縁もゆかりもなかった漁業の世界に飛び込んだシングルマザーと、彼女と共に改革の荒波に漕ぎだした漁師たちの“奇跡の実話”をモデルにしたドラマ『ファーストペンギン!』(日本テレビ系 毎週水曜 午後10時)。若手漁師・山中たくみ役で出演中の上村侑さんが、本作の見どころや撮影中のエピソードなどを話してくれました。
◆『ファーストペンギン!』への出演が決まった時の気持ちは?
「えー!? まさかでしょ!」って思いました。まさに青天の霹靂で、びっくりなサプライズでした。母も祖母もドラマが好きなんですけど、その影響もあってドラマに出ることは自分の中で目標としてありました。お話を頂いて、一つステップアップできたと感じました。
◆ドラマの全体的な印象や、作品の面白さについて教えてください。
実話が基になっているところが魅力です。もちろんあくまでフィクションなので脚色されている部分もあるのですが、主人公のモデルとなった坪内(知佳)さんのドキュメンタリーを見ると、けんかで言い合っているシーンも本当に漁師たちと殴り合いが始まりそうな場面もあったので(笑)。ドラマのほうがコミカルな仕上がりになっているんじゃないかと思います。奈緒さんが演じられている岩崎和佳(のどか)が啖呵を切るシーンも、スカッと爽快な感じで面白いです!
◆たくみというキャラクターの印象や、自分と似ていると感じる部分はありますか?
たくみは自分と同年代だし、いかにも現代の若者らしいキャラクターだと思うので、似ているなと思うところはあります。内面でいうと、みんなの輪の中に入りたいけど入れない…みたいなところですかね(笑)。僕も、他の人が楽しんでいる様子を傍から見ているのが楽しいと思うタイプ。周りを客観視している部分は似ていると思います。
◆“連ドラレギュラー出演”は上村さんにとって初挑戦ですが、お芝居をする中で気をつけていることは?
決まった尺の中にストーリーを収めるとなると、テンポ感みたいなものが映画のせりふ回しとちょっと違うなと思う部分があります。あとは、複数台のカメラで撮っているので、どの角度から見ても面白いものにしたいということを意識しています。本番前にカメラの位置を確認して、“(カメラ位置が)あそことあそこだから、振り返るならこっちを向こう”とか。そういうちょっとした気配りみたいなものは、自分の中で新しい挑戦だなと思っています。
◆撮影中の印象的なエピソードを教えてください。
もうずっと楽しいです(笑)。共演者の皆さんが本当におしゃべりで、お話が上手な方が多いので、それを聞いているだけで楽しいです。休憩中も本番中も雰囲気が変わらず、いい意味で極端に切り替えることがなくて。いつの間にかカメラが回っていて、いつの間にか終わっているみたいな(笑)。
◆キャストの皆さんでどういうお話をされるんですか?
方言をあえてちょっとギャグっぽく使ってみたりとか(笑)。あとは、大先輩がたくさんいらっしゃるので、自分が知らない、今では考えられないような昔のお話を聞けるのもすごく面白いです。
◆上村さんご自身から、共演者の方々に話しかけることは?
いや〜、なかなか入り込んでいけないですね(笑)。皆さんのお話を聞いているだけで精いっぱいになっちゃうので…。たくみは結構尖った役柄なので、現場では皆さんとちょっと一線を引くようにしているんです。でも、たくみも徐々に周りに馴染んでいくと思うので、そうなったらもっと一緒にお話したいです!
◆実際に漁師役を演じてみて大変だったことはありますか?
“ペンギン”というつなぎみたいな合羽を着ているんですけど、慣れるまで動きづらいんです。でも僕が着ている素材は、他のキャストの方が着られているものと違うみたいで。皆さんを見てみると、もう体になじんでいて…。“これが漁に出た数の差か…”と(笑)。もし自分が漁師になったら、最初は同じように感じるんだろうなと思いました。それと、他の作品の撮影ではそんなに生魚を触ることがないので、そういう部分では「漁師役をやってるな」と思う瞬間がたくさんあります。
◆上村さんご自身は、漁師の仕事には向いていると思いますか?
面白そうだなとは思いますけど…僕にはちょっと難しいかもしれませんね(笑)。漁師さんのお仕事って、天候に左右されるじゃないですか。「今日は雨だから漁に出られないよ」と言われたときに限って、自分がすごくやる気だったりしたら、「何だよ!?」ってショックを受けそうなので(笑)。
◆上村さんのプライベートについてもお聞きしたいです。最近の癒やしアイテムや、癒やしの時間はありますか?
銭湯にハマっていて、サウナや岩盤浴に行ったり、事あるごとに「行くか〜」みたいな感じで地元の銭湯に行ったりしています。大事なのが、銭湯に行ってサウナでととのった後、家に帰って筋膜ローラーでストレッチをすること。体がポカポカした状態のままストレッチをやるというのが、自分の中で極限までととのうためのルーティーンになっています。休みの日にこれをやると、有意義な1日を過ごしている気がします。
◆Instagramにはご自身が描かれた絵をアップされていますが、絵はよく描かれるんですか?
時間があれば絵を描いたり、楽器を弾いたりします。とにかく何かを生み出すことに飢えているというか、“自分の中から何か出てこないかな”と思って描いていますね。絵の展覧会や美術館にもよく行きます。かといって、それをちゃんと芸術として自分の中に落とし込めているかと言われると、そんなことはないんですけど…。絵を見てフィーリングで“これいいな”“これ好きだな”と感じたり。美術館に行くとそれだけで1日過ごせちゃうので、そういうことも自分の中では癒やしになっています。
◆最後に、俳優としての今後の目標や、やってみたい役があれば教えてください。
体を動かすのが好きなので、激しめのアクションをやってみたいです! 今、「ムーブメント」という身体操作みたいなものを月1で習っていたり、殺陣もやったりしていて。そういったものを活かせる作品に出演できたらいいなと思っています。
PROFILE
上村侑
●うえむら・ゆう…2002年11月2日生まれ。鹿児島県出身。2021年、主演映画「許された子供たち」で「第75回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞」受賞。現在、「空のない世界から」が公開中。「ワタシの中の彼女」が11月26日(土)、主演作「近江商人、走る!」が12月30日(金)公開。
番組情報
『ファーストペンギン!』
日本テレビ系
毎週水曜 午後10時〜11時
この記事の写真
●photo/干川 修 text/板楠知沙