柄本時生インタビュー「喜怒哀楽という感情が詰まっている作品」『差出人は、誰ですか?』

特集・インタビュー
2022年12月09日
『差出人は、誰ですか?』©TBS/撮影:加藤春日

秋元康が企画・原案を手掛けるよるおびドラマ『差出人は、誰ですか?』(TBSほか 毎週月曜~木曜 深夜0時40分~0時55分 ※一部地域を除く)。「SNS社会に生きる若者たち」をテーマに描く“青春ヒューマンミステリー”で、「手紙ゲーム」をきっかけにクラスメートの意外な素顔が明らかになっていく。その手紙ゲームの発案者で幸澤沙良さん演じる桑鶴美月たち2年D組の担任・立花純太を演じる柄本時生さんに、手紙ゲームについてや見どころを聞きました。


◆立花を演じるに当たって、心掛けたことは何かありますか?

謎がある感じのお芝居になるなと思っていました。実は学園ものをやった経験が少なくて。なので、演じられて楽しかったです。

◆現場の雰囲気はいかがでしたか?

「学園ものってこんな感じなんだ」と僕は僕で新鮮でした。そして、この現場が初めてという人もいましたが、1人1人いろいろと考えて演じているのが分かって、偉いなと思って見ていました。

◆先生役として学園ものにガッツリと参加されたわけですが、どのような感想を持たれましたか?

面白かったです。教壇からは、疲れているんだろうなっていう子や、すごく元気な子、本番前に目をつむっている子とか見えていました。教壇からは何でも見えるんだなと(笑)。

◆現場には生徒役の若いキャストが多いですが、ジェネレーションギャップなどを感じた出来事などありますか?

あまりなかったです。というより、僕がそんなにしゃべるタイプではないので、みんなへ話しかけに行っていなくて…。その中でも比較的歳が近い(櫻井)海音君や(駒木根)葵汰君、三浦(獠太)君とはしゃべりました。

◆櫻井さんとはどういうお話を?

この作品に入るまで知らなかったんですが、海音君が高校の後輩なんです。僕の同級生が自分のバンドにサポートで、ドラムのできる海音君を1回呼んだみたいなことがあって、そのときのことなどを話しました。

◆本作がドラマ初出演で初主演となる幸澤さんは、柄本さんから見てどうでしたか?

とても素直でした。幸澤さんに限らず、生徒役の方々は皆さん素直。お芝居というものに対して、とても素直に演じられているというか。お芝居で僕を見るところは、すごく素直に僕を見ていましたね。その素直さはお芝居をしていくうちに薄れていくものなので、うれしかったです。

◆そういった初々しい姿を見て、ご自身の演技を始めたばかりの頃と比べてみていかがでしょう?

皆さんとても上手ですよね。僕が初めて現場に行ったのは14歳だったのですが、その時は何も知らなくて。同級生役が1人いたかなという現場だったので、フラフラ、うろうろしていました。

『差出人は、誰ですか?』©TBS/撮影:加藤春日

◆手紙ゲームの発案者役として、立花が手紙ゲームを始めるわけですが、柄本さんご自身はこの手紙ゲームをどのように見ていらっしゃいましたか?

もし現実だったら、僕はとてつもなく嫌だなと思っていました。

◆SNSなどが発展しているこの時代で、手紙を扱ったこのドラマについてどう思いますか?

僕はSNSと手紙で、直に書く、電子で書くという違いはあるかなと。直に書く筆圧があったり、後半につれて飽きてきたのか字が汚くなってくるとか、いろいろあると思うんですけど、そういったことが垣間見える手紙はいいなと思います。

◆今回、生徒役で出演されている方たちに比べると、柄本さんは手紙世代なのかなと思いますが。

ちょうど僕らが学生のころからSNSが出始めてきたんですよね。ただ、学生時代にそういったツールとあまり縁がなかったので、全然知らないのですが…。でも、教室では女子たちが手紙を回していたりしている光景は見て、何なんだろうなとは思っていました。

◆柄本さんご自身の手紙にまつわるエピソードを教えてください。

僕自身は手紙を書いたことがなくて…。もらったエピソードになるのですが、23歳ぐらいの時に1通のファンレターを頂いたんです。障害のある息子さんが、僕のお芝居を見た時に笑ってくれたとかで、お母さんが書いてくれた手紙がありました。それは役者冥利に尽きるなと。うれしかったですね。

◆出演者の立場から見た本作の魅力はどこでしょうか?

生の良さだと思います。ネット社会の世界より、我々が肉眼で見る世界のほうがもっとすてきだっていう話なんだろうなと。やっぱり生のほうが喜怒哀楽という感情が詰まっていて、それがよく分かる作品で、そこが魅力かなと思います。

◆このご時世で起こっていることが凝縮された内容ですね。

僕らの学生時代の頃もありましたけど、題材として、誰かの何かの救いの作品になるんだろうなと思います。許すという大切さを見て感じてもらえたらなと思います。

『差出人は、誰ですか?』©TBS/撮影:加藤春日

◆クライマックスに向けて、YouTubeやParaviで本編を見返す方もいると思うのですが、柄本さんの好きなシーンはどこでしょうか?

(窪塚)愛流君が怒るところ。第7話(10月19日放送)で、藤原大祐君が演じる一ノ瀬が成田(櫻井)宛てに「馬場(窪塚)をイジメて楽しいですか?」という内容の手紙を「俺が書いたよ」と成田に言うんです。そうしたら、馬場が「おまえに俺の何が分かるんだよ」って一ノ瀬につかみかかるのですが、そこは本当に愛流が良かったです。怒り方がお父さんそっくりなんですよ。そこにも感動しましたね。

◆第36話(12月8日放送)で、立花が亡くなることが明かされます。台本を読んでどのように思われましたか?

どこまでやればいいか分からなくなりました。嫌な人のままいて、最後に手紙ゲームにはこういった思いがあったんだよっていうので収めるのか。それとも、たまに優しさを出していったほうがいいのか、そこは考えましたね。

◆では、最後に12月12日(月)から放送される最終週に向けての見どころを教えてください。

先生がなぜ手紙ゲームを始めたのか、何を隠していたのか、その理由がよく分かると思うので、見て楽しんでいただけたらなと思います。

PROFILE

柄本時生
●えもと・ときお…1989年10月17日生まれ。東京都出身。O型。映画「イチケイのカラス」「ippo」が待機中。

最終週(12月12日(月)~12月15日(木))あらすじ

『差出人は、誰ですか?』©TBS/撮影:加藤春日

クラスでただ1人、手紙を書かなかった代わりにと、立花(柄本時生)から「2年D組」宛の手紙を預かった美月(幸澤沙良)。「時期が来たら読んでくれ」という立花の言葉が気にかかる美月だったが、その言葉の意味が分からないまま年が暮れ、お正月が訪れる。一ノ瀬(藤原大祐)との初詣に心躍らせ、楽しい冬休みを過ごす美月。
そしていよいよ明日から三学期という時、美月宛に1本の電話がかかってきて——。
立花が突然始めた「手紙ゲーム」によって、クラスメイトの知られざる悩みや想いを知り、本音でぶつかり励まし合ううちに少しずつ絆が深まっていった2年D組の生徒たち。
果たして、立花はなぜ「手紙ゲーム」を始めたのか…。
今を生きる生徒たちに、立花が伝えたかった想いとは…。

番組情報

よるおびドラマ『差出人は、誰ですか?』
TBSほか ※一部地域を除く
毎週月曜~木曜 深夜0時40分~0時55分
毎週金曜 TBS公式YouTubeにて全話配信

<出演者>
桑鶴美月…幸澤沙良
成田育…櫻井海音
一ノ瀬斗也…藤原大祐
御手洗健…駒木根葵汰
馬場浩人…窪塚愛流
佐伯彩花…大嵩愛花
柊ひかり…馬越友梨
難波桃子…大平くるみ
諸祐太郎…三浦獠太
氏田誠二…野村康太
野木静香…那須ほほみ

原田…サイプレス上野
カズタ…さなり

小畑きみ…薄幸(納言)
桑鶴雅巳…金子昇
桑鶴夏樹…島田珠代(吉本新喜劇)

立花純太…柄本時生

企画・原案:秋元康
脚本:藤平久子、濱田真和、灯敦生
音楽:G.B.’s Band Produced by GeG(変態紳士クラブ)
プロデュース:橋本梓、佐久間晃嗣
演出:加藤亜季子、宮崎萌加、熊坂出、宮本秀光

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/sashidare_tbs/
公式Twitter:@sashidare_tbs
公式Instagram:sashidare_tbs
公式TikTok:sashidare_tbs

この記事の写真

©TBS/撮影:加藤春日

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