『クロサギ』プロデューサー・武田梓&那須田淳が語る最終回「黒崎の旅を一緒にたどりながら見てほしい」

特集・インタビュー
2022年12月20日

◆平野さんが演じている黒崎の魅力はどんなところにありますか?

武田:最初の頃から、黒崎って圧倒的“主人公”だなと思っています。平野さんが黒崎を演じると華もありますし、行動とかも含めて、本当に全部が魅力的に見えるんですよね。後半戦にかけてもさらに見たことのない黒崎の顔がどんどん出てきて、驚くばかりでした。それがただ多面的なだけでなく、どの顔もちゃんと「黒崎らしい」と思わせてくれるのが、平野さん演じる黒崎のすごいところだと思います。

那須田:黒崎というキャラクターを演じてくれた平野君は、最初からひとつの人格を生きているわけではなく、自分はどういう人なのか分からない状況の中で、人間の中にある多面的なところを面白く演じるということに長けていると思います。前半戦でも、悲しいシーンの悲しみや人をだましているところを演じている顔、そして氷柱に少し見せる切なさだったり、ちょっとした温かい気持ちを受け取った場面など…。いろんな人間のいろんな側面を瞬時のうちに感じさせてくれるその技量は、後半戦でよりさらに素晴らしくなっていると思います。

◆撮影してきた中で、一番印象に残っているシーンを教えてください。

武田:本当に全シーンが見どころだなと思うので、印象に残っているシーンを挙げるのがすごく難しいですね(笑)。その中でも私が好きなのが、5話で神志名が上海まで黒崎を追ってきた時にお互い言い合いになって感情をぶつけ合うシーンです。そこは2人とも感情が爆発していました。自分の中で正義というものの整理がつかない葛藤とどうやって戦っていくかという部分で、黒崎も神志名も、確実に今思っている本当の感情みたいなものがすごく出ていて、あのシーンは現場でもとても迫力がありましたし、すごく印象的なシーンだなと思っています。

那須田:このシーンの2人の表情は、その一瞬、数秒の中に、ストーリーを感じさせてくれるような、微妙な変化があって素晴らしいなと思いました。他のシーンと違って、お互いの考えは違うけど、それぞれの正義感を基に若い人が感情をあそこまでぶつけ合うシーンはなかなかなかったりするので、これこそ映像作品だなと思います。芝居の力と迫力、繊細さが同居していた大変素晴らしいシーンでした。

武田:本当はもっと細かくカットが割られていていたのですが、横顔の2ショットがすごく良かったので、この2ショットをたっぷり見せようという監督のこだわりで完成したシーンです。編集上がりで最初は音楽がついてたんですけど、音楽もない方がいいとなり、音楽も外しました。純粋にあの2人のお芝居の力で持ってるシーンだなと思います。

◆また、撮影で印象に残ってるエピソードはありますか?

武田:クランクインから5日間連続で、内容の濃いシーンの撮影したのは特に印象に残っています。特に平野さんは怒涛の撮影内容で、せりふも難しいものがいっぱいありましたし、キャラクターを練り上げていくには十分な時間がない中、濃い内容で大変だったと思います。ただ、私たちスタッフもまだ手探りの中クランクインをし、平野さんが1日、2日目にして黒崎をつかんでいらっしゃって、ここを目指して作っていけばいいんだっていうのが我々も分かり心強くなりました。

黒崎のさまざまな変装も本作のポイントの一つですが、平野さんはなんでも似合ってしまうので、それが逆に難しいなと思いました。毎回スタイリストさんとも話し合いながら衣裳を決めていますが、何でも似合ってしまうから変な人にはできないんです(笑)。8話のホスト風の男みたいな平野さんの変装は、すごく奇抜な格好ではありましたが、金のメッシュとか他の人がやったら無理だろうっていうものまで、それっぽく見えてしまうのが詐欺師っぽくていいなと思いました。

◆シリアスなシーンの撮影も多いかと思いますが、今の現場の雰囲気はいかがですか?

武田:後半にかけて皆さん大分打ち解けて、初期以上に雰囲気は良くなっていきました。台本上の内容はどんどんハードになっていってるんですけど、現場はわりと穏やかというか、楽しい雰囲気で撮影も進んでいます。

平野さんが新しい変装衣裳を着て現場に現れた時に監督やカメラマンが「お、今日もカッコいいですね」と声をかけるというのが現場での定番のやりとりになっていたり、山本耕史さんが絶対に使えないアドリブで現場を爆笑させたり、いい雰囲気だなと思っています。

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