日曜劇場『マイファミリー』飯田和孝プロデューサーインタビュー「とにかく第1話を見てください!」

特集・インタビュー
2022年04月09日
日曜劇場『マイファミリー』
日曜劇場『マイファミリー』

4月10日(日)午後9時スタートの日曜劇場『マイファミリー』。本作は、娘を誘拐された夫婦が力を合わせて誘拐犯と戦っていく姿を描いた“ノンストップファミリーエンターテインメント”だ。オンエアに先立って、記者向けの第1話プレビュー試写と飯田和孝プロデューサーのインタビューが行われ、本作の制作秘話や見どころのほか、先の展開が気になるお話をたっぷりと伺いました。

◆今回、家族の絆を描こうと思ったきっかけや、『マイファミリー』誕生の経緯を教えてください。

僕の中で、ドラマは“エンターテインメントとして面白いものを届けたい”という思いがあって。偉そうなメッセージとか、そういったものを届けることを目的としているわけではないというのが前提としてあります。家族のつながりが希薄になってきているというのは今に始まったことではなくて、近所づき合いが減ったり、そういった環境の変化で人と人とのつながりが感じづらくなってきている。さらに一昨年からのコロナ禍で、会いたいと思った時になかなか会えないことが顕著になった。そういう状況になって、初めて気づくものというのがすごく多いと思うんです。自分も埼玉に母親が1人で住んでいて。会いに行こうと思えばすぐ会いに行ける距離なんですけど、“たまの休みをそれに費やしてもいいのか”とか、そういったことでちょっと躊躇してしまっていたんですね。そうこうしているうちに母親はもう75歳になり、あと何回会えるのか…多分50回会えないと思うんです。そういうことを考えた時に、やはりもう一度自分にとって本当に何が大切なのかと感じる機会が、否が応にも今できている状態だと思うんです。そこであらためて、大事に思えることをドラマを通して再確認するというか。その行動を起こすきっかけというか、背中をちょっと押せるようなエンターテインメントにこの作品がなればいいなと思っています。まずは見て「面白かった」って思ってもらえるのが第一で、その奥にそういった温かい気持ちが生まれてくれたらいいなという願いを込めて作っています。

◆夫婦の姿をどのように描いていこうと考えていますか?

夫婦っていうのは、ある意味紙で成された契約だと思うんです。それが一つ確実なものになるのが、子供の存在だったりする。よく“子供ができると夫婦が変わっていく”と言いますが、鳴沢家の夫婦も小学6年生の娘の友果ちゃん(大島美優)が誘拐されたことで、夫婦関係を再確認していく。二宮さん演じる鳴沢温人は、家族を愛しているからこそ、不自由させないような生活をさせたいとか“家族を守らなきゃ”という思いがあって。いっぽうで社長としては、会社も自分の子供みたいなもので。年を重ねていくに従ってもちろん家族も大切だけど、会社でも責任があって、それも大切で。優先順位的にはもちろん家族が大事なんだけれども、それだけを選べない葛藤を抱えている。子供がいる人にとって誘拐というのは人生最悪の出来事だと思うんです。そこに巻き込まれることで、奇しくも夫婦があらためてお互い向き合おうとする。その過程がどうなっていくかというのが、この物語の“ノンストップファミリーエンターテインメント”たるところかなと思っています。

◆二宮和也さんと多部未華子さんが演じる夫婦の姿から感じたことをお聞かせください。

二宮さん、多部さんお2人とも、ドラマ全体を通しての計算というものがしっかり成されていて。衣装合わせの時に二宮さんと会話したことでいうと、「最初の温人の状態を、ここぐらいまで作りたい」と。「そこから最終的に10話終わった時にどうなっているのか、そこを表現していきたい」っていうところから、この1話の鳴沢温人っていうのが生まれていて。その温人に呼応する形で未知留(多部未華子)が存在して、この2人で存在する時にお互いを感じ合うことでシーンが出来上がっていったのが第1話だったかなと思います。実はこの夫婦の状態を作るのは、すごく難しい作業だったんです。そこを丁寧にお2人が作ってくれたことが第1話の出来になってるかと思いますし、夫婦がここからどうなっていくかっていうのを見守っていただきたいです。まだ友果ちゃんが戻ってきていないということ、そして友人の関わり方。あとは警察の動き、刑事の葛城さん(玉木宏)の言葉とか。いろんなことに翻弄されていく夫婦がどう変化していくか、そこを見ていただきたいなという思っています。まだ第1話は序章の序章ぐらいですね。

日曜劇場『マイファミリー』
日曜劇場『マイファミリー』

◆出演陣はどんなことに期待してキャスティングしたのでしょうか?

このドラマはまず、二宮さん演じる温人をはじめ、大学時代の同級生が集まって物語を形成していく。二宮さんと多部さんは『山田太郎ものがたり』をやって15年という時間が、大学時代に出会った温人と未知留にもリンクしていて。その時間を経た2人の呼吸の合わせ方だったり、人生で経験してきたことがうまく化学変化を起こしてくれているんじゃないかなと思います。友人役の賀来賢人さんと濱田岳さんも、演技力と存在感も含め、組合せとしてベストだと思われる方々に集まっていただけたんじゃないかと。他にも主役級の方々が集まってくださったことで、それぞれの登場人物のストーリーがしっかりと構築され、絡み合ってくるというのが、この『マイファミリー』の毎話通した見どころの一つです。サンドウィッチマン・富澤(たけし)さんの存在感や、松本幸四郎さんの“何この人?” “品があって、絶対ただの人じゃないよね”っていう雰囲気とか。いろんなところでこの物語を楽しんでいただける要素が満載なので、それぞれの役に適した方、一番この視聴者の方が気になってくれるだろうなという人を配置できていると思います。

◆ドラマに登場するゲームのカエルのキャラクターがすごく印象的でした。シリアスなストーリーの中でコントラストがあったと思いますが、そこに狙いはあるのでしょうか?

ゲーム名が「リビットウォーカー」っていうんですけど、“リビット”っていうのはカエルの鳴き声という意味なんです。そういったところからあのカエルのキャラクターのインスピレーションが湧いてきました。“湧いてきた”って言うと僕がやってるような感じですけど(笑)、助監督さんや美術さんたちが知恵を出し合っていろんなデザインの中から決定しました。緊迫したドラマなので、視聴者の方が見ていて張り詰めてる時間がすごく長くて、休まるところがないんですよね。そこでゲームのキャラクターをかわいい見た目にしたことで音もつけやすくなって、気が休まる要素になりました。特殊なことが起きるドラマではあるんですけど、この鳴沢家以外の日常は普通に動いていて、世間は誘拐事件を最初は知らない状態から始まる。こういう言い方はちょっとあれかもしれないですけど、我々が日常生活を送る中で「どこかの人が誘拐されてます」って報道されたとしても、真剣には気に留めなかったりするじゃないですか。ドラマとして“日常の中で起こっている出来事です”ということを表現する上で、このゲームやキャラクターが日常感みたいなものを出す効果があると思っています。プラス、このカエルのキャラクターが今後ドラマの中で重要な要素を担ってくるので、かなり力を入れて作りました。その過程で監督の平野(俊一)さんが「温人たちの動きや今置かれてる状況と、カエルのキャラクターをうまくリンクさせて描きたいね」と言っていて。カエルが頑張っている姿と温人たちが奮闘する姿をうまくオーバーラップすることで、実際はすごく緊迫していることが起きてるんだけど、ちょっとエンタメ感が出るかなという狙いもあります。当初の想定よりもいいキャラクターが出来上がったので、駅のホームでゲームしている人の描写とか、当初の予定以上に盛り込んでいて。実際に第1話を見てみるとすごく効果的だったなと思ってます。

◆撮影現場の雰囲気はいかがですか?

緊迫した展開のドラマですが、現場では結構笑い声が聞こえてきます。濱田さんも“二宮さんをはじめ、同世代の方が集まってドラマを作っていけることがすごく楽しい”ということを言っていて。二宮さんも、緊迫してる内容だからこそ、合間の空気感というのはすごく大事にされているようです。先日の春ドラマの合同会見でも「大した話してないです」って言ってましたけど(笑)、実際そうなんです。大学時代の温人、未知留、東堂(濱田岳)、三輪(賀来賢人)は厚木サンハイツという同じアパートで過ごしていた友人たちという間柄。大学時代って、特に用事ないけど誰かの家に集まってだべったりするじゃないですか。そんないい空気感が現場にもあって、そのままスッとお芝居に入っていける感じがあるなと思います。二宮さんは存在感があるけどとっつきにくいものではないですし、賀来さんとは初共演ですがその輪ももうできていて。“座長然”という感じでもなくて、自然とそういう雰囲気になっていく不思議なパワーが二宮さんにはありますね。

日曜劇場『マイファミリー』
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◆二宮さん、多部さんのお芝居に期待していることはありますか?

今後、誘拐事件を通してこの夫婦はさらにすごく難しい関係性になっていくんです。その心の距離を2人がどう演じてくれるのかが、すごく楽しみです。正直、台本を作ってる時や台本で読み取れること以上のものが、第1話の夫婦の距離感にすごく表れていて。それはお互いの演技力や関係値が成しえたものだと思うんですけど。第2話ではさらにお互いの距離が近づくようで近づかないとか。あいまいに見えがちなんだけど、この2人が演じることで距離感がすごく伝わりやすいんです。話が経過するに従って、夫婦の心の距離との実際の距離感がすごく見えやすくなると思うので、その時にどんな演技をしてくれるのかっていうのがすごく楽しみです。もう何の心配もせず、その距離感を作ってくれるだろうなっていうふうに思っています。温人と未知留って、上下関係があまりないイメージなんですよね。実際、何億も稼いでるような社長と奥さんって、意外と奥さんの方が夫婦のパワーバランス的には上だったりするんですよ(笑)。二宮さんと多部さんも多部さんの方が年下で、だけど現場ではちょっと多部さんが二宮さんを軽く叱ったりしていて(笑)。その感じって意外とリアリティがすごくあって、そういう関係値がうまく表現されてくるんじゃないかなと。画面でも表れてきている感じがありますし、そこがすごくフィットししているというか。その関係性は、見てても面白いです。

◆“俳優・二宮和也”の魅力はどんなところだと思いますか?

魅力ばっかりですからね~…(長考)。…ハリウッド俳優にあんまり“ここがすごい”とか言うのもアレなんですけど(笑)。一つ挙げるなら、自分で役を突き詰めないということ。二宮さんが「他のキャラクターがあっての自分っていうことをすごく大事にしている」っておっしゃっていて。“まず相手がこう来たら、このキャラクターならこう返すかな”っていう感覚でお芝居されているんです。柔軟性という簡単な言葉じゃないと思うんですけど、何て言うんですかね。そこにもう“その人としている”っていうことだと思うんですよ。だけど憑依型っていう表現でもない感じがして。“そこに温人がいる”って見えてしまう。それは魅力というか、すごく不思議な感じというか。俳優さんによってはすごく組み立てて役のイメージを作ってくる方と、憑依しちゃったらもう止められない的な感じの方とがいると思うんですけど。二宮さんはそのどちらにも属さない感じがしています。第1話のシーンで挙げるなら、クライマックスの手前の友果の部屋に温人が入っていって、未知留が入ってきて…という場面。あそこの感情を押し殺した、こらえてる感じの表情が僕は一番好きですかね。子供に対する気持ちと、妻に対する思いやりと。だけど何かこう、いろんなものがにじみ出てきている。その言葉が“出てしまった”っていうふうに見える、すごく好きなシーンです。二宮さんと僕は、学年的には同じぐらいだと思うんですよ。それこそ入社して2年目にドラマ班に行って、『花より男子リターンズ』の一番下のADをやって。そこから『魔王』『特上カバチ』をやって…っていう感じなので。『特上カバチ』に二宮さんも少し出てますけど、しっかりご一緒のするのは今回が初めてで。

◆多部さんについてはいかがでしょうか?

もちろん演技全般もそうなんですけど、声に表情がすごく出る女優さんだなと思っていて。多分僕、多部さんの映像を見ないで、声だけ聴いてもどういう表情が分かると思うんです。声だけで表情が見えてくる感じ。すごく繊細な声の使い方というか、そこが一番素敵なところかなと思ってます。特に三輪と東堂が来たシーン。他の場面の友果に対する思いだったり、温人に対しての感情って爆発させるようなところがあって、表現しやすいとは思うんです。でも、昔からの友人にこんなことをお願いするのも忍びない…って感情とか、大学時代どんな関係だったんだろうなっていうのが、あのシーンの声を聴くと一発で分かる。そこが多部さんのすごいところだと思います。

日曜劇場『マイファミリー』
日曜劇場『マイファミリー』

◆今後注目してほしい部分や、どんな展開にしていきたいと考えていることを教えてください。

このドラマは、子供の未来のために頑張る大人たちの物語だと思っていて。子供のためだったら、なりふり構わず何だってやる。親っていうのはそういうもんだと世の中でも言われてるじゃないですか。それは被害者の親である温人と未知留もそうだし、大人という意味では、警察もそうで。一筋縄ではいかないけれど、やはり子供のために何事も顧みず行動してしまう大人たちを軸に進んでいくんです。第1話を見て、いろんなところに引っかかりを持っていただけると思うんです。先ほどキャスティングの話で「それぞれの登場人物のストーリーが絡み合っていく」と話しましたが、鳴沢温人と未知留を中心に物語が進んでいくことは間違いないです。あと多分、皆さん第1話を見て「誰が犯人なんだろう」って推察する方向にはあんまり行かないんじゃないかなと思うんです。このドラマって“ノンストップファミリーエンターテインメント”って言わせてるんですけど(笑)、これはミステリーでもサスペンスでもなくて。誰が犯人だと考察する推理物でもないんです。誘拐事件に巻き込まれた夫婦が必死に娘を取り戻す「ノンストップファミリーエンターテイメントです」っていうふうに言ってるので。今後“何がエンターテインメントなんだろう”っていうのがどんどん分かってくると思うので、そこに注目していただけたら。実際に見る前に想像していたより感動できたり、ジーンとできたり、そういったことを感じていただけたとしたら、すごくうれしいです。

◆最後に視聴者に向けてメッセージをお願いします。

“まずは見てくれ”という思いが一番強いです。第1話を見て、今は伝え切れていない部分を感じ取ってもらいたいと思いますし、とにかく「面白い」「早く次を見たい」と思っていただけると思います。実際に見ていただけると、さらに感じていただけることがあるはずです。家族とか大切な人がいれば一緒に見てほしいし、見たらそういう人に電話したいなと思える、そんな気持ちになれるドラマであると自信を持って言えます。自分にとって“すごく大事なんだな” “愛すべき存在なんだな”っていうのがあらためて感じられるし、ちょっと温かい気持ちに、ちょっと優しい気持ちになれる作品だと僕は思っているので。「試しに見てみてください」っていう、もう本当にそれしかないんですが(笑)、難しいですね…。物語の展開として「そういう話なの?」ってなっていくので。「君の名は」が、「え、隕石落ちる話なの?」って見に行かないと分からないような。あれってCMスポットで最初は隕石落ちる部分を描いてないんですよね。…このドラマは隕石は落ちないです(笑)。あとは本当に画面上で素晴らしい演技を皆さん本当にしてるんで、そこを見るだけでも一見の価値ありと思ってます。映画でもなかなかそろわないような皆さんが呼応し合っていますので、とにかく第1話を見てください。

番組情報

日曜劇場『マイファミリー』
TBS系
2022年4月10日(日)スタート
毎週日曜 後9時~9時54分
(初回は25分拡大 後9時~10時19分)

(STAFF&CAST)
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、濱田岳、玉木宏 ほか

(STORY)
鳴沢温人(二宮和也)はゲーム業界の新時代を切り開く男ともてはやされている「ハルカナ・オンライン・ゲームズ」のCEO。湘南・鎌倉に家を構え、妻の未知留(多部未華子)、娘の友果(大島美優)と3人で暮らしている。ある日、都心での仕事を終えて帰宅した温人のもとに、日常を一変させる1本の電話がかかってくる。友果さんを誘拐した――。身代金の要求額は5億円。温人の通報で、すぐに神奈川県警に誘拐事件の捜査本部が設置される。捜査一課長・吉乃栄太郎(富澤たけし)が指揮を執る中、葛城圭史(玉木宏)ら警察が鳴沢家にやって来る。そんな折、温人のビジネスパートナー・立脇香菜子(高橋メアリージュン)から会社の緊急事態を知らせる連絡が入る。5億円をすぐには用意できない温人。取引のタイムリミットが迫る中、現金を調達するため、ある人物との交渉を試みるが…。一方、未知留は藁にもすがる思いで、大学時代の友人である三輪碧(賀来賢人)と東堂樹生(濱田岳)に連絡を取る。

番組公式HP:https://www.tbs.co.jp/myfamily/

この記事の写真

©TBS

 

text/齋藤紅美

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