佐々木ありさインタビュー「“いい子”と言われるのが嫌でした(笑)」舞台「初級革命講座 飛龍伝」

特集・インタビュー
2022年07月22日

佐々木ありさインタビュー

学生運動の波に身を投じたヒロインと機動隊員の燃え上がる恋と生きざまを描き、つかこうへいの代表作となった舞台「飛龍伝」シリーズ。つかの十三回忌にあたるこの夏、その原点である「初級革命講座 飛龍伝」が上演されることに。多くの候補の中からヒロインに抜てきされたのが、期待の新人・佐々木ありささん。稽古を経て本番に臨む心境や、目指す役者像などについて話してくれました。

◆出演が決まったときの感想は?

正直、驚きました。ちょうど今年の春につかこうへいさんの「熱海殺人事件」を観劇させていただいたのですが、役者が発するエネルギーが客席まで伝わってきて。自分にこんなことができるのか、しかもヒロイン役ということで、とてもプレッシャーを感じています。でも、とにかく一生懸命しがみつきながら演じていきたいです。

◆「初級革命講座 飛龍伝」の台本を読んだ印象は?

まずセリフ量がすごいのと、今と社会背景が全く違うので、分からない単語がたくさんあることに驚きました。自分なりにいろいろ調べてみましたが、当時の「革命」というものがどういうものなのかがピンと来ない部分もあって。ただ、“自分たちがこの国を変えるんだ”という熱はすごく伝わってきましたし、今の私たちはこの気持ちをどこかに置いてきてしまったのかなとも感じました。

佐々木ありさインタビュー

◆どんなことを意識して稽古に臨まれていますか?

稽古のときから本番さながらの勢いで、全力で演じています。そうしたら先日、別の作品の撮影があったときにも、つい声を張り過ぎてしまって(笑)。朝、稽古場に行くときからテンションを高めにしているので、終わるとグッタリして夜9時には寝ちゃうんです。でも、夢にまで「飛龍伝」が出てくるんですよ(笑)。

◆ヒロインの小夜子に共感する部分はありますか?

小夜子は主人公の山崎(高橋龍輝)のことを心から愛していて。立場としては敵なのに、気持ちを抑えられない。時代背景は違いますが、そういう感情は共感するところもあります。

佐々木ありさインタビュー

◆小夜子は革命闘士でもありますが、その点はどうですか?

本当の意味での革命がどういうものかは分からないですけど、私はリーダータイプではないかなって。黙って付いていくか、外から眺めているか。小夜子が見ていたら第三者として見ている自分に腹が立ってしまいそうです。

◆イメージしやすいものとして学生時代のイベント、例えば文化祭だとどういう役回りでしたか?

お化け屋敷の受付をしていました。中心人物ではないけど、一応は仲間に加わっていることへの安心感があり、居心地がよかったです。あと、お化けに驚いているお客さんを見るのが好きでした。…ということは、私、革命も傍観しちゃうのかな(笑)。

佐々木ありさインタビュー

◆佐々木さん自身、周囲からどんな人と言われることが多いですか?

昔からよく“いい子”って言われます。いい子=つまらないと言われている気がして、すごく嫌でした(笑)。いい子にしてしまうのは、人目を気にして、本音が言えないだけなんです。だからこそ、自分ではない人になって思い切り感情を出せるお芝居が好きになったのかなとも思いますし。でも最近は“ちゃんと自分自身としても思ったことを言おう”“相手に何と思われようとも考えを主張しよう”と心掛けています。

◆そもそも演技に興味を持ったきっかけは?

4歳からダンスを習っていて。中学生のころに出たコンテストで賞を取ったときに、副賞として1年間無料で演技と歌とダンスが習えることになったんです。それで演技のプログラムを受けてみたら、言葉による表現も楽しいことを知って。そこから役者を目指すことにしました。

佐々木ありさインタビュー

◆プロのダンサーを目指すことは考えなかった?

その演技のプログラムを受けるまではダンサーになる気満々でした。部活代わりに週5、6回レッスンを受けていましたし、コンテストにもどんどん出て。なので私、ダンサーの友達がすごく多いんです。みんなダンサーになっているから(笑)。今でも家ではダンスをしています。部屋の窓の一面が鏡なので、休みの日はずっとそこで踊っていて。自分の好きなように好きなだけ踊れることも楽しかったりします。

◆ダンス以外の運動経験は?

夏は水泳も好きでした。大会に出るレベルではなかったですけど、よく個人メドレーをやっていて。バタフライも本格的にやっていたので、中学生のころの肩幅はすごかったです(笑)。

佐々木ありさインタビュー

◆新しくやってみたいスポーツはありますか?

スケボーをやってみたいです。完全にオリンピックの影響ですけど(笑)。スノボもいいですね。とにかくシューッと滑ってみたくて(笑)。運動は結構得意だったんです。体育の成績も5でしたし。ただ、球技は苦手でした。

◆今後目標としている役者像や、やってみたい作品はありますか?

映画は普段からよく見ますし、自分でもやっていきたいと思っています。映画「ノマドランド」や「スリー・ビルボード」に出ていた、フランシス・マクドーマンドさんが大好きで。目標と言うとおこがましいですけど、ひそかな憧れです。ダンサーも役者も、何かを表現するという意味では一緒だと思いますし、私はその“表現する”ことが好きだったりするので。どんな形でもいいから表現し続けていきたいですし、そのために努力していきたいです。

PROFILE

●ささき・ありさ…2000年3月22日生まれ。神奈川県出身。2019年のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』で水泳の日本代表選手・小島一枝を演じ注目を浴びる。他の出演作に、映画「消せない記憶」「Orange girl friend」「みかんのはなし」「常神バルカローレ」、舞台「無風/あの匂い」「アイ・アム・エー・アイ」など。

公演情報

十三回忌追悼公演 つかこうへいLonely 13 Blues
「初級革命講座 飛龍伝」
2022年7月23日(土)~25日(月)東京・紀伊國屋ホール

<STAFF&CAST>
作:つかこうへい
演出:岡村俊一
出演:高橋龍輝、佐々木ありさ、吉田智則(25日)、久保田創(23、24日)

<STORY>
熊田(吉田/久保田)は元全学連の闘士だったが、今は妻・アイ子(佐々木)と共に国が作った「挫折公団アパート」でつましく暮らしていた。元機動隊員の山崎(高橋)は敵だった熊田を気にかけ、何度となく訪れる。機動隊のジュラルミン盾を打ち破った伝説の石“飛龍”の投げ手として名を馳せた熊田が、いつか再起するものと信じていたからだ。だが今の熊田からは革命の志どころか、挫折した人間特有の悲壮感も感じられない。一方の山崎には、革命闘士・小夜子(佐々木=2役)と燃え上がるような恋をし、共に生活した過去があり…。

●photo/干川修 text/小山智久

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佐々木ありさ

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<応募締切>
2022年7月29日(金)午後11時59分

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