対する気持ちと、妻に対する思いやりと。だけど何かこう、いろんなものがにじみ出てきている。その言葉が“出てしまった”っていうふうに見える、すごく好きなシーンです。二宮さんと僕は、学年的には同じぐらいだと思うんですよ。それこそ入社して2年目にドラマ班に行って、『花より男子リターンズ』の一番下のADをやって。そこから『魔王』『特上カバチ』をやって…っていう感じなので。『特上カバチ』に二宮さんも少し出てますけど、しっかりご一緒のするのは今回が初めてで。
◆多部さんについてはいかがでしょうか?
もちろん演技全般もそうなんですけど、声に表情がすごく出る女優さんだなと思っていて。多分僕、多部さんの映像を見ないで、声だけ聴いてもどういう表情が分かると思うんです。声だけで表情が見えてくる感じ。すごく繊細な声の使い方というか、そこが一番素敵なところかなと思ってます。特に三輪と東堂が来たシーン。他の場面の友果に対する思いだったり、温人に対しての感情って爆発させるようなところがあって、表現しやすいとは思うんです。でも、昔からの友人にこんなことをお願いするのも忍びない…って感情とか、大学時代どんな関係だったんだろうなっていうのが、あのシーンの声を聴くと一発で分かる。そこが多部さんのすごいところだと思います。