TBSの深夜ドラマ枠「ドラマストリーム」で9月20日から放送開始した『階段下のゴッホ』(TBSほか 毎週火曜 深夜0時58分〜1時28分)。本作は、自分らしく生きるために邁進し、強くたくましく夢にも仕事にも向き合い進んでいく主人公・鏑木都の姿を通して、生きやすいようで生きにくい令和の時代を闊歩する女性たちにエールを送るヒューマンラブストーリーだ。
大手化粧品メーカーに勤める“高収入バリキャリ女子”で、ある絵画に出会ったことで一念発起し、画家になるという夢をかなえるべく東京藝術大学を目指す主人公・鏑木都をSUMIRE、都が美術予備校で出会う6浪中のミステリアスな青年・平真太郎を神尾楓珠が演じる。
そんな本作でプロデュース兼全話の演出を担当する小牧 桜さん(TBSテレビ)による連載が、TV LIFE webでスタート。本作に込めた想いから撮影の裏側まで、演出・プロデューサーという立場ならではの視点でお届けしていきます。
第6回:階段を歩む仲間たち
拝啓、皆様。
第6話。
夕景の下、身長も性別も性格も何もかもが違う5人が、一列に並ぶ。垣根や格差を越えて、必ずしも同じ一線の上ではないけれど、それでも並んで空を見る。『階段下のゴッホ』において絶対に描きたいなと思っていたシーンでした。
そして、そんな思い出深いシーンがある第6話は、物語が大きく展開する回。
美術予備校生たちの本音や、赤い絵との再会、そして何より真太郎の落とす青いスケッチブックと、平光也の存在。今までゆったりとしたテンポで進んでいた物語が一気に動き出すような回です。
思い返せば、初めて童心塾の予備校生の皆さんに本読みでお会いした時は、部屋に誰も座っていないんじゃないかと思うくらいに静かで。これはどうしようかな…と正直悩みもしたのですが、デッサン練習と軽い稽古の後、みんなでラーメン屋に行くと聞いてとてもホッとしたことを覚えています。
後日、ラーメン屋でいろいろ会話できたのかどうかを尋ねたところ、SUMIREさんに「これがカウンター席だったのでただただ横並びでラーメン食べました」と言われ大笑い。なんだかいいチームだなと。
その後の撮影では、いつの間にか良い空気が出来上がっていて。やはりそこは石川瑠華さん、高橋侃さん、秋谷郁甫さんといった3人が率先して、予備校の匂いを作ってくれたからだと感じています。雰囲気作りだけではなく、細かい仕草、小さな反応、いつでもちゃんと役を生きてくださっていたので、細かな動きや芝居はお伝えせず、皆のありのままの温度や質感をなるべくそのまま捉えるようにしていました。今思うと、この監督何も言わないなぁと思われていたかもしれませんが…。
石川さんは日々デッサン練習をしてハナを自分に落としてくださっていましたし、高橋さんは落ち着いてしまいがちな予備校生たちの空気を、風のようにスーッと気持ちよく動かしてくださっていました。秋谷さんはご自身の中で草介の成長やグラデーションをしっかり考えて取り組まれていましたし、突然コメディアン顔負けのコケ方をされた際にはスタッフ全員で大笑い。3人ともそれぞれバランスをとりながら、それぞれ個性がある。とにかく和気あいあいとしながらも、本番となると切り替えてキリッと集中する姿が、まさしく予備校生だなと。
1人に焦点を当てるだけではなく、全員が全員、それぞれの物語を生きる。それをどこか捉えることができたらと構築していったドラマですが、今思うと、3人の前向きな姿勢が物語をさらに厚みのあるものに膨らませてくれたように感じています。
PROFILE
小牧 桜
こまき・さくら…1989年4月14日生まれ。東京都出身。
TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部。
『ルーズヴェルト・ゲーム』、『99.9〜刑事専門弁護士〜』、『凪のお暇』などの演出部を経験し、2020年『この恋あたためますか』でGP帯監督デビュー。以降は『リコカツ』、『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』などのドラマの演出を担当。
9月20日より毎週火曜深夜0時58分からTBS系にて放送中のドラマストリーム『階段下のゴッホ』(出演:SUMIRE・神尾楓珠ほか)で、初プロデュース兼全話演出を担当。
番組情報
ドラマストリーム『階段下のゴッホ』
TBSほか ※一部地域を除く
2022年9月20日(火)スタート
毎週火曜 深夜0時58分〜1時28分
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kaidanshita_no_gogh_tbs/
公式Twitter:@drama_streamtbs
公式Instagram:tbs_drama_stream
公式TikTok:@drama_stream_tbs
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©「階段下のゴッホ」製作委員会