閉塞感が漂う田舎町という小さな世界の中で、行き場がない少年と、その家族、幼なじみ、教師ら強烈な個性を放つ登場人物たちの“心中”から始まるスーサイドラブストーリーを描くドラマ特区『少年のアビス』(MBS 毎週木曜 深夜0時59分、tvk 毎週木曜 午後11時ほか)。主人公の黒瀬令児を演じる荒木飛羽さん、令児の憧れのアイドル・青江ナギを演じる北野日奈子さんをインタビュー。原作についての話や、共演した感想などを聞きました。
◆ご自身が演じる役柄について教えてください。
荒木:令児は、家族や町にとらわれた男の子です。令児とお母さん(片岡礼子)は、はたから見たら歪な親子関係なんですが、令児から見たらお母さんはお母さんで。そこから抜け出すことができずにいる高校2年生の男の子です。
北野:ナギちゃんは、人気急上昇中のアイドルグループに所属している女の子で、理由があって休業している役どころ。ナギちゃんがお休み中に令児君の住んでいる町に来たことによって、どんどんその小さな町でいろんな出来事が起きていきます。
◆荒木さんは原作がお好きだということですが、きっかけはあったのでしょうか?
荒木:何か漫画を読みたいと思って見ていたら、アビスの表紙に引かれて手に取ったんです。読み進めるうちに、登場人物みんなが自分最優先で動いちゃうような、歪な素直さというか、僕たちが生きていてできないようなことを本当にできているような描き方をしていることに惹かれてしまって、大好きな作品になりました。
◆映像化されるなら令児をやってみたいと思った?
荒木:あの環境で生きたらどうなるんだろうと、令児に対してすごく興味があって。映像化するなら絶対に令児をやりたいと思っていました。
◆北野さんは原作を読んでどう感じられましたか?
北野:私はこのお話を頂いてから漫画を読んだんですけど、何日かに分けて読もうと思っていたのに、手が止まらず、一気に読んでしまいました。令児君が認知症のおばあちゃんのお世話をしなければならなくて、この町から出られないという話は、実際にニュースで報道されていることがあるじゃないですか。そういう現実にあることを漫画で描くことはすごく難しいと思うんですけど、漫画だからこそ、実際にそういう環境の子にも伝わりやすいのかなと。私自身もすごく衝撃的で、「少年のアビス」でしかこういう感情が生まれないのかなって思うほど引き込まれました。
◆今回の役が決まった時、どんなお気持ちになりましたか?
荒木:あまり緊張をしないほうなんですが、初めてお話を聞いた時は、大好きな作品で、本当に令児をやりたいと思っていたので、緊張してしまって…。自分が令児を演じていいのかなという思いもあったんですが、そのプレッシャーや緊張を役に当てて演技をしたら令児に生かせるんじゃないかなと思って、頑張ってやろうと思いました。
北野:私はこのお話を頂いたとき、9年間、乃木坂46でアイドルのお仕事を軸にやってきて、ドラマでの演技経験が少なかったので、自分がナギちゃんを演じられるのかすごく不安でした。でも、クランクイン前からスタッフさんとたくさん打ち合わせをさせていただいて、その不安な面を一緒に解消してもらいました。本当に現場も温かくて、荒木君も漫画愛であふれているし、制作の皆さんもすごく漫画を大事にされているのが伝わってくるので、私も皆さんと同じ気持ちで一生懸命頑張りたいなと思いました。
◆演じる上で意識していることはありますか?
荒木:令児の頭の片隅にはいつもお母さん(片岡礼子)がいて。誰かに誘われても、それができなかったり、途中で家に帰ってしまったり。常にお母さんにとらわれているというところを意識して演じるようにしています。
北野:私は乃木坂46のときのイメージカラーが黄色なくらい、好きなことを自由にやっていて、よく「天真らんまんだね」と言われるほうなんですが。ナギちゃんはクールで、グループのイメージカラーが青という、私とは全くカラーの違う子。なので、クールな乃木坂46の先輩を思い出しながらしゃべるトーンを抑えて演じています。ナギちゃんはいろんな人を巻き込みながら、台風のように町を荒らしちゃうんですけど、ナギちゃんもナギちゃんで抱えるものがあって。そういうのを頭に入れながら、原作ファンの方にも認められて、新しくこの作品に出会う人たちの心にも届くように意識しながらやっています。
◆北野さんは乃木坂46の先輩に演技の相談などはされましたか?
北野:生駒(里奈)さんとすごく仲良くさせていただいていて。生駒さんはドラマや舞台にたくさん出演されているので、ドラマと舞台の違いについて質問させていただいて、「ドラマはお客さんがカメラの向こう側にいるけど、その場にはカメラしかない。カメラのレンズの奥を意識して、やってみるといいかも」とアドバイスを頂きました。そこから、カメラの奥にいる人たちに届くように意識して、緊張せずにやれているのですごくありがたいなと思っています。
◆今回お二人は初共演です。共演されての感想を教えてください。
荒木:イメージ通りのナギだったので、びっくりしました。
北野:本当ですか?(笑)
荒木:そのおかげで違和感なくナギに対して気持ちを作れましたし、入り込めました。
◆どんなところがナギだなと思ったのでしょうか?
荒木:演技をしている時とカメラが回っていない時とで声のトーンが変わるんですよ。そのトーンや表情が原作とリンクしますし、急にナギがいるので驚きました。
◆北野さんはいかがでしょう?
北野:荒木君はカメラが回っていない時に、スタッフの皆さんも巻き込んで過ごしてくれていて、すごく明るいなと。でも、令児になるとすごく闇深い目をされるんですよ。一緒に演技をしていても、本当に引き込まれそうになるんです。でもナギちゃんは引き込まれてはいけないので、グッと自分を保つのが大変です…。
荒木:ありがとうございます(照)。
北野:あと、荒木君のビジュアルが令児そのもの! 一冊目の台本の表紙が原作の令児になっているのですが、荒木君がいない時に、その台本を見ているだけで荒木君を思い浮かべられるほど似ていて、すばらしいなと思います。
◆先ほどから、顔を見合わせてインタビューを受けていられますが、仲良くなったきっかけはありますか?
荒木:笹船を作るシーンですかね?
北野:そのシーンだね!
荒木:笹船を作るシーンがあるんですが、そのワンシーンの間に20個とか、30個ぐらい作っていたんです。それを北野さんに見せに行って。
北野:そう、見せに来てくれたんです(笑)。笹船を作っている荒木君の横で、私は夕日が沈むぐらいの空を見ていたんですが、プーさんの横顔に似ている雲の型を見つけて。それをどうしても言いたくなって、荒木君に「あの雲、プーさんに似てない?」と話しかけました。
荒木:本当にプーさんでした!(笑)
北野:私が人見知りというか、どういう人でどういうふうに受け取るんだろうって気になっちゃうタイプなんですけど、現場も荒木君の空気感に伴ってすごく明るいんです。
◆最後に視聴者へメッセージをお願いします。
荒木:僕なりの黒瀬令児を演じられるように精いっぱい頑張っているので、ドラマの黒瀬令児を楽しんでいただければと思います。
北野:今回、この作品に携われて、このドラマのナギちゃんを見ていただけることをすごくうれしく思います。誰にも言えないような自分の悩みとか黒い部分は誰にでもあると思うので、皆さんのそういった悩みが少しでも晴れるように、ナギちゃんとして頑張っていきたいと思います。ぜひ、ドラマを楽しみに、見逃さないようにしてもらえたらなと思います。
PROFILE
荒木飛羽
●あらき・とわ…2005年9月28日生まれ。茨城県出身。A型。
北野日奈子
●きたの・ひなこ…1996年7月17日生まれ。北海道出身。O型。
番組情報
ドラマ特区『少年のアビス』
MBS:2022年9月1日(木)深夜0時59分 ~
テレビ神奈川:2022年9月1日(木)午後11時~
チバテレ:2022年9月2日(金)午後11時~
とちテレ:2022年9月8日(木)午後10時30分~
テレ玉:2022年9月8日(木)午後11時30分~
群馬テレビ:2022年9月8日(木)午後11時30分~
配信:Huluにて見放題独占配信
TVer、GYAO!、MBS動画イズムで見逃し配信1週間あり
原作:峰浪りょう『少年のアビス』(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載中)
出演:荒木飛羽、北野日奈子
本田望結、堀夏喜、和田聰宏、片岡礼子/松井玲奈
監督:かとうみさと、湯浅弘章
脚本:狗飼恭子
制作プロダクション:ホリプロ
製作:「少年のアビス」製作委員会・MBS
公式HP:https://www.mbs.jp/boys_abyss/
ドラマ公式Twitter:@dramatokku_mbs
ドラマ公式Instagram: @dramatokku_mbs
ドラマ公式TikTok:@drama_mbs
●hair&make/反田やよい(荒木)、大場聡美(北野) styling/Yoh U(荒木)、優哉(北野) 衣装/NAKAGAMI (NAKAGAMI nakameguro)
©峰浪りょう・集英社/「少年のアビス」製作委員会・MBS