現在放送中の火曜ドラマ『ユニコーンに乗って』(TBS系 毎週火曜 午後10時~10時57分)に出演中の前原滉さんにインタビュー。7月26日(火)放送の第4話の見どころや、共演者の印象を聞きました。
本作は、教育系スタートアップ企業「ドリームポニー」の若き女性CEOの元に、ある日突然会社の雰囲気とは全く異なるおじさんサラリーマンが部下として転職してきたことで、仕事に恋に奮闘しながら、夢に向かって真っすぐ生きる主人公たちが成長していく姿を描く“大人の青春”ドラマ。
前原さんが演じるのは、永野芽郁さん演じる成川佐奈と、杉野遥亮さん演じる須崎功と一緒に「ドリームポニー」を立ち上げた創業メンバーの栗木次郎で、個性豊かな仲間をうまく取りまとめる役どころでもある。
◆脚本を読んだ感想を教えてください。
小鳥さん(西島秀俊)と海斗(坂東龍汰)が入ってきて、会社はどうなっていくのかという部分が、話数が進むにつれてだんだん明確になってきて、さらに「あ、こういうチームなんだな」ということも分かってきました。僕の中で、栗木もこういうふうにいたらいいのかなと考えることが増えてきて、難しいなと思う場面も。これからいろんな問題や壁が出てきて、関係性も出てくるんですけど、テンポがいい作品だなっていうのは最初読んだ印象と変わらないところです。
◆演じていくうちに栗木の印象も変わりましたか?
変わった気がします。台本に描かれていない場面をすごく想像するようになりました。エンジニアとして見ると海斗が入ってきた時点で、栗木の方が技術的には劣っている。じゃあ、そうじゃない部分で栗木がしていることって何だろう、単純にみんなのコミュニケーションを円滑にするっていうことだけじゃない何かないかな、と考えるようになってきました。今の方が栗木はきっと深まってるんじゃないかな。テンションでいうと、(青山)テルマさんにすごく助けていただいて、テルマさんが恵実を高いテンションでやられているので、そうしたら栗木と海斗はこのテンションでいったらいいんだなと。最初、栗木は奔放な人なのかなと思っていたんですけど、周りの人を見て、あえてやってる時もあれば、本当に楽しくてテンションが上がったり、ちょっとテンション下がっているから上げようかっていう時もあって、空気が読めないように見えて、きっと読んでるんだろうなと感じました。
◆IT用語も出てくる本作ですが、難しかったせりふはありますか?
僕はエンジニアなんですけど意外とIT用語をしゃべってなくて(苦笑)。いつも説明は佐奈か功がやってくれて、栗木はそれに対するリアクションが多いんです。なので、僕は今のところ言っている雰囲気だけ出しています(笑)。
◆栗木に共感する部分はありますか?
僕も栗木みたいな生き方をしているところはあるなと思います。本人からしたら違うのかもしれないですが、この人、今日は元気ないな、テンション低いなって思うとちょっと話しかけてみたりとか、逆に今この人あんまり話しかけてほしくないだろうなと思ったら、何かあっても話しかけなかったりするから、きっとそういう部分が次郎ちゃんにもあるんじゃないかなと思います。
◆西島さんのインタビューで、「全力でみんながキャラクターを演じられるのは前原君が全部受け止めてうまく回しているからだと思います」というお話がありました。それは意識されているんでしょうか?
拝見しました、めちゃくちゃうれしかったです。僕が意識的にやってるっていうよりも、この人今怒ってるかもとか、楽しそうにしてるから乗ってみようと僕自身が反応しちゃうんです。それが結果的にそう見えてるとしたらうれしいですし、ありがたいです。
◆西島さんはどんな方でしょう?
僕のマネージャーさんが担当している同じ事務所の役者さんが最近西島さんと作品をご一緒されていて、マネージャーさん経由で西島さんは本当に素晴らしい人だっていうことをずっと聞いていたんです。もちろん西島さんが出演された作品を拝見していて素晴らしい先輩の俳優さんだと思っていましたが、今回実際にご一緒できて、めちゃくちゃすてきだなってあらためて感じました。聞いていた以上に素晴らしい方。人当たりもすごくすてきで、いろんな話ができるっていうのは、あれだけの先輩であまりいらっしゃらないというか。
なかなか気軽にお仕事のことだったり、普段何を食べているのかなど聞けなかったりしますが、西島さんはオールジャンルに誠意を持って答えてくださるんですよね。今も台本にない部分で、アドリブって言ったらちょっと違うんですけど、カメラ前でやりとりをしている時に、その奥で写っている人は何をしているだろうね、みたいなやりとりがあって。佐奈が電話に出ている時、我々は今どうしようって。もちろんメインは佐奈の電話なんですけど、その時に我々が止まっているわけにもいかないので、「この時どうする?」っていう相談を気軽にしてくださって「“劇団ドリポニ”だね」みたいな話が現場でありました。
僕と坂東君とテルマさんと西島さんが同じシーンが多いんですけど、西島さんが「こうしたらいいんじゃない?」とか言ってくださるから、みんなも頼っちゃって。ある時、西島さんに「団長ですね」と言ったら、「俺はそこに入れないでくれ」って(笑)。でも僕は今、西島さんのことを団長と呼んでます(笑)。たまに西島さんがいなかったら怒られるんじゃないかなっていうぐらい現場でゲラゲラ笑ってる時も、それに参加してくれる柔らかさというか、そして本番が始まったらすぐに小鳥さんになるのをすごく見ていて、こういう役者さんになりたいなって思わせてくれるような先輩です。
◆では、今回の座長である永野さんの印象はいかがでしょうか?
芽郁ちゃんはすごいですよね。22歳なんですけど、こういうドラマの主演を背負うこととか、29歳の僕ができないことをたくさんやっていらっしゃる。主演なので出演シーンも多くて忙しい中でも、明るくて。かと言って、ふわふわしてるだけじゃなくて、ちゃんと芯のある女性と言いますか、僕があの年齢の頃には持っていなかったものだなと思います。
栗木と功は大学に行っていて、佐奈はモグリで入ってきているということで、僕と遥ちゃん(杉野)と芽郁ちゃんの3人は同い年の設定。22歳の人と対峙したら違和感が出ちゃうと思うんです。22歳の女の子にこっちが合わせて若く見せなきゃとかを全然感じさせないでいてくれるのは、芽郁ちゃんの知的さから。こっちも気を遣うというか、向こうもきっと気を遣うんですけど、それを取っ払ってお芝居してくれる、22歳にしてそのメンタルを持っているっていうのは、素晴らしいことだなと思います。
純粋にお芝居がすごくすてきですし、西島さんもおっしゃってましたけど、普通に話していて、お芝居になったら一気にギアが入って急にグッと入る力みたいなところはやっぱりすごいと思います。あれは学ぼうと思って身に付けられるものじゃないし、それをたくさん持っていらっしゃる。天性っていうとちょっと失礼なんですけど、きっと本人なりに努力をすごくされて、それは努力しましたって見せないカッコよさというか。カッコよさもかわいさも兼ね備えた女優さんだなと思います。
◆杉野さんは?
僕、遥ちゃんとは、ドラマ『直ちゃんは小学三年生』で一緒になって、その時から遥ちゃんって呼んでいます(笑)。遥ちゃんは言葉にすると難しいんですけど、純粋でいられるというか、自分の心に正直に、おかしいなと思うことはおかしいってちゃんと思える人。
例えば撮影上、ここはうそをついてもいいよねっていう、仕方がなかったりする部分でも彼はちゃんと突き詰められるんです。画になった時にちゃんと出てくるし、突き詰めることをさぼらずにできるっていうのはすごくすてきだなと思います。だから対峙していても、とてもうそが少ないですし、心がきれいで、遥ちゃんは特に話していてすごく気持ちのいい男だなと思います。
2回目の共演なので、今回は人として面白いなって思う部分をたくさん知ることができました。俳優さんとして素晴らしいのは前回で分かってるので、それプラス人間として何か自分の進むべき道みたいなのをずっと探しながら、真っすぐにいられてすてきだなと。彼を見ててすごくうらやましいなって思う部分がたくさんあります。
◆今一番一緒にいる坂東さんや青山さんはいかがですか?
坂東君とテルマさんは、クランクインの日からわりとずっと三人で行動していて、学生時代のクラスでずっと一緒にいる人みたいになっています(笑)。この現場は、うそだと思われるかもしれないですが、本当にすてきな人しかいない現場です。そのすてきさが一人ひとりそれぞれ違うんですけど、坂東君はすごく陽気というか、遥ちゃんとはまたちょっと違った種類のうそのない男。ピュアだし、人に対してすごく自分の全てをさらけ出してコミュニケーションが取れるんですよね。かと思えば、お芝居になった時には海斗というキャラクターについて自分の中で綿密にやっていて。
栗木と海斗の絡みは直接的には意外となくて、でも一方で坂東君とはめちゃくちゃ絡んでいて、撮影じゃない時は人懐っこくて、懐に入るのがすごく上手なんです。人ってパーソナルスペースがあって、それを壊してくる人って最初拒否しちゃうと思うんですけど、坂東君はそのパーソナルスペースに心地いい入り方をしてきて、「この子なら別にいいか」みたいな。急に抱きつかれたりしても、ちょっとちょっとってならない、まあいいかこの子ならと思わせてくれる、本当に一つの才能というか、人懐っこいかわいい子だなって思います。
でもお芝居をしたらちゃんと変わるから、やっぱ俳優さんだなっていう。深い話をしたらそういうテンションにもなるし、いろんな顔を持っている人だなと思います。
◆では、青山さんは?
テルマさんには本当に助けていただいてます。本来なら初めての(連続ドラマの)現場で、僕たちがサポートしなきゃいけない部分がたくさんあると思うんですけど、逆にたくさんサポートしていただいていて、コミュニケーションに対してもそうですし、お芝居の時でも恵実っていう人に僕はすごく助けられています。
何から褒めたらいいだろっていうぐらいすごいすてきなところをたくさん持っている人です。きっと歌手もやられて、テレビにも出て、初めてとはいえ、いろんなことを経験されている方で、その経験を全部魅力に変えてきているんだなっていうのは、話をしていてもお芝居をしていても感じるので、面白いところも真剣なところも魅力の塊というか、関わったらみんな好きになる人だなって思いますね。
◆今までで一番印象的な現場でのエピソードはなんでしょう?
“ベース”といって、演者が本番をやってるところを監督たちが見てる場所があるんですけど、今日、佐奈と功の胸キュンシーンの撮影をやってたんです。そのシーンを栗木と恵実でもやってみようってなってやったものの、みんな仕事をしてるから誰も見てくれなくて、僕らとメイキングの人だけでキャッキャしていたのがすごく面白かったです。
わりとチームとして楽しくやっている中で、一度だけ会社としての方向性がばらけるみたいなシーンがあった時は、今までなかった空気になりました。佐奈はこう思う、でも他のエンジニアたちはこう思うと意見が食い違った時に、多分普段楽しくやっているから、余計にそこがリアルに対立したというか、分裂したみたいになった時は全体が沈んじゃって。よくあることだけど、「悲しいシーンだね」みたいになった時に、いいチーム感だなって僕は個人的にすごく印象的でした。だからドリームポニーっていう会社ってきっと楽しいんだろうなと。でも楽しいだけじゃなくて、そういうこともあって、きっと今までいろんな問題を超えてきて。だからここからまたいいチームになれたんだと、その時に思いました。
◆20歳の時にヒッチハイクをされて、その経験でお芝居が変わったとお話があったかと思うんですが、具体的にどんな変化がありましたか?
すごく短くまとめると、人見知り克服のために行ったんですが、細かいことを気にしなくなりました。人にはそれぞれの悩みがあって、ヒッチハイクして2人きりになると、会社の人とか身近な友達とかには話せないようなことを初対面の僕に話してくれたりするんですよね。たぶんそこでしか会わないから、この人には何を言っても自分の周りに広がることがないだろうということなのかもしれないですけど、「実はこんなことがあって、こうだったんだよね」と、単純にその時に人が何か抱えてる悩みみたいなのをポロっと出してくれる瞬間が結構ありました。
10台の車に乗ったとしたら、そのうちの7~8台はそういうことがあったくらい。時間の長さとかじゃなくて、なんとなく急にふって静かになって、「いや、実はさ~」みたいな。「こういうことがあって、こういうふうになっちゃったりして、どうしていいか分かんないんだよね」「そんなことがあったんですか」みたいなことが続いた時に、今自分が人見知りで悩んでることってすごくちっぽけなことなんだなって。
ある人からはいろんな人に命を助けてもらったから、誰かを助けなきゃと思って、ヒッチハイクしているあなたを見つけて乗せなきゃと思ったってお話を聞きました。いろんなことを超えてきている人たちが人に優しくできる。自分のことにだけ目を向けていたけど、そうじゃない。人見知りで悩んでたらそういう人になれないと思って。
人生なんかいろいろあるし、自分がつらいっていう時は、もちろんつらいっていう気持ちを無視してはいけないけど、もっとつらい人ってたぶん世の中にたくさんいるし、すごく自分の中のいろんな目線とか、考えとかを広げてくれたから、お芝居も変わったんだろうなと。
あといい意味でなんかいいかげんになりました。細かくいろいろなことを考えるんじゃなくて、取りあえずやってみようみたいな。そこから出た悩みに対して解決していったらいいやっていうのがだいぶ身に付きました。
◆たくさんの作品に出演されてきていますが、役者として大切にされていることがあったら教えてください。
楽しむっていうこと。それと、作品に臨む時に大切にしてるっていうよりも、俳優が特別だとは思わないようにしています。一人間として大事なことをちゃんと忘れないようにしようと思います。それこそ抜けていることもたくさんあるんですけど、あいさつとか、ありがとう、ごめんなさいって言うとか、他の人のこともちゃんと気遣うとか、当たり前のことを忘れないように。もしこの仕事でうまくいっていろんな人に気使ってもらえるようになって、チヤホヤされるようになったとしてもそれだけは忘れないようにしたいなって思っています。
◆最後に4話の見どころを教えてください。
まず3話でキスシーンやったのが僕でごめんなさい…。皆さん、「小鳥さんと功がキスしたんだ」でも「え、佐奈と!」でも沸けると思うのに、それのどちらでもない僕でごめんなさいということを4話の見どころを言う前にお伝えしたいです(笑)。
4話の見どころは、小鳥さん。ドリームポニーっていう会社は結構抜けている人が多いんです。栗木だったり、恵実だったり、人としては悪くないんですけど、きっと社会人としての常識っていうのはなくて。そこを小鳥さんがすごくすてきに、スマートに助けてくれる場面があります。それと、僕らは結構自由な服装でやらせていただいているんですけど、なんで小鳥さんはスーツを着ているのか。小鳥さんによって周りが動き始める回だなと思います。それと功が過去との決着をするところも僕はすてきだなと思います。そして、小鳥さんが横文字に慣れ始めてきます! ぜひ小鳥さんから目を離さないで見ていただけたらと思います(笑)。
PROFILE
前原滉
●まえはら・こう…1992年11月20日生まれ。宮城県出身。
番組情報
火曜ドラマ『ユニコーンに乗って』
TBS系
毎週火曜 午後10時~10時57分
<第4話(7月26日放送)ストーリー>
起業家と投資家をつなぐマッチングサイトで、投資家の高山と出会った佐奈(永野芽郁)。「ドリームポニー」の理念に共感し、1億円の投資を前向きに検討したいという高山に、佐奈と須崎(杉野遥亮)は大喜び。 小鳥(西島秀俊)のアシストもあり、とんとん拍子で話は進んでいく。そして、そんな追い風を受けた須崎は、ある出来事を機に絶縁状態にある父親と向き合うことを決める。
一方小鳥は、趣味のバードウオッチングをきっかけに知り合った早智(広末涼子)の家に招かれていた。しかし小鳥は、あろうことか早智とのメッセージのやりとりを社内のチャットに誤送信。栗木(前原滉)たちドリームポニーの面々は、「小鳥さんがデート!?」と盛り上がる。
そんな矢先、順調だったはずの投資話に思わぬ落とし穴が。新たな壁を乗り越えようともがくうちに、佐奈と小鳥の間には信頼関係が芽生え始めて──。
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©TBS/撮影:加藤春日