『FFXIV』オフィシャルバンド・THE PRIMALSインタビュー「ゲーム体験の思い出に火をつけるバンドでありたい」

特集・インタビュー
2022年09月13日
THE PRIMALS(L→R):マイケル・クリストファー・コージ・フォックス、イワイエイキチ、祖堅正慶、たちばなテツヤ、GUNN

オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FFXIV)サウンドディレクターの祖堅正慶を中心として結成された同作オフィシャルバンド、THE PRIMALS(ザ・プライマルズ)。彼らが2022年6月4日・5日に幕張メッセイベントホールで約4年ぶりに行ったワンマンライブ「THE PRIMALS Live in Japan – Beyond the Shadow」は、チケット一般販売後、即日完売するほど大きな注目を集めた。そのライブのなかから、6月4日公演の模様を収めたBlu-rayが、2022年9月14日に発売となる。

今回は、「THE PRIMALS」のメンバー(祖堅正慶、マイケル・クリストファー・コージ・フォックス、イワイエイキチ、たちばなテツヤ、GUNN)に、本ライブを振り返ってもらいつつ、Blu-rayの見どころについてお話をお聞きしました。


◆THE PRIMALSは、『FFXIV』のオフィシャルバンドです。ゲーム作品のオフィシャルバンドというのは珍しいと思うのですが、どういった経緯で誕生したのでしょうか?

祖堅:『FFXIV』は、これまで『FFXIV』のプレイヤーに集まっていただき大規模なお祭り(「FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL」)をやっていました。そのお祭りの締めくくりとして音楽興行で何かをやってくれないかと、『FFXIV』チームからお願いされまして。どういうスタイルだとみなさんに楽しんでもらえるのかと考えたとき、『FFXIV』はロックな曲が多いので、バンドスタイルがいいんじゃないかなと思ったんです。僕自身ロックバンドが大好きでしたし、日本・中国・韓国・フランス・ドイツ・アメリカなど各地でイベントを行う『FFXIV』なら比較的メンバーが少なくて動きやすいメンバー・演奏スタイルにしたほうがいいとも感じていました。そこで、まずはGUNNさんにメンバー集めの相談をしたんです。これが始まりですね。

◆バンドメンバーはどういう基準で選ばれましたか?

GUNN:祖堅くんから相談されたとき、「おじさんでお願いします」と言われたんですよ。思わず「はっ?」と返しちゃいましたね。

一同:(笑)。

GUNN:おじさんならいっぱい知っていたので、まずはこの2人(イワイさん・たちばなさん)に声をかけました。

たちばな:あんたもおじさんだけどね。

GUNN:そうね、みんなおじさん(笑)。真面目な話をすると、ゲーム作品のオフィシャルバンドということで、新しい挑戦にもなるし、きっとバラエティに富んだ曲をやることになると思ったんです。それに対応できる人で思い浮かんだのが、この2人でした。経験豊富で実績もある2人なら、やってくれるだろうと思って。

GUNN(THE PRIMALS)

◆コージさんはどういう経緯で加入されたのでしょうか?

コージ:僕はもともと『FFXIV』プロジェクトのローカライズ担当だったのですが、ある日、祖堅さんから「曲に英語の詞を付けたい」と相談されたんですよ。その後、「何なら、歌ってくれないか。エフェクトいっぱいかけるから」と言われてレコーディングにも参加したのですが、今度は「実はバンドもやるからステージで一緒に歌ってくれないか」と言われまして。最初は歌詞を書くだけだったはずなのに、気が付けば1万人以上のお客さんの前で歌うことになっていました。つまりは、だまされたんです(笑)。もちろん今は楽しくやらせていただいています。

祖堅:コージとは日頃からロックの話をしていたんです。だから、「あのバンドみたいな感じで歌ってみてよ」と軽いノリで一度頼んでみたら、二つ返事で調子こいて歌ってくれました(笑)。コージに最初にお願いした曲は今回のライブでも披露した「過重圧殺!〜蛮神タイタン討滅戦〜」だったのですが、これがゲームで実装されてからかなり話題になりまして。だからレコーディングだけじゃなくて、ライブでもコージに歌ってもらうしかないなと思ったんです。そうして、このバンドが誕生しました。

光の戦士から感じた力

たちばなテツヤ(THE PRIMALS)

◆「THE PRIMALS Live in Japan – Beyond the Shadow」は約4年ぶりのワンマンライブでした。改めて、ライブを振り返ってみての感想をお聞かせください。

祖堅:僕たちはレコーディングなどで、何だかんだ月に1回くらいは顔を合わせていたんです。ただ、お客さんの前で演奏したのは本当に久しぶりで。光の戦士(『FFXIV』のプレイヤーの愛称)の方々と一緒に同じ場所で盛り上がれる瞬間を久々に味わえて、とても印象深いライブになりました。

たちばな:あれだけの人数の前で演奏したのは本当に久しぶりでした。光の戦士のみなさんは声を出せない状況だったのですが、それでも熱が伝わってきたんです。演奏しながらグッとくるものがありました。同時に、早く声が出せる状況になれば…とも思いましたね。

イワイ:4年ぶりの開催にも関わらず、いきなり過去最大の会場でやることに不安もありましたが、実際にステージに立つと、「あぁ、帰ってきたな」と感じたんです。みなさんからの声がなくても伝わってくる思いがあったので、その力を背に楽しく演奏できました。

GUNN:祖堅くんも言っていましたが、僕らは何だかんだ会う機会もそれなりにあったので、リハーサルや打ち合わせの段階では「いつもの“THE PRIMALS”だな」と思っていたんです。ただ、これがステージに上がってみると、光の戦士のみなさんの熱量を感じて、一緒にライブを作っているという感覚になったんですよ。とても実りのあるライブになりました。久々に有観客でやれて、本当によかったです。

コージ:僕たちも有観客のライブができないことに寂しさを覚えていたのですが、その状況は光の戦士のみんなもきっと同じで。ゲームを一緒にプレイすることはあっても、『FFXIV』が好きなみんなが同じ場所に集まって盛り上がることはなかなかできなかったと思います。だから、あのライブで光の戦士のみんなもリチャージができたんじゃないかな。そんなみんなのパワーを受けて、僕らもリチャージできました。

イワイエイキチ(THE PRIMALS)

◆今回のライブパフォーマンスで意識したことは?

祖堅:炎がバーッって出てくる演出があったので、そこはすごく気を付けました。

GUNN:「みんな、あんまり前に行き過ぎると危ないぞ!」ってね。おじさんたち、すぐに忘れちゃうから。

イワイ:「前に出たら燃えちゃうよ」ってね(笑)。

祖堅:そういう演出面も含めて、光の戦士のみなさんが声を出せない状況のなかで、いかにライブを盛り上げればいいのかはずっと気にしていました。例えば、みなさんの変化を見逃さないようにしようと思ったり、配信で見てくださっていた方々のコメントをなるべく読むようにしたり。メンバー全員が、制約があるなかでみなさんに楽しんでもらえるようにパフォーマンスしようと意識していたと思います。好き勝手やっている、という感じではなかったですね。

◆いろんなことを考えた上で、ライブに臨んだと。

GUNN:準備段階からすごく考えましたね。セットリストを含めて、どうやったらみなさんが楽しいのか、嬉しいのかは密に話し合いました。

祖堅:コール&レスポンスもできないからね。

GUNN:まぁ、「どこから来たの?」「家ーー!」って1人コール&レスポンスはしたけどね。

祖堅:あれは、映像さんが頑張ってくれて、うまいこといったね。

コージ:これからも楽しみにしています。いつか流行語大賞に選ばれてほしい!(笑)

ロックとゲームサウンドの架け橋に

祖堅正慶(THE PRIMALS)

◆それぞれが思う「THE PRIMALS Live in Japan – Beyond the Shadow」Blu-rayの見どころを教えてください。

祖堅:音楽って、聴く人それぞれのインスピレーションやその時の状況によって感じ方が変わると思うんです。コンサートに行く方も、それぞれで曲への印象や思い出が異なります。ただ、THE PRIMALSはみなさんがゲームのなかで聞くサウンドを演奏しているので、来てくださる方みんなが同じ体験をしているんですよ。となれば、感動・喜びなどのポイント、感情の起伏が同じ波長であることが多くて、演奏者、観客、音が『FFXIV』というコンテンツでつながるんです。これって、すごく特殊なことじゃないですか。言葉にすると難しいのですが、新しいエンターテインメントのようにも感じています。ぜひ、その新しさをBlu-rayで体験してほしいですね。

たちばな:演奏面の楽しみもたくさんありますが、照明などの演出もかなりきれいです。ステージのセットも含めて見応えがあるので、音と合わせて楽しんでもらえればと思います。演奏しているおじさんたちは、大して見なくていいので(笑)。

イワイ:とてつもない情報量が詰まったライブです。音楽・映像・演出などエンターテインメントがいっぱいなので、ぜひ楽しんでください。

GUNN:ライブ自体もそうですが、映像の編集などもみんなで力を合わせてやっています。僕らとしてはレベルの高いところまで押し上げたという自負があるので、聞いてもらえるとうれしいですね。いろいろな要素が詰まっていて感動できる作品になっているので、期待してもらえればと思います。

コージ:当日はカメラの台数がすごかったんですよ。みなさんが見ていた場所とは違うアングルからの映像が収められているかもしれないので、ライブ会場に来てくださった方も、Blu-rayで新しい体験ができるんじゃないかな。ライブを作るまでのドキュメンタリーも収録されているので、ぜひ楽しみにしていてください。

マイケル・クリストファー・コージ・フォックス(THE PRIMALS)

◆演出とは少し違いますが、曲によってペンライトの色が変わるのも印象的でした。

祖堅:今回、カメラが結構お客さんのほうを向いているんですよ。なかには、思わず泣き出しちゃった方の姿も収められていて。そういう姿を見ると、僕たちもグッときました。あとは「女神 〜女神ソフィア討滅戦〜」のペンライトのカラーに注目です。ゲーム内で結構前に実施されたコンテンツだったからなのか、光の戦士のみなさんが掲げるペンライトのカラーがあんまり定まっていなくて(笑)。そういう背景も踏まえて見ると、また違った見え方ができるかもしれません。

◆最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いします。

祖堅:THE PRIMALSは、『FFXIV』と共に走り続けてきました。僕たちはみなさんのゲーム体験の思い出に火をつけるバンドでありたいと思い、活動を続けています。ライブの主役は僕たちじゃなくて、光の戦士のみなさんが遊んだ時の記憶や思い出。それを今回のライブで改めて表現できたと思います。また、音楽としてかなり完成されてきたという自負がありますので、ゲームサウンドという枠をそろそろ飛び越えてもいいんじゃないかな、という密かな思いもあります。

GUNN:ロックコンサートで僕たちが演奏して、架け橋になれたらいいよね。光の戦士のみなさんには、そのロックコンサートに出演している他バンドを知ってもらい、ふだんロックコンサートに行く方々には、ゲームサウンドの魅力を知ってもらう。そういうバンドを目指していきたいですね。あぁ、フェスに呼んでくれないかなぁ。

祖堅:フェスに出たいよね。新しい発見があるかもしれないし。ゲームサウンドを他の音楽シーンにも届けられるよう、活動を続けていきたいと思います。

PROFILE


THE PRIMALS
●ザ・プライマルズ…2014年に結成された『ファイナルファンタジーXIV』オフィシャルバンド。その活動は日本だけにとどまらず、北米、欧州、韓国、中国で開催された公式イベント「FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL」でのライブを行うなど、ワールドワイドに活躍する。2018年5月に1stアルバム『THE PRIMALS』をリリース。同年、バンドとして初の単独ライブツアー「THE PRIMALS Zepp Tour 2018 – Trial By Shadow -」を開催。全国4都市に熱狂のステージを届けた。また同期間中には韓国・ソウルでの単独ライブも成功させている。

リリース情報


『THE PRIMALS Live in Japan – Beyond the Shadow』
2022年9月14日(水)発売

価格:6,050円(税込)
仕様:Blu-ray Disc Music(1Disc)
収録内容:本編24曲+EXTRA MOVIES+MP3音源21曲
※MP3音源は「悠久の風」「メインテーマ 〜 マトーヤの洞窟」「ビッグブリッヂの死闘」を除く
封入特典:インゲームアイテムコード
・オーケストリオン譜:Close in the Distance(Beyond the Shadow)
・オーケストリオン譜:此処に獅子あり(Beyond the Shadow)
発売元:株式会社スクウェア・エニックス

商品ページ:https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/primals/btsBD/

動画

THE PRIMALS Live in Japan – Beyond the Shadow [Blu-ray] PV

FINAL FANTASY XIV: Beyond the Shadow – To the Edge Music Video (THE PRIMALS)

FINAL FANTASY XIV: Beyond the Shadow – The Nautilus Knoweth Music Video (THE PRIMALS)

FINAL FANTASY XIV: Beyond the Shadow – Rise Music Video (THE PRIMALS)

FINAL FANTASY XIV: Beyond the Shadow – Blinding Indigo Music Video (THE PRIMALS)

WEB

公式サイト:https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/primals/

●photo/YOSHIHITO_SASAKI text/M.TOKU

この記事の写真

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