人との距離が“はかれない”阿波連れいなさんと隣の席のライドウくんの、ちょっと変わったやりとりを描くTVアニメ『阿波連さんははかれない』。まわりの人たちが2人の距離感をあまり気にしない中、心の中で2人にツッコミを入れたり、勝手に“特別”を感じてテンションが上がったりするのが、古典の桃原先生だ。今回は、そんな桃原先生を演じる花澤香菜さんにインタビュー。作品の魅力や桃原先生の演じ方、さらには作品にちなんだ自身のエピソードなどを語ってもらいました。
◆本作は、阿波連さんとライドウくんの奇妙な距離感をコミカルに描いていますが、最初に作品に触れた時、どんな印象を持ちましたか?
とにかく阿波連さんとライドウくんが独特すぎて、一般的なラブコメではないなと思いました。平熱低めな2人のやりとりは見ていて疲れないし、端から見ると「ベタベタしている」と思われるような距離でも、嫌な感じがしない。それがすごいなと思いました。ポーカーフェイスな2人だからこそ出せる雰囲気なんでしょうね。それこそ、阿波連さんがライドウくんの肩に乗っていても誰もツッコまないし、クラスメイトも受け入れていて、幸せな空間が広がっているという印象でした。
◆阿波連さんは、人との距離がはかれないタイプですが、花澤さんは人との距離を取るのは上手ですか?
私、仲良くなりたい人にはグイグイ行って、行きすぎて後悔するタイプで…。相手が返事をする前に、「ああだよね」「こうだよね」って話を進めてしまって、あとになって私ばっかり喋ってたな…ってなっちゃうんです。だから、人との距離を取るのは、うまくはないと思います。
◆でも、そういった時、相手って意外と気にしていなかったりしません?
覚えてなかったりするんですよね(笑)。でも、相手が何も思っていなくても、振り返って自己嫌悪に陥って、次に会った時、「う、ういー」みたいな変なテンションになるんですよ(笑)。人との距離は、はかりすぎるのも、はからなすぎるのもよくないな…と日々思っています。
◆では、花澤さんが演じる桃原先生の印象はいかがでしたか?
群を抜いて、変でした(笑)。思っていることをあまり顔に出ないから、生徒からはミステリアスだと思われていますが、世界観が強すぎるんですよね。すぐ情熱的な妄想をする、楽しい思考回路をしている人だなという印象もあって。なので、生徒に見せる顔と、心の中で燃え上がっている時では、演じ方を変えなければとも思いました。
◆ちなみに、オーディションではどんなアプローチを?
桃原先生って、武士っぽい感じもあると思うんです。古典の先生だからか、考え方が奥ゆかしい。でも思考は偏っているし、自分で勝手にルールを決めているというか…。「これはこうだ!」って断定して独り相撲をしている感じだったので、モノローグ部分の断定するところはすごく意識して。あと、喋っている内容はめちゃくちゃくだらないんですけど(笑)、彼女にとっては生死が関わっているんじゃないかと思うくらいに真剣なので、戦場にいるんじゃなかろうかというくらいのテンション感で臨みましたね。
◆興奮してくると「あはれ」と「をかし」を多用するところが面白いですよね。
声に出すと「あわれ」「おかし」ですし、スタッフの方からもそう読んでくださいという指示があったんですね。ただ、「最上級あはれに達した時は“あはれ”になります」と言われて。アニメを見ていただければ分かるんですが、桃原先生も無意識で、感情によって言い方が変わっているんです。「あはれ」も「をかし」も普段使わない言葉なので、アフレコ中は必殺技を言っているような気持ちになりました(笑)。