テレビ情報誌「TV LIFE」で、今後さらなる活躍が期待されるネクストブレーク俳優&女優の魅力を紹介する連載「#今旬コレクション」。WEB版では、本誌に収まりきらなかったエピソードをスペシャル動画も交えて紹介します。第48回は現在放送中のドラマ『silent』(フジテレビ系)に出演中の井上祐貴さんが登場です。
「#旬コレ 7seconds CHALLENGE」井上祐貴
◆ドラマ『silent』は回を重ねるごとに大反響を呼んでいますが、注目されているドラマに携わっていることに関して、いつもとは違う感覚やプレッシャーのようなものはあったりしますか?
どの作品においても、同じように思いを込めて気合いを入れて臨んでいるので特に違いはないですが、僕と言うよりは周りからのリアクションがいつもと違う感覚がありました。毎回OA後には僕から聞く前にいろんな人から感想が送られてきます。
◆それだけ皆さんが物語に夢中になっていると。
うれしいですね。僕も次はどうなるんだろう? と出演者としてだけでなく、一視聴者として毎回展開が気になっていますから。でも、みんなが切ない思いに涙している中で、僕が演じる拓実は物言いが強くて。それはちょっと言いすぎだろうと周りがツッコんでしまうほど、自分が思ったことそのまま言ってしまう人間なんですよね。
◆逆に思ったことを口にできない湊斗(鈴鹿央士)には、拓実のような存在は頼もしいのでは?
確かに拓実のストレートな発言がきっかけで、良い方向に進むパターンもありますよね。昔からの友達だからこそ言えることだと思いますし、そういう関係性を数少ないシーンの中で表現できたらいいなと思います。描かれてはいないんですが、僕の中で拓実というキャラクターは、お酒を飲んでバーッと意見を言ってしまった後、酔いが冷めて落ち着いたときにちゃんと謝れるような人だと思っていて。そういうバックグラウンドも想像しながら軸に置いて演じています。
◆昨年から今年は『卒業タイムリミット』などをはじめ、映画やドラマで主演も務められていますが、主演を経験したことで心境や意識の変化などはありましたか?
あったと思います。でも、特に具体的な何かがあったからというのはなくて。もちろん毎回新たな現場で、そのたびに自分自身鍛えられているなとは思いますが実感はないんです。ただ、振り返ってみると、本当にたくさんの経験をさせてもらえたなと思いますし、いくつかの作品で主演をさせていただけたのはとてもうれしいことなのですが、正直自分のことだけで精いっぱいで。主演としてどうすべきなのかというプレッシャーはありました。
◆そうですよね。
先輩方が主演を務められた作品のメーキングを見たり雑誌のインタビューを読んだりすると、皆さんものすごく現場のことを見ていて、自分のことは後回しにしてでも“とにかくこのチームみんなで最後まで走りきろう”という思いでやられている印象があって。やっぱり第一線で仕事をしている方たちってそうだよなとすごく感じたんです。でも、自分がそれをやると、映像として残るものが満足いかなくなるなと思って。
◆周りに気をとられすぎると、自分の演技が疎かになってしまうと。
はい。なので、まずは今自分に求められていることをきちんと考えながら進められるようにしようという意識はすごく強まりました。現場全体を見て、みんなが楽しく、いい作品になるように最後まで走りきろうというのはもちろんすごく大事だと思うんですが、その技量がまだ僕にはないので。
◆できないことを無理してやるのではなく、できることを全力でやろうと。
そうですね。でも、正直できない自分に対してはすごく悔しかったです。同じ人間なのにという思いがありつつ、やってきた年数も見てきた景色も違い過ぎるから仕方ないことなのかなって。とはいえ、そうできるようにはなりたいので、今は現場の中で誰よりも自分がやる気があって、いい作品にしたいと思っているんだっていうことを常に頭に置いてやるようにしています。そんな僕の姿を見た周りの人たちに結果的にそれが少しでも伝わるといいなと思いますね。
◆言葉ではなく、自身の行動で引っ張ると。ちなみに『silent』というタイトルにちなんで、静けさは得意なほうですか?
一人の時間は大好きなので、得意なほうだと思います。普段から食べたいお店を調べて、一人で自転車に乗って出掛けたりもします。静けさという部分に通ずるかは分からないのですが、自然の音を聴きながら自転車を漕ぐのが無心になれる瞬間だったりするんですよね。あと、僕はDIYが好きで。基本的には音楽をかけてテンションを上げながらやるんですけど、たまにシーンとしたところでやりたくなる瞬間があるんです。“ここ集中してやりたいな”と思うときだと思うのですが、その瞬間が今一番僕にとって身近にあるサイレントな瞬間かもしれないです。
◆ちなみに友達や人が隣にいても、無理に話を続けてなくても平気?
人によりますね。シーンとした間とかが結構気になってしまうタイプなので、どちらかといえば得意ではないかもしれないです。例えば仕事中に監督やスタッフさんと話しているときに無言になったら「あれ? どうしよう」って考えちゃうと思います。
◆先程自転車に乗って出掛けるとおっしゃられていましたが、お気に入りのコースなどはありますか?
初めて通る道が好きなんですよ。あえて今まで行ったことのない方向に目的地を設定して、「あっ、こういう道があるんだ!」と発見するとワクワクしますね。
◆新たに開拓したり、冒険するのが好き?
好きです。僕は特にラーメンが好きなのでおいしそうなお店を探して行くのですが、中でもミシュランに認められたお店は何から何までやっぱりすごいなと行くたびに感動します。
◆名店だと並ぶこともありそうですが、並ぶのは苦にならないですか?
全くならないです! おいしいものを食べるためなら耐えられますし、並ぶ時間も楽しめます。
◆並んでいるときは何をして過ごしているんですか?
特に何もせず、ボーっと並んでます(笑)。“このラーメンを食べるんだ!”ということに集中しているので、携帯を見るとしてもそのお店のホームページでメニューを見てどのラーメンにしようか悩んでますね(笑)。途中で前の人たちが何頼んでるのかなって探りを入れたりして楽しんでます。
◆いざ自分がこれにしようと決めた後に、前の人が頼んでるメニューが気になって変えたくなったりしますよね。
そうそう、人が食べてるとなぜかおいしそうに見えるんですよね(笑)。「あれ、僕つけ麺にしようと思ったのに、みんなラーメンじゃん」「え、ちょっと待ってどうしよう…」って心の中で葛藤したりして…。結構僕は流されてしまうタイプなので、直前でコロっと変えます(笑)。
◆普段はご自身をしっかり持っていて、流されないタイプに見えますが…。
時と場合によるかもしれないですね。プライベートではそういうことがあっても、仕事の場では意識的に軸を持つように心掛けているかもしれないです。
◆お休みの日は、自転車のほかに何をして過ごしていることが多いですか?
もともとアウトドアで、家にはあまりいたくないタイプだったんですが、コロナ禍になってだいぶインドアにも対応できるようになりました。DIYをするようになったのもそうですし、今日は家で映画やドラマを見ようっていう日を作ったりするようになりましたね。
◆DIYでは何を作られるんですか?
以前テーブルが欲しくなったときに、お店に欲しいと思うデザインのものがなくて。“じゃあ、自分で作っちゃえ!”とリビングに置くローテーブルと椅子を作りました。
◆すごいですね。最後に今後やってみたい作品や役柄について教えてください。
この仕事をやる前までは美容師になるのが夢だったので、いつか作品の中で美容師になってみたいです。あと、刑事役。アクションをバチバチに決めるカッコいい感じか、逆にへなちょこな感じもありかなって。バディものもやりたいです。
◆もしやるとしたら、誰のバディがいい?
(即答で)小栗旬さん! 以前、小栗さんが刑事役をやっているのを見てカッコいいなって思ったのがきっかけでもあるので。小栗さんに「ついていきます!」と言いながら、「おまえ何やってんだ」と言われて「すみません」って常に怒られる出来の悪い後輩刑事とか憧れますね(笑)。でも、小栗さんと一緒ならどんな役でもやりたいです!
◆今年1年、俳優として忙しい1年を過ごされてきましたが、来年の目標は?
もっともっと忙しくなりたいです。もっとお仕事ができるように頑張りたいと思います。
◆ドラマ以外で、出てみたいテレビ番組や挑戦したいことはありますか?
たくさんあります! 食べることが好きなので、グルメ番組などにも出演してみたいですね。あと『VS魂 グラデーション』のようなゲームバラエティなども興味があります。
◆新しいことに挑戦する上での恐怖心はないですか?
ないです! まだまだやったことないことだらけですし、好奇心旺盛な性格なのでジャンル問わず、何でもやりたいです! そもそも『ホリプロタレントスカウトキャラバン』を受けたのも冒険心からでしたし、未知の世界を切り拓いていくのが好きなんですよね。来年もたくさんの挑戦を楽しんでいきたいです。
PROFILE
●いのうえ・ゆうき…1996年6月6日生まれ。広島県出身。AB型。主な出演作はドラマ『ウルトラマンタイガ』『卒業タイムリミット』、映画「明け方の若者たち」など。
●photo/干川 修 text/星野彩乃