水瀬いのり「最初のころはめちゃめちゃ猫をかぶってた私がこの先、私らしくあるための道しるべになってくれるアルバム」4thアルバム「glow」インタビュー

特集・インタビュー
2022年07月20日

4thアルバム「glow」水瀬いのりインタビュー

◆アルバム冒頭の「sunrise glow(overture)」から続く「僕らだけの鼓動」という曲も、アルバムの中で重要な役割を担うナンバーかと思います。

今回初めてovertureとしてインストゥルメンタルを入れて、そこからこの曲につながっていくんですが、実質的にはその2曲で1曲という感じで制作していただきました。個人的には、すごくライブを意識した始まりだし、デビュー当時にはできなかったことの象徴のような気がします。こんなに贅沢なトラックを用意していただいて、ライブを見据えた始まり方を表現できたというのは、ここまで続けてきたからこそだなと思って、すごく成長を感じました。昔の私だったらビビッてしまうというか、“カッコよすぎて、どうしよう!?”となっていたと思います(笑)。

◆本当にバラエティに富んだ楽曲が収録されていますが、一番挑戦だったなと思う曲はどれですか?

もっと苦戦すると思っていたけど、実際は家で練習しているときよりも楽しく歌えたのは「We Are The Music」と「パレオトピア」ですね。「We Are The Music」は基本的に同じビート、同じハートで歌い続ける曲で、家で練習しているときはパワーコントロールがすごく難しいなと感じていたんです。そこまで音程が高くない分、明るく聞こえるように歌うのが難しいし、キャピキャピ歌うことでカッコよさを消したりするのは避けたかったので、楽しんで歌うことで自然とカッコよくなるような歌にしたかったのに、そのポイントを自分のプランの中になかなか見つけられなくて。“大丈夫かな?”と思いながらレコーディングに向かったんですが、作詞・作曲のTAKU(INOUE)さんが優しくディレクションしてくださったので、とても楽しいレコーディングになりました。

◆「パレオトピア」のほうは?

この曲は、まずどう歌うことが正解かわからなくて(笑)。とても強い楽曲でありながら弱さを歌っている曲で、その世界観にどこまで自分が入れるかはやってみないとわからないなと思っていて。でも、作ってくださった栁舘(周平)さんは何度もご一緒している方ですし、すごくコミュニケーションを取ってくださる方なので、栁舘さんが表現したい世界を私が代わりに歌うような気持ちで歌ったら、「救われた〜。今、世界で一番安心しているのは僕です」というようなことを仰ってくださって(笑)。この曲はすごく時間をかけて作られたそうで、そうやって心血を注いで作ってくれた方が「いい歌になりました」と言ってくださったのが、個人的には忘れられませんね。

◆歌唱に関して、今回のアルバム制作を通して感じたことはありますか?

これまでの私はレコーディングに苦手意識があったというか、ライブと違って体を動かして歌うわけではなく、スタジオのブースの中で目の前のマイクに向かって歌うのがすごく難しいなと感じていたんです。アフレコのように映像があるわけではなく、見えるのはスタッフさんたちの顔だけ。そうした中で伸び伸び歌うのが苦手で、どこか力業で押し切ってしまうところもあったんです。“どうやったらそこから脱して、もっと楽しく伸び伸びと歌えるんだろう”というのは、デビューのころからずっと考えていたことで。このアルバムのレコーディングでは、歌う際のヘッドホンの聞こえ方や自分の発声の部分でいろいろなチャレンジをさせていただいたんです。エンジニアの皆さんにヘッドホンの返しの音を調整してもらったり、環境作りの部分も手伝っていただいたりして、4枚目のアルバムにしていろいろと新たな発見がありました。自分用にカスタマイズしたレコーディング環境を見つけられた気がするので、今回のアルバムの歌唱はこれまでと違っているんじゃないかと思います。個人的には“これが私の本当の歌声なのか!”と思う部分もたくさんありましたし、1曲録り終えるごとに何かしらの学びがあるレコーディングだったので、そこはこれまでの3枚のアルバムとは大きく異なっている点かなと思います。

◆まさに“第2章”がスタートした感じですね。

カッコよく言うとそんな感じです(笑)。私の中では、せっかくならもっともっと楽しみたいという気持ちがあって。その“楽しい”の中には自然体でいることも含まれているので、歌声でも自然体を届けたいなと思っていて。このあとのライブツアーを通していろいろ試行錯誤していくことになると思うんですが、その片鱗が見えるアルバムにはなったかなと思います。

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