ロッチ インタビュー「哲学って意外とシンプル」お悩み相談番組『ロッチと子羊』の魅力とは

特集・インタビュー
2022年07月07日
『ロッチと子羊』左から)コカドケンタロウ、中岡創一 ©NHK

誰もが悩みを抱えている今、世界の有名哲学者の言葉で相談者・通称“子羊さん”たちを救っていくお悩み相談番組『ロッチと子羊』(Eテレ 毎週木曜 午後8時~8時29分)でMCを務めるロッチのコカドケンタロウさん、中岡創一さんにインタビュー。2人が“子羊さん”の悩みに寄り添っていく中で感じたこととは…。収録でのエピソードや番組の魅力、さらに2人が“相談してみたいこと”を聞きました。

◆これまで特番として放送されてきた『ロッチと子羊』が4月よりレギュラー番組になりました。どんな反響が届いていますか?

コカド:「見たよ」と声をかけてくださる方が皆さん「面白い番組やってるね」と言ってくださいます。

中岡:そういうのって社交辞令で言っていただいている時は分かるものなんですよね。でも、この番組に関しては本当に興味深く「あれはどういうことなの」と聞いてくれたり。本当に楽しんで見てくれているんだなということが伝わってきます。

コカド:この間、高田文夫先生のラジオに出演させてもらった時、本当に楽しく見ていただいているようで事細かく言われました(笑)。

中岡:「占い師の悩みを聞く悩み相談の番組なんて初めてだ」ってね。僕らもあのお悩みの解決は難しいんじゃないかなと不安に思ったんですけど、最終的にはスッキリして帰っていただけて。哲学ってすごいなってあらためて思いました。

◆お2人は「哲学」に対してどんなイメージを持っているのでしょう。

コカド:やっぱり“苦悩から生まれるもの”みたいな、少し難しいイメージがありました。でも、解決に導いてくださる専門家の小川仁志先生が茶髪でパーマを当ててるというちょいチャラめな雰囲気なので、そのノリで簡単に解釈できるように伝えてくださって、そんなに難しいものでもないんだなと思えるんです。

中岡:僕はいまだに難しいなと思っているんですけど、哲学って意外とシンプルなんですよね。いろんな要素があるのですっと入りやすいのかもしれません。

◆番組に登場する“子羊さん”は一般の方々ですが、話を聞く上で気をつけていることなどがあれば教えてください。

コカド:子羊さんの気持ちになって考えるようにしています。僕らは直接解決することができないので、なんとか良い方向に導いていけるように、どこか共感できるところがないかなと探ってみたり。寄り添えたらなと思っています。

中岡:元々僕らはそんなにプレッシャーをかけるタイプの芸人ではないので、皆さんいらっしゃる時にそこまで緊張されていることはないんですけど、迎え入れる時は口角を上げてニコニコするようにしています(笑)。なるべく楽しい雰囲気を作れたらいいですよね。

◆そんな相談に寄り添っていらっしゃるお2人ですが、逆に相談したいことはありますか?

コカド:そうですね…この『ロッチと子羊』は初めてコンビ名が付いた冠レギュラー番組なので、終わらないように続けていくにはどうしたらいいですかというのを相談したいです。哲学でどうにかなることなのかな(笑)。

中岡:僕は髪質かな(笑)。もしかしたら哲学で解決できるような悩みは僕たちにないのかもしれません。

◆では、これまでに他者の言葉で悩みが軽減した経験は?

コカド:僕は活舌が悪くて一時期活舌教室に通っていたこともあったんですけど、番組で「滑舌悪い芸人」としてフィーチャーしてもらったことがあって。そこで「直さなくてもいいんだな」と気づくことができたんです。マイナスが武器になるんだなと。

中岡:僕は「女の人って上手にうそをつく時がありますよね」という話をした時に、千原ジュニアさんが「女性はお化粧をしてくれて、キレイに見せてくれる。そこは受け入れなさい」と言われて腑に落ちたことがありました(笑)。あとは(笑福亭)鶴瓶師匠の言葉かな。

コカド:鶴瓶師匠は「ロッチはすごく素人だ」と。でも「素人だけど、素人のプロやねん。それが芸になってる。ほかのコンビにはないところや」と言ってくださったんです。コントとかであんまり演技とかできないですけど、それでいいんだと思えて楽になりました。

『ロッチと子羊』©NHK

◆これまでの収録で印象に残っていることはありますか?

コカド:結構どの哲学者の方も根っこでは同じようなことを言っているんだなと思うことがよくあります。“他人と比べない”とか“自分だけの信じるものを持つ”とか。いろんな哲学者の方がいろんな言い方でおっしゃっているんです。

中岡:僕は、ロックンローラーのケンちゃんという方が相談に来てくださった際、「俺は譲らないぜ」というスタンスで番組にいらっしゃったんですけど、最後には一転して「腑に落ちました」「この回に来てよかった」と気持ちよさそうに帰っていかれたのが印象的でした。オンエアは子羊さん1人当たり15分程度なんですけど、実際は40~50分くらいかけて相談をしているんです。放送ではすっと納得しているように見えるかもしれませんが、実際はすごく「良いものが撮れたなあ」という感触があります。

◆さまざまな相談番組がある中で、この番組の魅力はどんなところにあると思いますか?

中岡:意見をガーっと言い合うのではなく「昔の人はこう考えていたよ」というシンプルなサポートで解決をしていく番組なので、戦わないんですよね。そして、昔の人の言葉だからこそ、聞いたらすっと入ってくるというか。そういったところに新しさがあるなと感じています。

コカド:今の時代を生きていない方の言葉を現代の方のお悩み解決の参考にするというのは、独特な発想ですよね。哲学者が一生かけて出した答えを、専門家の小川先生が現代的な解釈で伝えてくださるというのは番組の魅力の1つなんじゃないかなと思っています。

中岡:そうそう。しかも、さらにもう一歩踏み出せるんですよね。哲学者の言葉を聞いた後に、それを“哲学プラクティス”として実行に移すことができる。そのやり方も先生が教えてくださるので「こうすればいいのか」と分かってスッキリ帰っていただけることが多いように感じます。

◆今後、お悩みを聞いてみたい人はいますか?

コカド:僕はスポーツ選手です。その世界の方にしか分からない悩みがありそうですよね。あとは、これまで番組に来てくださった方で言うと、人との関係性に悩んでいる方が多かったので、逆にそういった悩みを持たないタイプの方はどんな悩みがあるんだろうというのにも興味もあります。

中岡:僕はSNSに関する悩みを持っている方にお悩みを聞いてみたいなと思います。どんな解決法があるのかなというところも気になります。

コカド:現代の方の悩みが何年も前の哲学者の言葉で楽になるなんてこともあるでしょうからね。

◆どんな方に番組が届いてほしいですか?

コカド:僕は中学生、高校生のころのコカドに見せてあげたいなと思います。いろんなことを気にして悩んでいる時ですし、すごく楽になる言葉がたくさんあるので。

中岡:番組に登場する人と同じ悩みがなくても「こんな考え方があるんだ!」という楽しさがあるので、僕らと同じ年代の方にも同じ目線で見ていただきたい。“あれこれ言いたくなってしまう”という方にも、いろいろ考えながら見ていただけたら楽しいかなと思います。

番組情報

『ロッチと子羊』
Eテレ
毎週木曜 午後8時~8時29分

次回:7月14日(木)「アニメの現場の悩み①」
ヒット作を生み出し続けるアニメ制作会社をロッチが訪問。そこで働く子羊さんが抱えている悩みを聞いていく。
※7月7日(木)は放送なし

『ロッチと子羊』左から)コカドケンタロウ、中岡創一 ©NHK

©NHK

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