原案ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」をルーツに、アニメや2.5次元作品などさまざまなメディアミックスを展開し、人気を博している『刀剣乱舞』シリーズ。「特『刀剣乱舞-花丸-』~雪月華~」は、テレビシリーズで好評だった『刀剣乱舞-花丸-』が、劇場公開3部作となって帰ってきたアニメ作品だ。5月から「雪ノ巻」「月ノ巻」と上映され、完結編となる「華ノ巻」がいよいよ9月1日(木)より公開される。ゲームから引き続き大和守安定の声を担当している市来光弘さんに、作品に対する思いを聞いた。
◆劇場3部作の完結編である「特『刀剣乱舞-花丸-』~華ノ巻~」が、いよいよ公開になります。
「特『刀剣乱舞-花丸-』~雪月華~」の製作発表から「華ノ巻」まで、約1年半。あっという間だったな、という気持ちもありますが、待ってくれている人たちからしたら、1年半はかなり長い月日だったはず。皆さんにやっと見てもらえるんだ、という気持ちが強いですね。僕も劇場で見るのが楽しみです。
◆「雪ノ巻」「月ノ巻」は既に公開されていますが、反響は届いていますか?
SNSで『刀剣乱舞』関連のお話をしたときは、“いいね”やリツイートなどの反響がとても大きいです。さらに公式Twitterで新情報が出たり、映画が公開されたりするにつれ、どんどん増えていく公式への皆さんの反応や、“いいね”やリツイートの数を見ていると、「これが手応えか」みたいな気持ちになります(笑)。
◆「特『刀剣乱舞-花丸-』~華ノ巻~」で、個人的に注目してほしいポイントは?
「個人的」となると、どうしても自分が演じる安定のことになります。完結編なので戦いは当然ついてきますが、今回は対の一振である加州清光と肩を並べて戦えたところが、とても印象深くて。テレビシリーズ1期の安定は顕現したてということもあり、冒頭から心配をかけてしまい、最後もまた心配をかけ、最終的には清光に助けてもらう描写がありました。その後、修行の旅から帰ってきて、今作では相方である清光と肩を並べて戦っているところは、見てもらいたいポイントですね。
◆好きなシーンは?
最初に目を引いたのは、江の四振がカッコいいダンスを披露しているシーンです。テレビシリーズ1期のころから急に歌い出す “うどんミュージカル”がありましたが(笑)、「雪月華」でも曲でちょっと遊ぶことを取り入れているところがこの作品らしいなと思わせてくれました。あとエピソード的に気になったのは、水心子正秀と源清麿のパート。水心子にはある出会いがあるんですが、そこは「やっぱり気になるんだな」と感じました。
◆大和守安定の魅力は?
新選組の羽織を着ていますが、ビジュアルはとてもかわいいんですよね。でもゲームの台本を読んだら、「あれっ、このキャラクターで合ってるよね?」と感じるくらい、スイッチが入るとひょう変するようなせりふがあって驚きました。ギャップのあるキャラクターが僕は好きなので、かわいらしさと…凶暴さと言っていいのかな、そこを兼ね備えているところに魅力を感じます。
◆市来さんにとって、安定とはどういう存在なのでしょう。
2015年1月の「刀剣乱舞ONLINE」サービス開始から7年半、長く演じさせてもらっています。アニメで言うならば、彼の成長を見守りつつも演じさせてもらいました。僕自身も安定のおかげで、他のお仕事ではなかなかできないようなことを経験させてもらっています。彼は物語の中で成長を遂げていますが、僕自身も彼のおかげで経験値を積めたんです。安定にどう思われるかは分かりませんが、僕としては彼にとって、清光とはまた違う立場の相棒になれていたらいいなと思います。
◆清光役の増田俊樹さんとのアフレコは、いかがでしたか?
「雪ノ巻」「月ノ巻」だと個人で録るシーンもありましたが、「華ノ巻」はかなり多くのシーンを2人で録ることができました。おかげで掛け合いをすることができて、本当によかったと思います。2人の方が、完成図を想像しやすいんですよね。1人だと若干迷いながらやってしまいそうな状況でも、彼がいたおかげで、自分の演技の方向性に関して切り替えやすさがありました。
◆テレビシリーズと「雪月華」の、一番大きな違いは?
「雪月華」は、顕現している刀の数がテレビシリーズのほぼ倍です。登場する刀剣男士がとても多いので、しゃべっているシーンはどうしてもそれぞれがクローズアップされますが。その背後で他の刀剣男士たちが会話しているような動きをしているなど、一振一振のファンの方々に限界まで喜んでもらおうという思いが伝わってきます。もちろんテレビシリーズからその気持ちはありますが、さらにたくさんの人にできる限り喜んでもらおうという思いが詰まっているところが、この三部作の良さの一つなのかなと思います。
◆『刀剣乱舞-花丸-』のシリーズを通して、作品が大切にしていると感じるものは?
僕は「花丸」を支えてくれているファンの皆さんも“審神者”だと思っていて、このシリーズにはその皆さんに喜んでもらおうという思いを強く感じるので、大切にしているのはやっぱり、審神者そのものだと思います。作品の中でも刀剣男士は主である審神者を大事にしていますし、制作スタッフの方々も作品を支えてきてくれた審神者の皆さんに喜んでもらうために、本作を作ったのだと思いますから。
◆「特『刀剣乱舞-花丸-』~華ノ巻~」の見どころを教えてください。
3部作のラストということで、ちょっとシリアスな展開が待ち受けています。本丸にいる刀剣男士から、出陣している刀剣男士まで影響があるわけですが、何が起きているのか分からない状況になっても、出陣している刀剣男士は「本丸にいる仲間がきっと何とかしてくれる。だから慌てることなく、今できることをしよう」と仲間を信じて立ち向かいます。そして本丸にいる仲間たちは、出陣から戻ってこられない仲間たちを助けようと動き、同時に、主を助けるために本丸を守ろうとします。作品全体を通して刀剣男士たちが仲間や主を大事にしている気持ちを、感じ取ってもらいたいですね。
◆『刀剣乱舞』というコンテンツ、そして『刀剣乱舞-花丸-』という作品がこれだけ長く愛され続ける理由は何だと思いますか?
刀剣男士の豊富さもありますが、コンテンツの幅広さも大きいと思います。ゲームから始まっていますが、それも今となっては一種類ではありません。アニメも『刀剣乱舞-花丸-』と『活撃 刀剣乱舞』があり、さらには舞台『刀剣乱舞』とミュージカル『刀剣乱舞』という2.5次元作品もある。いろんなコンテンツがあることで、ファンの皆さんをずっと飽きさせません。「これだけ用意しましたから、好きなものを追いかけてください」と提示できる状態になっています。全部を追いかけている人もいるでしょうし、好きなものだけを集中して追いかけている人もいるでしょう。その飽きさせないコンテンツ力が、長く愛される理由なのかなと思います。そして『刀剣乱舞-花丸-』が愛されているのは、原案ゲームでは見て取れなかったような刀剣男士たちの会話――日常シーンが描かれていることもそうですけど、ゲームで会話があるのは関係性のある刀剣男士同士のみなんですよね。でもアニメでは、それ以外の刀剣男士たちが話している姿を見られます。この三部作で言うなら、休みをエンジョイしている刀剣男士なんて、ゲームではなかなか見られません。「この本丸では戦っているだけじゃなく、日常はこんなふうに楽しんでいるんだよ」と人間のように過ごしている姿を公式で見せてくれるところが、『刀剣乱舞-花丸-』の魅力ではないでしょうか。
PROFILE
●いちき・みつひろ…1月10日生まれ。鹿児島県出身。A型。主な出演作は、『佐々木と宮野』(田代権三郎役)、『八十亀ちゃんかんさつにっき』(陣界斗役)、『鬼滅の刃』(正一役)など。
作品情報
特『刀剣乱舞-花丸-』~華ノ巻~
9月1日(木)より3週間限定上映
<STAFF&CAST>
監督:野呂純恵
脚本:猫田幸
アニメーション制作:動画工房
声の出演:増田俊樹、市来光弘、新垣樽助、逢坂良太、斉藤壮馬ほか
●photo/小澤正朗 text/篠崎美緒 hair&make/MARVEE styling/末吉久美子©2022 NITRO PLUS・EXNOA LLC/特『刀剣乱舞-花丸-』製作委員会