赤坂アカ先生の人気漫画が原作のアニメ「かぐや様は告らせたい」。その最新作「かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-」が、テレビ放送に先駆けて12月17日(土)より劇場で特別上映される。同作は、テレビアニメ第3期「ウルトラロマンティック」の続編。お互いに気持ちを伝え合い、“奉心祭”で初めてキスをした四宮かぐやと白銀御行だったが、明確な告白には至らず。関係性があいまいなままクリスマスを迎えることになった2人の恋が描かれる。TV LIFE webでは、かぐや役の古賀葵さんと白銀役の古川慎さんをそれぞれ直撃。今回は後編として、古賀さんのインタビューをお届けします!
◆先日、原作漫画の連載が最終回を迎えました。アニメの声優として関わってきた古賀さんとしては、率直にどのようなお気持ちですか?
まずは「赤坂アカ先生、お疲れ様でした! ありがとうございました!」という気持ちでいっぱいです。ただ、長く作品に関わっていることもあってか、なぜか終わりが来ると思っていなかったんです。当然、始まりがあれば終わりが来るはずなのに。かぐやたちの世界では物語はまだ続いていきますが、私たちに見える形での終わりが来てしまったというのが信じられません。それくらい自分の中で「かぐや様」という作品がいつも傍にいてくれたということなのかもしれません。
◆この作品やかぐやというキャラクターに出会ったことで、古賀さん自身に何か影響はありましたか?
見える景色が変わった気がします。声優としての仕事の間口がパーっと広がりましたし。“声優・古賀葵”という存在をたくさんの方に知っていただけるきっかけになったのも「かぐや様」です。お芝居の作り方、向き合い方もこの作品を通じて変わった部分がありました。
◆第3期の放送を終えて、どんな反響がありましたか?
「よかったね!」という感想をたくさんいただきました。私も一ファンとして、この作品で絶対に見たかった、“ハートの風船が舞う中、互いの気持ちを伝え合うシーン”を見ることができてうれしかったです。あそこは多くの原作ファンの方にとって待望だったと思うので、演じるときはプレッシャーも感じました。今は演じ終えた安堵以上に、あのシーンを皆さんにお届けできて、そして共有できてよかったなという気持ちでいっぱいです。
◆その続編となる「-ファーストキッスは終わらない-」が、テレビ放送に先駆けて劇場で上映されます。公開が迫った今、どんなお気持ちですか?
3期まで放送されて、原作も最終回を迎えた今、もう最後までこの物語をアニメで見たいという気持ちがすごくありまして(笑)。なので、まずは続編が制作されて、劇場で特別上映されるということが素直にうれしいです。3期でかぐやと会長(白銀)は初めてキスをしましたが、恋人になるような決定的な言葉はまだ言っていません。あいまいな関係の2人の恋模様は、ここがスタート地点なんです。会長の覚悟や思い、かぐやのこれまでは見られなかったような感情がどんどん出てきます。皆さんには、2人の関係がどんなふうに映るんだろうなあ。とにかく早く見てほしいです。
◆キスをしたものの、関係性はあいまいなまま。古賀さんは、かぐやと白銀の関係が順調に進まない理由は何だと感じていますか?
今まではかぐやも白銀も、お互いにプライドが邪魔して素直になれないというところが大きかったと思います。ただ、今作からはちょっと違うんですよね。今まで隠してきた自分をどこまで出せるのか、どこまで出していいのかという悩みが2人にはあるんです。自分の芯を見てもらうことが怖かったり、勇気が出なかったり。その一面を見せてしまうことで嫌われてしまうのでは、という気持ちもあると思います。それならいっそ、このままの関係でいた方がいいのではないかという葛藤もあるんじゃないですかね。
◆かぐやの場合は、総資産200兆の四宮グループの令嬢という家柄もネックになっているのもしれません。
かぐやは家柄を気にせざるを得ない環境で育っていますし、小さいころからの教育もあって、偏った方法しか知らない、分からないことがあるんです。その方法が当たり前だと思って人と接するから、意識や思いの差が生じて、ぶつかってしまう。良かれと思って言ったことが、相手を傷つけてしまうことがあるんです。その傷ついた相手を見て、彼女自身も傷ついてしまうんですよね。
◆今作のかぐやを演じる上で、意識したことは?
今作では、「氷かぐや」と呼ばれる彼女の非情で近づき難い一面が表立って出てきます。これまで氷さん(氷かぐや)メインで演じたことはなかったので、どう表現しようかと悩みました。素直になって会長と向き合おうと思っているかぐやの気持ちをシャットアウトしているのは、おそらく氷さんです。でも、氷さんはかぐやを語る上で絶対に欠かせないんです。見てくださる方の中には、“何でそんなことするの?”と思う方もいるかもしれません。ただ、それがかぐやの持っているただ一つの武器なので、そこも含めて全部を見てほしいです。シャットアウトさせていた氷さんが、めちゃくちゃ勇気を出して頑張っていて。その姿を見るだけで涙が出そうになります。私も覚悟を持って演じました。
◆演じる上でかぐやに共感することも?
私、他人の視線や評価がすごく気になるタイプなんです。自分が相手にどう見られているのか、どう思われているのかと恐怖心を抱く気持ちは、すごく分かります。
◆白銀役の古川慎さんとは、今作のアフレコに当たって何か相談はされましたか?
「いよいよだね」という言葉は交わしましたが、「こうやって演じよう」みたいな話し合いは特にしていません。むしろ、話さなかったからこその緊張感やドキドキ感があってよかったと思っています。古川さんが会長としてどんな気持ちで演じているのか分からなかったので、よりリアルにかぐやの気持ちを作れた気がします。古川さんはどう思っていらっしゃったか分かりませんが、私はいつもとは違う緊張感の中で収録していました。
◆特に注目してほしいシーンはどこでしょうか?
今作のかぐやは、とっても極端なんです。しかも不器用。その不器用さをさらけ出して会長にぶつかっていく姿が、私の心には刺さりました。ぜひ皆さんに見てほしいです。あと、会長の言葉ですごくうれしかったものがあって。おそらく、かぐやはこれを一番言ってほしかったのではないかというせりふがあるんです。古川さんが会長としてその言葉を発してくれたとき、私はうれしくて泣きそうになりました。そのせりふが何なのかは、ここでは内緒にしておきます。皆さんに見つけてほしいです。なので、絶対に見てくださいね!
◆古賀さん自身、クリスマスにはどんな思い出がありますか?
小さいころ、どうしてもサンタさんを見たかったんです。みんなから「サンタさんなんていないんだよ」って言われても「そんなわけない。じゃあ何でサンタさんという存在が生まれたんだ!」って思っていて。だから、絶対にこの目で見て証明しようと、12月24~25日の夜はずっと目を凝らして外を眺めていました。とにかくサンタさんを見たかった! と思う、そんな幼少期でしたね。
PROFILE
古賀 葵
●こが・あおい…8月24日生まれ。佐賀県出身。主な出演作は『古見さんは、コミュ症です。』(古見硝子役)、『ビルディバイド』(棟梨ひより役)、『賭ケグルイ双』(佐渡みくら役)など。
作品情報
「かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-」
2022年12月17日(土)より劇場にて特別上映
<STAFF&CAST>
原作:赤坂アカ
監督:畠山守
シリーズ構成:中西やすひろ
キャラクターデザイン:八尋裕子
アニメーション制作:A-1 Pictures
声の出演:古賀葵、古川慎、小原好美、鈴木崚汰、富田美憂ほか
●text/M.TOKU ©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会