秋元康が企画・原案を手掛けるよるおびドラマ『差出人は、誰ですか?』(TBSほか 毎週月曜~木曜 深夜0時40分~0時55分 ※一部地域を除く)。「SNS社会に生きる若者たち」をテーマに描く“青春ヒューマンミステリー”で、「手紙ゲーム」をきっかけにクラスメートの意外な素顔が明らかになっていく。今回は、わだかまりを抱えていたものの、手紙ゲームによって関係を修復させた幼なじみを演じる成田育役の櫻井海音さん、馬場浩人役の窪塚愛流さんに話を聞きました。
◆お互いの思っていた印象と共演された後で、どのように印象が変わったか教えてください。
窪塚:俳優とモデル活動をしている僕とはまた違う、アーティストとしての一面も持たれている櫻井さんと仲良くなりたいな、一緒にお芝居をしてみたいと思っていました。ただ、今回僕たちが演じる役柄を考えると、最初から仲を詰めていってしまうのはお芝居をする上でどうなのかなと思いました。クランクインのごあいさつ以降は僕から積極的に話しかけたりはしませんでした。撮影が進んできて、成田と馬場ちゃんの間の問題が明かされていくようになって、その流れとともに、櫻井さんとの距離も近づいているような気がしています。
櫻井:最初の印象はクールで、口数も少なくて、なんならちょっと尖がっているんじゃないかぐらいのイメージでした。それは愛流のことをあまり映像で見たことがなくて、モデルをしているときの写真を見ることが多かったので、勝手にそういった印象があって。でも、実際に会ってみたら、とても謙虚で腰が低くて、すごくかわいらしい子でした。
窪塚:そんなふうに思ってくださったのですね。
櫻井:うん。すごく安心しました(笑)。愛流も言ったように役柄的に最初から距離が詰めづらい設定ではあったので、僕も徐々に芝居を重ねていって、今はどんどん距離が縮まってるなっていう感覚があります。
◆成田と馬場を演じる上で心掛けたことや、印象的なエピソードはありますか?
櫻井:第6週の最後で、手紙ゲームという場を持って、成田が馬場にしっかりと謝罪をするところは、2人でいいものが撮れたなという実感があります。このシーンは台本から変わったところが多々あって。謝罪をして、握手から抱擁をするんですが、最初成田から馬場に手を差し出して、それを馬場が受け取って、馬場がさらに引き寄せて抱きしめてくれると書かれていたんです。成田が先に手を差し出してしまうと、謝罪して、自分から許しを求めにいってるような見え方もされてしまうと思ったので、監督さんやプロデューサーさんとお話しさせていただいて、そこは馬場から手を差し伸べてくれるのが自然な流れだし、和解になるなって。そこは愛流とも話して、最終的にそういうシーンになりました。
そして、成田が教室で読んだ手紙は白紙なんです。それがどういう見え方になるのか、楽しみにしています。それも加藤(亜季子)監督からの提案で、最初台本には手紙が書かれていて、それを読み上げて、そこから手紙を置いて、自分の気持ちで馬場の前で謝罪をしに行くっていうふうになっていたんです。ですが、成田のキャラクター的にも手紙を書くことをするようなキャラクターではないので、白紙にして手紙という思いを伝える場として使ったんです。あとは抱擁してお互いに涙を流すってところも台本にはなくて…。
窪塚:自分もびっくりしました。台本を読んだときに、熱い言葉をもらって、熱いハグして終わるのかなと思っていたんです。ですが、櫻井さんの芝居を受けたときに考えてもいなかった感情になったので、自分が前日までに思っていた気持ちではなくて、そこで生まれたものを大事にしようと思い芝居をしました。握手を交わすまでのほんの数秒ですが、馬場の気持ちの流れが変わって、込み上げる感情に涙が出ました。
櫻井:僕も別に用意していたものではなかったです。でも、実際にそのシーンの段取りをして、手紙を読み上げて、いろんな背景を抱えながら、いざ馬場の前に立ったときに、しっかりと愛流が僕の芝居を受けてくれたので、自然に感情的になりました。別に泣かなくてもよかったんですが、お互いに本気で芝居の掛け合いができたのかなって思います。
そして最後に「僕、サッカーをまだやり続けたい」って言ったら、馬場が立って「諦めんなよ」ってひと言くれるんですが、愛流が刺さってくるような芝居をしてくれたので、ありがたかったなって思いますし、お互いにちゃんと通じ合えたからこそ、いい和解のシーンが撮れたのかなって思います。なので、僕はそのシーンが1番好きです。
窪塚:櫻井さんの芝居があったからこその感情が生まれましたし、あの瞬間は僕の世界ではカメラもスタッフさんも見えなかったです。ようやく成田の言葉を聞けた、心と心のぶつかり合いでした。僕もあのシーンは好きですね。
櫻井:僕はそのシーンの撮影前に馬場から手紙を受け取って、成田がそれを1人で公園のベンチで読むシーンの撮影があったんです。和解のシーンで予定になかった涙があったことによって、先に放送されるシーンなのでバランス的に、僕が1人で手紙を読んでいるところはやりすぎても良くないと、監督と話をしていたんですが、いざ本番になったら耐えられなくて。手紙から受けるものって、こんなにあるんだと、あらためてこの作品が手紙にフォーカスを当てている意味をすごく感じました。
実は、役を演じている人たちが実際に手紙を書いているんですが、あえて馬場の字が絶妙に汚く書かれていて。でも、それがすごく味がありました。やっぱり愛流が馬場として手書きで、ちゃんとつづってくれたからこそ、いろんなものを受けとれました。
◆成田が馬場をいじめるシーンでは?
櫻井:第7話(10/19OA)の一ノ瀬(藤原大祐)と馬場の2人に水を掛けるシーンは、そこは1発できれいに水を掛けることができました。そのあと、さまざまな角度から撮影する必要があって、プレッシャーがすごかったです。
窪塚:馬場が「来いよ」って、反抗心からわざと水を掛けられにいくんです。そこは監督からの要望もあり、成田を挑発するようにもっていきました。
櫻井:あとは、20代になって少し体が弱くなってきて…。
窪塚:まだまだじゃないですか!
櫻井:いや、そうなんだけど、馬場に教室で押し飛ばされてロッカーにドーンってぶつかるところは、スタッフさんが後ろにマットを敷いてくれたり、いろいろと配慮してくださったので、その時は痛くなかったんです。ですが、衝撃を首で吸収しきれていなくて、次の日まで痛かったんですよ。なので、みんなのフレッシュさに負けないように頑張っているのですが、水泳のシーンやボウリングのシーンは…。学生以来ぶりのボウリングで、腕が筋肉痛になっちゃいました。
◆それぞれ演じるキャラクターについて、自分に似ているなと思う部分と、ここは共感できないなという部分を教えてください。
櫻井:僕が今まで演じてきた役の中で、1番成田が自分に近いのかもしれないです。サッカーをやっていて、クラブチームに入っているという設定もそうですし、自分で言うのもあれですけど、クラスの王様的な。
窪塚:王様だったんですか?
櫻井:いやいや、そんなことはないんですけど、うるさかった方のタイプではありました。大人になって、学生の頃とは変わっている部分ってあるじゃないですか。いつの間にか失っていた無邪気さや不器用さっていうところは、成田を演じていて思い出しましたね。これまでやってきた役は、暗かったり、無口だったりが多かったので、今回、初めてこういうトップみたいな役をやらせてもらえて、気持ち良かったです(笑)。ただ馬場に対していじめるシーンに関しては、最初はすごくいろんな話し合いをさせてもらって、ただのいじめっ子にならないように。ちゃんといろんなバックグラウンドを持った上で、今の馬場との関係を大切にしました。
◆窪塚さんはいかがでしょうか?
窪塚:高校生の時の自分と照らし合わせると馬場ちゃんとは逆で、どちらかといえば成田側です。
櫻井:王様だったの?
窪塚:王様じゃないですけど、祐太郎(三浦獠太)みたいな、みんなを笑わせるようなキャラだったので、いじめられる馬場ちゃんをどう演じようかなって考えました。監督とプロデューサーの方々から「絵に描いたいじめられっ子じゃなくて、クラスの1人から一方的にいじめられている。だから、弱々しいいじめられっ子とは違うように演じてほしい」と提案いただいたので、それを心掛けました。第2話(10月12日OA)で大切な本を成田に投げられたときは、成田を押しのけて本に飛びついていったり。ちょっと抵抗するように、にらんでみたり、弱々しくは見えないように演じました。
日常的にひどいことをされていても、成田がつらいことに直面した場面では、馬場ちゃんは全力で成田のことを助けようと行動するんです。それは2人が目標は違っても夢に向かっていくことに励まし合って、支え合ってきたバックグラウンドがあるからこそ。それだけの絆が2人にはあるんだなって。僕自身、このドラマの撮影中にネガティブになってしまう時間があって。今まで感じたことのない感情が芽生えたときに、自分が演じる馬場の姿から背中を押してもらって、不思議な気持ちになりました。あらためて、馬場浩人を演じることができて、すごくよかったなと思っています。
◆YouTubeに上がっているメイキング動画からも和気あいあいと撮影をされているのが伝わってきます。同世代の方が多くいる撮影現場はいかがですか?
櫻井:「『私が女優になる日_』season2」の子たちは、オーディションのファイナルの相手役として共演させてもらったので、そこが4人との初めての出会いになります。その時はみんなから緊張している感じが伝わってきましたし、『差出人は、誰ですか?』の現場に入っても、(幸澤)沙良ちゃんはいきなり主演をやることになって、本当にいろいろ大変だろうなと思っていたので、最初の頃は少しでも緊張がほぐれるように、距離感だったり、話しかけたりは意識してやっていましたね。でも、もう大丈夫そうかな(笑)。僕もそんなに人と関わるのが得意なタイプではないんだけど、どう思う?
窪塚:確かに、櫻井さんはフレンドリーか人見知りかって言ったら、人見知りの方なのかなとは思いました。
櫻井:確かに、人見知りは元々あって、だいぶ良くなった方ではあるんですけど。 でも、最初みんなと会ったときに、クールそうとか。あと役も役なので、机を蹴っ飛ばしたりとか、大声上げたりとかするんで、怖がられちゃって。「これはまずいな」と思って、今はそういう人ではないんだよっていうオーラを出すようにしていますね。徐々に学園物で同世代が集まっていますし、同級生の役なので、そこはうまく現場の切り替えをしながらですけど、付き合っていけたらなって思います。
窪塚:先ほどもお話しましたが役柄的にすぐにみんなの輪に入るのは違うなと思っていたので、最初の方はあまり仲良くできなかったです。今は撮影の合間にみんなと話すようになりましたが、でも、まだ、馬場ちゃんという役をほっといて窪塚愛流として、櫻井さんたちクラスメートに接するのもな…と思っていて。ただ、藤原大祐君だけは同級生ですし、1度共演経験もあるので、他のみんなより少し距離が近いところはあります。馬場ちゃんがクラスメートに解け込んでいくたびに、僕もみんなとの距離を詰めていけたらと思っています。
◆お2人が今後共演するとしたら、次はどんな役で共演したいですか。
窪塚:違う設定で出てみたいです。最初からタッグを組んだものに憧れます。
櫻井:僕はなんだろう。逆にいじめられてみようかな(笑)。
窪塚:僕、シンプルに櫻井さんと一緒にご飯食べに行きたいです。
櫻井:共演、全然関係ないじゃん(笑)。でも、まだお互いに若いので、機会があればまた学園物ができるのかな。もっと年を重ねてお互いに渋みを帯びてき始めたぐらいでの共演もいいですよね。
◆今後の見どころをお願いします。
櫻井:ここまで成田の重めな部分が描かれてきましたが、第7週(11月21日OA~)以降は恋愛モードにシフトしています。美月にどうアプローチして、誰と美月の奪い合いをしていくのか。第7週では、文化祭の様子が描かれて、また一段とクラスがまとまったり、全体のシーンが増えてきて、わりとハッピーでポップな感じに描かれていくので、ぜひ楽しんでいただければと思います。
窪塚:これまでの馬場ちゃんは少しトロくて、ワンテンポ遅い感じで、クラスメートとの会話にうまく参加できていないので、自分の世界で生きる人なのかなと思っていたんです。第7週からは台本には描かれていないのですが、馬場ちゃんなりに成田や祐太郎たちクラスメートに解け込んでいくので、そこに注目していただけたらうれしいです。
PROFILE
櫻井海音
●さくらい・かいと…2001年4月13日生まれ。東京都出身。O型。
窪塚愛流
●くぼづか・あいる…2003年10月3日生まれ。神奈川県出身。O型。
第7週(11月21日(月)~24日(木))あらすじ
成田(櫻井海音)から「美月(幸澤沙良)のことが好き」だと打ち明けられ、動揺する一ノ瀬(藤原大祐)。
その頃、成田からデートの誘いを受けた美月もまた、成田のことが大好きな親友の彩花(大嵩愛花)の気持ちを思って悶々とする日々を過ごしていた。
そして、「手紙ゲーム」に新たに4通もの手紙が届く。しかも4通ともすべて全く同じ内容で、クラスの真面目な優等生・桃子(大平くるみ)に宛てた手紙だった…。
番組情報
よるおびドラマ『差出人は、誰ですか?』
TBSほか ※一部地域を除く
毎週月曜~木曜 深夜0時40分~0時55分
毎週金曜 TBS公式YouTubeにて全話配信
<出演者>
桑鶴美月…幸澤沙良
成田育…櫻井海音
一ノ瀬斗也…藤原大祐
御手洗健…駒木根葵汰
馬場浩人…窪塚愛流
佐伯彩花…大嵩愛花
柊ひかり…馬越友梨
難波桃子…大平くるみ
諸祐太郎…三浦獠太
氏田誠二…野村康太
野木静香…那須ほほみ
原田…サイプレス上野
カズタ…さなり
小畑きみ…薄幸(納言)
桑鶴雅巳…金子昇
桑鶴夏樹…島田珠代(吉本新喜劇)
立花純太…柄本時生
企画・原案:秋元康
脚本:藤平久子、濱田真和、灯敦生
音楽:G.B.’s Band Produced by GeG(変態紳士クラブ)
プロデュース:橋本梓、佐久間晃嗣
演出:加藤亜季子、宮崎萌加、熊坂出、宮本秀光
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/sashidare_tbs/
公式Twitter:@sashidare_tbs
公式Instagram:sashidare_tbs
公式TikTok:sashidare_tbs
この記事の写真
©TBS/撮影:加藤春日