『ユニコーンに乗って』松本友香P&岩崎愛奈Pが語る“大人の青春物語”に込めた思い

特集・インタビュー
2022年09月05日
『ユニコーンに乗って』©TBS

96日(火)にいよいよ最終回を迎える火曜ドラマ『ユニコーンに乗って』(TBS系 毎週火曜 午後10時~1057分)。830日に放送された第9話で、スタポニキャンパスの発展のため、サイバーモバイルとMAという形で手を組み、新たなスタートを切ったドリームポニー。さらに、須崎(杉野遥亮)が佐奈(永野芽郁)、栗木(前原滉)に、父親の会社に入ることを告白し、結末に向けて動き出した。最終回を目前に控え、プロデューサーの松本友香さんと岩崎愛奈さんに、本作に込めた思いや終盤の見どころを聞きました。

◆制作に至るまでの経緯を教えてください。

松本:人生何回でもチャレンジしていいし、新しいことを何かやりたいと思ったら、今の自分の立場、状況とか関係なく、まず一歩踏み出してみたら景色が変わるかもしれないっていう、その一歩を応援したい気持ちで作っているドラマです。現在、アメリカや中国、韓国など世界でユニコーン企業が数多く生まれている中、日本はスタートアップ企業や、新しいことを始めることに抵抗が強い精神風土だなと感じることがあります。そこの勇気を周りがまだ認められなかったり、少し変わり者扱いをするような風潮がある中で、誰かの新しいチャレンジを素直に応援できるような文化が生まれたらいいなと思って企画を思いつきました。そして、女性社長ものや、女性主役で描かれるお仕事ドラマが増えてきてはいる中で、わりと女性がスーパーバリキャリだったり、強い女性が描かれるものが多くて。その時代も1つあった上で、等身大で実は私も起業できるんじゃないかなとか、私も勇気を出して一歩踏み込んでみたら、CEOとして何かひとつ世の中を変えることが実現できるんじゃないかなとか。等身大のCEOがいてもいいなと、同じ目線を重要視しています。

◆スタートアップ企業を題材にした狙いは何でしょう?

松本:先ほど、『日本は新しいことを始めることにすごく抵抗感が強い精神風土』とお話しましたが、さらにその先の、新しいアイデアを世の中に発信していく力とか、9話のテーマにもなっていましたが、新しい会社の技術を大手と一緒にコラボして、大きいものにしていくという分野においても、“弱い”って言葉でひとくくりにするのは言葉足らずな部分もあるんですが、世界に比べたら、ユニコーン企業が少ない原因としてあるのかなと思います。まだまだ新しいチャレンジをする人に対して、ちょっと意識が高いっていう皮肉っぽい捉え方をしたり、実績を強く重視し、新しいものに抵抗があったり。そういう空気感だったり、起業ってすごくハードルの高いものって思っている精神風土がある中で、日本こそ純粋な会社もの、お仕事ものだけじゃなく、スタートアップ企業を舞台にしたドラマを描けたらいいなと。お仕事の内容を描くのはもちろん、自分がやりたいことを形にする選択肢を増やせられるようなお仕事ドラマを作れたらという狙いはありました。

『ユニコーンに乗って』©TBS

◆苦労したこと、大変だったことはありますか?

松本:今も大変だなと思っているのですが、みんなが思っていることのちょうど同じラインに立ったほうがいいのか、ちょっと先のメッセージを登場させたほうがいいのかは悩みました。先を行き過ぎると、そうじゃないと感じる人もまだまだいると思いますし、手前だとその動きは既にあるよねと。そのあたりの世の中のラインと、本編のラインをどうそろえるか、抽象的なことなんですが、そこはすごく考えましたね。日本もやっと、スタートアップ企業を応援するという動きがある中で、うまくそういう空気と、ドラマの空気と世の中がちょっと変えたいと思う空気が合えばいいなと意識しました。

岩崎:私も、いくつになっても挑戦ができるというメッセージを世の中に届けたいなと思っていました。その中でスタートアップ企業を描くというのは、決して楽なことだけではないので、リアリティと、どこまで夢を描けるかのドリーム感と、そこのバランスがすごく難しいなと思いました。変に難しくしすぎて「やっぱり起業は難しい」と思われてしまうと寂しいなと思いましたし、かと言ってあまりに軽快にストーリーが進みすぎると「そんなに簡単なことではない」という思いもある。もちろん努力や苦労があって、真っすぐな気持ちというのも必要だよということもしっかりと描いていきたかったので、それを主人公に担ってもらおうと。姿勢や仲間たちとの支え合いといったバランスは難しかったですが、いつもよりほんの少し遠くに手を伸ばしてみたり、背伸びしてみるだけで得られるものがきっとあるよっていうのが伝わっていたらうれしいです。

◆配慮もありつつ、難しさもあったということですね。

松本:そうですね。アナログを批判したいわけでもないですし、7話のデジタルディバイドの回も、田舎も進んでいるけど、そうじゃないところもまだあるというバランスは大変でしたね。

◆参考にされた作品はありますか?

松本:もちろん海外のスタートアップ企業モノや女性CEOの作品はいくつか勉強に見ました。今の日本の状況に落とし込むとどうだろう、火ドラのドリーム感を掛け合わせるとどうなんだろうかとか、意識した部分はあります。ですが、1番参考にしたのはリアルな人たちの声。ガッツリと5社に取材していて、実際に見に行かせてもらったり、ビジコンへ行って、これから起業する人たちの意見を聞いたりとか、その人たちのエピソードを物語に使っていることが多いです。

◆IT用語やデジタルについての知識が多く出てきました。それらが小鳥さん(西島秀俊)の存在で親しみやすくなっているのかなと思うのですが、こだわったところなどを教えてください。

松本:スタートアップ企業はそもそもカタカナ用語が多い企業なんです。私たちもクランクインする半年前ぐらいから、いろいろなスタートアップ企業へ取材に行ったんですが、分からない用語や、聞いていて難しいと思う言葉がたくさんありました。最近、TikTokでもスタートアップの人あるあるで、カタカナが多すぎて分からないみたいなネタがあったりするんです。そういうところを真面目すぎず、物語の中にうまく取り入れて、なおかつそれをちゃんと同じ目線で立って質問してくれる人がいたらいいなと思い、そういう役目を小鳥さんに担ってもらいました。

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