10月13日(木)の『プレバト!!才能ランキング』(MBS/TBS系 午後7時~10時)で放送される名人・特待生による「秋の水彩画コンクール」に参戦した名人8段の田中道子さん、名人7段の光宗薫さん、辻元舞さん、名人4段のレイザーラモンHGさんにインタビュー。今回の「秋の水彩画コンクール」についてや、お互いの作品の印象などを聞きました。
◆今回、「スピード感」をテーマに作品を描かれたということですが、こだわったこと、苦労したことなどを教えてください。
光宗:私はわりと生物画や人工物みたいな、ものをしっかり捉えるほうが得意なので、「ああ、難しいな」って感じました。一斉査定のときも滝を描いたんですが、今回引いたお題も水系のお題で。似たようなお題だからこそ、前回よりもしっかり描かないといけないなと。得意ではない風景ではあるけれど、何度もやってるので、いろんな反省を生かせるということではいいお題を引けたのかなっていう感じです。今回、水しぶきの感じもかなり描いているのですが、そこの部分以外、この風景でスピード感が出る部分がないので、 1番こだわったのは波の部分。あとは人物も実際には絵ほど動いてはいないんですが、できるだけ動かして描くようにしました。
田中:スピード感を表すことはもちろん、最近先生から要求されるレベルが高くなっていて、ストーリー性や、その人物がどういう人なのかとか、背景が分かるという不可価値を求められることが多くなりました。真夏の日のロケだったので、夏らしさが伝わったらいいなとか、プラスアルファをどれだけつけられるかっていうのもこだわりました。今回も印象的なシーンを切り取ることをしていて、人物がメインのお題だったのですが、みんなが描いたポーズをしてたかっていうと違って。1人ひとり演じてもらって、それを組み合わせて、構図はこだわりました。前回の工場のときも大きなメインがあって、 左では燃えている炎もあってっていう寂しくなる場所がないように、画面いっぱいを使って表現したいなっていうことも考えて、切り取ったんです。ただ、困ったことに、よく番組で「光の道子」って呼んでいただいて、光を表現することが得意だと思ってくださってるんですが、実際自分ではそんなに自信がなくて…。今回、黒い服を着られていたので、光の表現が出しづらくて。炎天下で、太陽が真上から射す昼の12時で顔の陰影を出すのも頑張りました。
辻元:スピード感って目に見えないものなので、どうやって描けばいいんだろうと。漫画みたいに線をビューンと描ければいいんですが、それはできないので、この空気感をどうやって出すんだろうってすごく悩んで、少しぶれさせてみました。いつもは精密に書き込むことをずっとしてたので、その引き算に慣れなくて難しかったです。本当に過去最短で仕上がったので、今も不安です…。
HG:普段描くのも人物画なので、今回人物ありきの施設がお題だったので、「いけそうやな」と思ったんですが、女性を書いてほしいということで…。僕が筋肉を描くのが得意っていうのを見透かされて、女性のしなやかな筋肉を描けるのかと挑まれている感じだったので、やる気がさらに出ましたね。前回はトレーニング風景を描いて優勝したんで、今回も動きのある絵だったので、構図にも悩みました。あえて顔の見えない後ろ姿にしたんですけど、それが結構いい感じに転がったかなと思っています。
◆今回、どんな結果になると思いますか?
光宗:お題に得意不得意が各々あると思うので、お題との相性が大事かなと思います。辻元さん、HGさんは、細かく描写するものが得意なイメージがあって、田中さんは色使いが美しいイメージがあります。普段の水彩画以上にみんな気合が入っていると思うので、私も頑張らないとという気持ちで挑みました。
辻元:HGさんは、このお題、すごく得意そうなので、優勝するんじゃないかなって。
田中:何度目かのコンクールなんですが、いつも2位止まりで、段位としては1番上なのに、どうしてもコンクールでは1位が取れない。毎回、取りたいと思いつつ頑張ってるんですけど、レイザーラモンHGさんといった強敵も現れて、ちょっと戦々恐々としながら頑張ってますけど、1位を取るつもりでいます。
HG:春のコンクールで優勝させてもらったんですが、3回優勝されている光宗さんがいなかったので。今回は光宗さんもいますし、トップ3の田中さん、辻元さんもいるんで今回が本当のコンクールかなと。これで勝てたらもうゴールなんじゃないかなという感じです。
◆これまで何度もコンクールや一斉査定でお互いの作品を見られていますが、それぞれどのような印象をお持ちでしょうか?
光宗:水彩画査定の上位の方々に関して通じて言えるのは、コントラストを強めに書いている方が多いという印象があります。テレビ画面上に映ると、結構白飛びしちゃうので陰影が強い感じ。特に田中さんはわりとバキって描くタイプで画面映えしますよね。
辻元:迫力のある絵を描くのにすごく精密ですよね。細かい書き込みも得意なんて、無敵だなと思っています。
HG:田中さんはどの作品にも情熱を感じます。その情熱が作品とうまくハマったとき、爆発力があって、一斉査定で見せた3ランクアップにつながるんだろうなと。
田中:本当ですか、うれしいです。光宗さんは繊細な絵を描かれる方で、自分の好きなものは、誰よりも精巧に仕上げてくる特化型なイメージがあります。
辻元:確かに、とにかく繊細で狂いがない絵を描かれますよね。それに水彩画に限らず、他のアート査定でも、思い浮かぶデザインの発想がすごいなって思っています。
HG:同じ12色の水彩絵の具を渡されているはずなんですが、それを単色で使わずに独特の色使いをされていますし、緻密な表現もできて、写実も得意。黒板アートやスプレーアートのデザインイラストもできて、穴がないですよね。
光宗:辻元さん、HGさんは、とても丁寧ですよね。HGさんは、アート系のジャンルの中で特に丁寧な印象で、それがもはや狂気的にも見えるというか、自分の中で多分こだわりがあるんだろうなと。癖の粋に達しているほど細かくて丁寧だなと思います。
辻元:HGさんは、迫力がすごいです。HGさんの絵を見た時に、絵が飛び出してくるみたいに、いつも「うわっ」てびっくりさせられるんです。そういう躍動感のある絵がすごくうまい人だなって思います。
田中:辻元さんはとても器用な方で、実際にさまざまなアート査定で特待生の称号を持たれているじゃないですか。何をさせても満点近くの作品を仕上げてくる万能ママのイメージです。この間、色鉛筆のコンクールで一緒だったんですが、木目を写真みたいに表現されていて、さすがだなって思いました。辻元さん、光宗さんは、同じ女性として勝手にライバル視してたんですが、最近はHGさんもライバルの1人。私と同じときに黒板アートに出場して圧倒的画力を見せつけられて、初登場なのに2位になっていて。やっぱり芸人さんだから、見る視点も面白いし、切り取る構図や表現の仕方も、この人の作品は私には描けないなって思いました。
HG:辻元さんはママなので、毎回絵から優しさを感じます。ライバルと言ってもらえていますが、段位ではもうかなり離されているので、そうやって眼中にあることがうれしいです。僕にとっても全員が上にいるライバルなので、超えたいなっていう気持ちでやっているのでうれしいですね。いつも3人でにらみあっている感じがするんで、そこに入れてもらえてよかったです。
辻元:確かに自分が納得するまで描くというのは、最初からずっと変わらずあって。毎回突き詰めているんですが、その中でちゃんと進化できているのか難しいなと思っています。
◆他のアート査定もある中で、水彩画の魅力は何でしょうか?
光宗:表現の幅が広いところ。水彩画ってぼわんとしている感じの絵っていう印象があると思うんですが、塗り方によってはパキッとしてる感じの表現もできますし、風景に限らず生物画や、細い筆を使った細かい描写もできたりと、とにかく幅広いんです。そして、みんなが入りやすい画材ですよね。学校の授業で経験されている方も多いと思いますし。だからこそ、ちょっと親近感があったり、自分自身とリンクして見ることができて面白いのかなと思います。私、特に水彩画では焦らないことを意識しているんです。例えば、塗っていて、「変な色になっちゃった」「飛び出ちゃった」と思っても、すぐ処理しようとすると濡れているから、1回乾かさないと紙がボロボロになっちゃうんです。何が来ても動じないぞと、メンタルを強く持ってやらないといけないので、作品に挑むたびに動じなくなってくるというか、冷静に焦らないで描けば、ある程度修正が効くもの。そういう思考は人生においても影響されてくるので、水彩からメンタルも鍛えられています。
HG:僕は光宗さんとは反対に、スプレーアートも黒板アートもやり直しが利くんですけど、水彩画はやり直しが利かないところ。色を間違ったからといって、重ねられないので、そこは刹那的な魅力があります。今回も空を描いたんですが、塗ってみるまでどうなるか分からなくて想像がうまくなれば、そこを調整できるんでしょうけど、まだ広い面に塗ることに慣れていないので、いい方向にいくときもありますが、思い通りにいかないこともあって、そういう操作できないところは好きですね。
辻元:お題は決められるんですが、そこからどう画格を切り取って描くかは自分で決められますし、使える色も多いので自由度が高いなと思っていいます。1番難しいんですけど、水彩画が1番楽しいです。
田中:最近、言われた通りの場所をそのまま描いているだけでは勝てないなと思ってきて、勝手に色も変えるし、構図も変えてしまっています。今のところそれでいい評価を頂けているので、しばらくはこの調子でやろうかなと(笑)。見たままの景色を書いても、写真には劣るので、写真では撮れない表現というのは気をつけていて、それでいてコントラストも実際はそう見えてないんですけど、見た人に分かりやすくっていうのはモットーにしてます。パッと見た時に違和感がなく、それでいて、印象に残る絵っていうのは心がけてます。
◆10月で『プレバト!!』が10周年を迎えます。ご自身にとって『プレバト!!』はどんな番組でしょうか? また、今後どんなことを挑戦したいですか?
田中:『プレバト!!』のおかげで、地方の方も見てくださっていて。以前は「ドラマ見てるよ」と声をかけていただくことが多かったのですが、今は9割9分が『プレバト!!』。水彩画、色鉛筆、消しゴムはんこで特待生ですが、他にもいろいろチャレンジさせていただいて、『プレバト!!』に骨をうずめるつもりで頑張っているので、もっともっと長寿番組になってほしいです。芸術や俳句もそうなんですけど、年齢問わず、子供からお年寄りの方まで楽しめる番組なので、できる限り出たいです。
辻元:絵をよく描くようになったのは、『プレバト!!』に出てからなんです。それまでは絵はすごく好きだったし、趣味でイラストを描いていましたが、本格的な風景画を描くようになったのは、『プレバト!!』に出始めてから。それまでは育児や家事に時間をとられて、プライベートで絵を描く時間を確保できていなかったので、仕事とはいえ、絵に没頭できる時間があることがすごくうれしいです。今後どんな才能ある人が出てくるんだろうという一視聴者としても、すごく楽しみにしています。大人になって、子供も生まれて、自分の成長を実感できることは他になかったなと思って、毎回出させていただくたびに、前回の自分よりうまく描けたと、成長が目に見えて感じられます。
光宗:私もありがたいという気持ちが第一にあります。『プレバト!!』に出る前は、私を絵と関連づけて知っている方が、たぶんそこまでいなかったと思うんです。今は『プレバト!!』で知ってくださる方が一番多いんじゃないかな。普段から絵を描く活動をしているので、それを知ってもらう大きな窓口になっていて、個展を開催すると、「『プレバト!!』で知りました」という方が、来てくださるようになっているので、そういう部分で『プレバト!!』に出るありがたさもあれど、難しさみたいなところもあって…。自分の色を出したいけど、でも上位を取りたいとか、いろんな葛藤があります。ただ何よりも今まで私、絵を学んできたことがなかったので、すごいぜいたくなのですが、『プレバト!!』が私にとっては学校のようなところなんです。うまい方たちがたくさんいて、学びもあって。『プレバト!!』に出ていなかったら、こんなに上達しなかった気がします。だから、今後も自分のために定期的に出続けたいです(笑)。
田中:私、デザイン系の学校へ行っていたんですけど、どちらかと言うと落ちこぼれで、絵に自信がなかったんです。いざ『プレバト!!』で特待生を頂いて、だんだんと順位が上がって、今1位ですよ。私、水彩画で今、女王なんです。「芸能人の中で1位になってるからね」って、当時の自分に教えてあげたいです。今は、この番組以外で絵を描く機会が少ないんですが強制的に競わされ、負けず嫌いが発揮されて描くたびに、本当に上達しているなって思うんです。私も出てなかったら、ここまで上達していなかっただろうなと思うので、本当に自分の知らなかった才能を引き出してもらっている番組です。
HG:最初に出してもらったのが2016年になるんですかね。僕も半分以上アート部門に携われても携わらせてもらって、俳句に永世名人とか句集があるように。なんか水彩画の作品集も合同でいいので出していただけたらうれしいなと思います。今、田中さんが8段でもう上がもう見えてきているので、 そういう水彩画での玉座みたいなのができたら、面白いんじゃないでしょうか。そして、『プレバト!!』は親が一番安心してくれる場所。父親が趣味で水彩画をやっているので、毎回見てくれますし、電話で感想を聞くんです。ぶっきらぼうな父親ですけど、会話のきっかけになって、すごくありがたいですし、親の遺伝を感じますね。
◆最後に視聴者へのメッセージをお願いします。
光宗:絵は個人の性格や人生が反映されるところが1番面白いところ。自分の絵を通して「あ、自分ってこういうところがあるのかな」と思ったり、絵を見てもらって「こういう人なのかな?」と思われたり。芸能人の方だと、職業や性格などを知っていると思うので、そういったバックボーンをリンクさせてみると、さらに面白いのかなと。なので、「絵って面白いな」ってプラスに思って、見ている皆さんの何かを始めるきっかけになってもらえるといいなと思います。
田中:見ている方にとって俳句、水彩画、他の査定も、ためになるというか生活の知恵みたいな、みんなうなずくところがあると思います。それが『プレバト!!』の愛される理由の1つだと思いますし、芸能人のみんなが争ってる姿をお茶の間でケタケタと、これからも見守ってほしいなと思います。
PROFILE
田中道子
●たなか・みちこ…1989年8月24日生まれ。静岡県出身。O型。
光宗薫
●みつむね・かおる…1993年4月26日生まれ。大阪府出身。O型。
辻元舞
●つじもと・まい…1987年2月6日生まれ。京都府出身。O型。
レイザーラモンHG
●れいざーらもん・えいちじー…1975年12月18日生まれ。兵庫県出身。B型。
番組情報
『プレバト!!才能ランキング』
MBS/TBS系
2022年10月13日(木)午後7時~10時
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