ジャニーズWEST『イキスギさんについてった』総合演出・田村裕之が語る7人の“寄り添う力”「人の心をつかむ能力に長けている」

特集・インタビュー
2023年01月10日
『イキスギさんについてった ゴールデンSP』©TBS

一風変わった超個性派のお店に“行き過ぎ”ている、そしてその人自身も突き抜けており“イキ過ぎ”ている常連さんを「イキスギさん」と称え、イキスギさんが通うその超個性派店を紹介するドキュメントバラエティ『イキスギさんについてった』(TBS系)。番組ではジャニーズWESTのメンバー1人が取材ディレクターとなって、自らカメラを持って単独でイキスギさんに密着。取材を通して、イキスギさんが幸せに生きている秘訣、“幸せのヒント”を探していく。1月10日(火)に放送される「ゴールデンSP」(午後10時~10時56分)では、ジャニーズWESTが全国のローカルチェーン店に通い詰めるイキスギさんに密着する。放送に先立ち、総合演出・プロデューサーを務める田村裕之さんに、1時間SPの見どころや、ロケの裏話、ジャニーズWESTの印象などを聞きました。


◆1時間SPの収録はいかがでしたか?

収録終わりに、メンバーから「めっちゃ面白かった」「3ネタともよかった」と言ってもらえて自信が持てました。今回は濵田(崇裕)D、藤井(流星)D、桐山(照史)Dにディレクターをお願いしたのですが、他の4人はジャニーズWEST特有の「やいのやいの」を嫌というほど言ってくれたので、7人全員が活躍しているスペシャルになっていると思います。

◆今回は「ローカルチェーンSP」と題して、3人の“イキスギさん”に密着しますが、ローカルチェーンを選ばれた理由は何でしょう?

誰しも行ったことがあるというところが、視聴者との接着点として広い部分かなと。ただ、誰しもが行くんだけど、月に1回とかたまに行くぐらいの感じだと思うので、そういったお店に毎日行くっていうイキスギさんには、何かドラマがあるんじゃないかと。それに、旅行へ行ってもSNSで調べて、そこに出てくる名店へ行くじゃないですか。北九州には、“資さんうどん”という大チェーン店があるのに素通りというか、旅行に行ってまでチェーン店へ行くかないというマインドになると思うんです。このスペシャルではこんな良い店あるんだという事を紹介し、イキスギさんを通して、行ってみたいという気持ちになってもらえたらうれしいなと思っています。

◆この1時間SPがメンバーに発表されたとき、メンバー一致で濵田さんにロケへ行ってほしいという声が挙がっていました。

みんなが「濵田、藤井、濵田でいいんじゃない」と“濵田サンドウィッチ”で、と言っていたと思うのですが、今回のスペシャルでは濵田Dにロケに行ってもらったVTRが1発目です。ジャニーズWESTのポジションの中でも、いじられ&愛されキャラである濵田Dが1発目というのがこの番組らしさかなと。

桐山Dに関しては安心安定。桐山Dのネタは深夜レギュラーでは1本で1時間いっちゃうネタが多いんです。大体1ネタ30分ぐらいなんですが、桐山Dに関しては毎回のように撮れ高がすごくあって1時間丸々、桐山DのVTRで構成できるぐらい、イキスギさんからエピソードを分厚く引き出してくれます。今回のスペシャルも桐山さんがロケに出てくれたら面白くなると確信していたので、桐山Dにお願いしました。

藤井Dは、この番組が始まるまで、接点がなかったのですが、この番組をやっていく中で、一番裏方目線を持っているなと思いました。ライブの演出を担当されていることもあって、普段からアンテナを張っている感じがして、実際のディレクターに近い、制作寄りの空気感を持っている。藤井Dは密着ロケ中も、オーバーリアクションではなく、淡々とその方の人生を掘ってくれるんです。特に、#15で藤井Dが密着した伊丹空港の千里川土手に行き過ぎていたえっちゃんの回もそうなんですが、元々15分の小ネタの予定だったんですが、藤井Dがそのイキスギさんの人生を深く掘ってくれたことで、1時間丸々の構成になって。そういう意味で、僕自身総合演出として藤井Dはディレクターとして信頼できますし、面白いものを撮ってきてくれという思いも込めてお願いしたんです。もちろん、ほかの4人も能力的は高いんですけど、今回密着するイキスギさんとのマッチングを加味して、この3人にお願いしました。

◆3人が密着したVTRの見どころはどこでしょう?

濵田Dには丸源ラーメンイキスギさんに密着してもらいました。そのイキスギさんの結婚式が今まで見た事がない、信じられないような結婚式でとても驚かされました。変わった演出の効いた結婚式はいろいろテレビでも見たことがありましたが、全てイキスギさんの妻・サエさん発案でああいった結婚式を挙げるのは、すごいなと思いました。濵田Dも「変ですよ」と言っていたので、相当変わった結婚式だったと思います(笑)。

藤井Dは金沢のチャンピオンカレーイキスギさんに密着。たった一人でずっとカレーを食べ続けていたら、人生が激変するという貴重な取材をさせていただきました。何十年も信念を曲げず諦めないという大切さを藤井Dが見事な取材力でリポートしてくれています。

桐山Dは北九州の資さんうどん、全店舗制覇したイキスギさんに密着。初めてしゃべれるようになった言葉が「ごはん」、その次が「うどん」だったらしく、今まで密着してきたイキスギさんの中で一番スタートが早い方です。またお店の間取りフェチらしくいろんな店舗に行っては、お手洗いがどこか、レジがどこか、そういう事を把握するのが楽しいとも。そういった写真を撮影するのかと思いきや、入り口の写真ばっかりを撮っているのもTHEイキスギさん、という感じがしました。うどん好きの桐山Dも「理解できないわ~」と言いつつも寄り添って、いつも通り安定安心の撮れ高でした。

◆3人のロケVTRを見て、他のメンバーの反応はいかがでしたか?

「3ネタとも良かったですね」と、収録終わりに言ってくれました。2ネタにするか、3ネタにするか非常に迷ったのですが、いつもよりテンポよくいけたので、ジャニーズWESTのメンバーも「あっという間に終わったな」という感じでしたね。第2弾、第3弾とゴールデンをまたやらせていただける機会があったら、今回ロケ稼働しなかった4人に行ってもらって、「続けていければいいね」とメンバーと話しています。

◆番組のコンセプトである“イキスギさん”に着目した理由を教えてください。

実は“イキスギさん”に着目したのが出発点ではないんです。ジャニーズWESTの企画を考えるところがスタートでした。ジャニーズWESTと何を掛け算すれば番組として面白くなるかを考えました。というのも、『爆笑!ターンテーブル』でMCを務めてくれた桐山さんはもちろん、神山(智洋)さん、濵田さん、小瀧(望)さんにプレーヤーとして、重岡(大毅)さんにゲストで出演していただいていたので、打ち合わせやネタ合わせを一緒にするにつれて、一方的な親近感を勝手に覚えまして、僕も関西出身なので…いつか一緒に仕事ができればと思っていました。そんな想いもあって出した企画書が通ったんです。

ジャニーズWESTはタレントとしてのポテンシャルがメンバー7人とも高く、より展開が読めないロケ、一般の方と絡むと必ず面白くなるだろうなと思っていました。彼らの“近所のお兄ちゃん感”と“近所にいそうなイキスギさん”との掛け合わせはマッチするだろうなと。これまでマニアと呼ばれる一般の方は今までのテレビでも紹介されてきましたが、1つの店に行き過ぎている方にアイドルが密着する、というコンセプトは私が知る限りなかったように思うので、ジャニーズWESTとイキスギさんの掛け合いは、この番組の見どころの一つではないかと思います。

◆どんな化学反応を期待されていましたか?

この番組が始まるときにジャニーズWESTの皆さんに企画説明の際に伝えたのは、「唯一この番組でこだわってほしいのは、イキスギさんと仲良くなってください」という部分でした。きっと仲良くなったら、おかしなことが起きたときに気兼ねなくツッコんだりできるなと思いました。

全員に、一般の方との距離感の近さ、すぐ心を開かせる聞く力、受け入れて共感、寄り添ってあげる力がある。かつ、すぐ仲良くなるので、違うことには違うと言えたり、「なんでやねん」とツッコんだり「これはさすがにイキスギていて理解できないっす」とか言えたりする。これって出会って1日の人にロケとはいえ言えるのって実はすごい事だと思います。
あと、たまにナレーションとかでこちら側がボケたり、ジャニーズWESTにツッコんだりするナレーションをつけたりするのですが、確実にそのナレーションやテロップに対して反応してツッコんでくれる。

例えば、藤井Dのロケでイキスギさんのお子さんが泣き出しちゃったところのテロップに「藤井帰れ~」みたいなのをつけたら、「そんなん言うてへんわ!」とか、ラーマン マソさんの振り返りが異常に長いと「マソ長いな!」とか、ナレーションで「バリカタの絆」と言うと「うまいこと言うな!」とか反応してくれたり、ジャニーズWESTがVTRに確実にツッコんでくれるという信頼のもと机に向かってナレーションを書いています。VTRを見てもらうまでかなり不安なのですが、確実に笑いにしてくれてありがたいです。

◆メンバーそれぞれがカメラを持ち取材ディレクターを務めていますが、一人一人のロケやディレクションの特徴や良さを教えてください。

中間(淳太)Dは『誰にでもツッコむ系ディレクター』。イキスギさんにもガンガンツッコんでいくんですよ。中間DがVTRの担当のとき、メンバーのやいのやいのも多くて、博学でしっかりしている印象なのに、メンバーからのイジリが多く愛されているなと思います。マネージャーさんがユニフォームの水色シャツを新幹線に忘れたときも笑いに変えられていて対応力がすごいです。

濵田Dは『ピュア&感動系ディレクター』。#26のサーカスBARの回では、イキスギさんが店に通う理由を聞いて、不純な動機を考えていた濵田Dはすぐに「自分が恥ずかしい」と言える、その人柄ですよね。イキスギさんによく放置されるくらい隙があり、放置されているのに放っておけないという逆転現象があったり。若手スタッフの名前まで覚えてくれていて、名前で呼んでくれたり、#4の『姿・形もキリンになるのが夢のイキスギさん』の時もキリングッズを2つプレゼントしたりと、圧倒的な他人への優しさを感じます。

桐山Dはイキスギさんがトリッキーな事を言ってきたときの切り返しが非常に速いです。そして、イキスギさんがうまく話せていないときに、かみ砕いて視聴者に伝える能力にも長けている。スタジオでのメンバーへのツッコミ力もあって、ロケも安定安心。この番組一発目の定食酒場食堂は桐山Dでしたし、全てはそこから始まっています。「奇抜な洋服店はやとちり」の少しコワモテなイキスギさんを見て「東京リベンジャーズから出てきたみたい」というような、強力な一撃も打てる、『超万能型ディレクター』です。

重岡Dは『ギャップ萌え系ディレクター』。いい意味で人の心に土足で入り込める、距離感の縮め方が抜群のインファイターです。もしかして出会ったイキスギさんからすると、一番緊張するのが重岡Dなのかもしれないけど、実は人懐っこくて、そのギャップにみんなすぐやられているように感じます。VTRに対してのコメントにしても、#25の放送が①焼きそば②片手袋というVTR2本立てだったのですが、2本目の片手袋VTRを見終わった直後のスタジオで「これも焼きそばっちゃ焼きそばですよね」というひと言だったり、芸人さん顔負けのボケもできる。#17の掛川花鳥園でフクロウを見て「急にコメント振られて何にも思い浮かんでへん時の濵ちゃん(濵田)みたいな顔」みたいな例えもうまいですよね。

藤井Dは『正統派天然系ディレクター』。先ほども言いましたが、テレビ番組のディレクターとしてもやっていけるくらいの取材力&何に対してもフラットな目線の持ち主。#1の総長たちの口ケンカを撮っているカメラの画角に対して「スタッフさんもビビってる」のひと言や千里川えっちゃんの人生を聞いて「小説読んだ気分なったわ」のオシャレなひと言も言える。5億%クイズなどでスタジオを盛り上げてくれたり、番組で紹介したものを他番組やメディアで一番紹介してくれていて、実は一番ハシャイでいるとうわさのDです。

神山Dは人の『心をこじ開けられるパワー系ディレクター』。イキスギさんに心を開いてもらうのが異常に早い&うまい。神山Dだからこそ引き出せるエピソードも多いです。糖衣華さんとの人形劇は、普通鬼スベりしそうな案件だと思うのですが、神山D自身が愛嬌にあふれ、あれを真剣に出来る人だからこそ笑えましたし。もちろんメンバーからのツッコミを信頼してあんな恐ろしい事ができたんだと思いますが(笑)。ナルシストな事をVTRで言うときも、メンバーのツッコミありきで語ってますしね(笑)。それでいて、VTRを見ている時、違和感に対する反応速度が実はめちゃくちゃ早い。#20のチャ王の回、中間Dが麺をすすっているのを見て「じゅるる」のひと言など言葉のチョイスも良いんですよね。

小瀧Dは『ワードセンス系ディレクター』。スタジオでもロケでも活躍できるワードセンス&手数が多いハードパンチャー。そんな小瀧Dだからこそ、#29で放送した、あのコメント合成企画ができた。(小瀧Dが別仕事で欠席だったため、スタジオコメントやVTR中のコメントを全て別の回のものを合成して放送した)#10の怪談売買所の回の霊媒師秋山さんを見て、唇が特徴的だったことから「淳太の親戚やん」って言ったコメントなど数を挙げればきりがない。小瀧ドローンなどの武器を勝手に生み出してくれてありがたいです。

◆今回ロケに行かれたのが濵田さん、桐山さん、藤井さんの3人だったのも、そういった理由からなんですね。

今回のイキスギさんとマッチするだろうなという3人ですね。3人ともそれぞれの好物(濵田Dラーメン好き、桐山Dうどん好き、藤井Dカレー好き)のロケという事もありましたし。なので、ジャニーズWESTのメンバーの誰に行ってもらおうからではなく、どんなイキスギさんなのかを先に考えますね。そこからマッチするのは誰だろうと考えていく感じです。

◆ロケはディレクターを務めるメンバーにお任せという形ですか?

ほぼお任せですね。台本もないですし、なので、みんなオンエアで「え、ここどこ」とか言ってると思うんですけど、結構ガチですね。だから、どこに連れて行かれるのかも、何にも知らずに連れてこられて、キャッチフレーズだけカンペで見せられて、男性か女性なのかも分からない状態でイキスギさんに会って毎回ロケがスタートします。

◆ジャニーズWESTの皆さんのイキスギさんの心を開く力、寄り添う力というのは、田村さんから見て、突出されているように思いますか?

突出していると思います。ロケで「1回止めます」と、カメラのスタンバイになったときも休憩せずイキスギさんとずっと仲良くしゃべってるんですよ。これってV6さんの『学校へ行こう!』がまさにそうだったんですよ。僕は『愛なんだ』『学校へ行こう!』を担当していたのですが、三宅健さんとか休憩中もずっと学生さんとしゃべっていて、向こうを待たせたらいけないっていうのと、単純に学生さんへの興味だと思うんですけど、それに似ている感覚を7人全員に覚えました。そこは僕が今まで見てきたタレントさんとはひと味違うというか、人の心をつかむ能力に長けているなと。だから、イキスギさんが深い話や言いたくない話も心を開いて言ってくれるのかなと。“近所のお兄ちゃん感”と言われてるじゃないですか。そんなメンバーの雰囲気がこの番組でも視聴者の皆さんに伝わればと思っています。

◆関西ならではの親近感を感じるんですかね?

きっと“近所のお兄ちゃん感”と言われるのは、友達のお母さんとめちゃくちゃ仲良くなるっていう関西人あるあるから来ているのしれないです(笑)。この感覚は、関西人特有なのかもしれないですけど、友達が家にいないのに、その家に行ってお母さんと長時間しゃべっていられる。多分ジャニーズWESTの皆さんもそうなんじゃないかなと。これは僕個人の勝手な予想ですが。友達のお母さんやお父さんとしゃべっている感じで、イキスギさんとのロケをしているような気がします。根も明るいですし、人見知りもないように見えるので、イキスギさんも話しやすくて、どんどんお話ししてくれるんだと思います。皆さん終わってから、番組に手紙を書いてくれたり、SNSで「ジャニーズWESTのDVD買いました」と投稿している人もいたり、皆さん、ジャニーズWESTにイキスギさんになっていますね。

◆番組を経て、印象が変わったメンバーはいますか?

重岡Dですね。最初はほぼほぼ初対面だったので、よそよそしかったのですが、最近では、収録中にもかかわらず私のことを「たむー」とか言ってきて今は完全にナメられています(笑)。最初は“田村さん”だったのに。VTR中に「奈良県」というワードが出てきたりすると(田村さんは奈良県出身)、私の方を向いて「ほら奈良県やって」と、めっちゃイジってきます。ただ、このスペシャルの宣伝で他番組に出ていただいた際、楽屋にフルーツサンドを差し入れたのですが、その時「たむーも一緒に食べようや」と言って楽屋に招き入れてくれて、1時間ほど居座らせていただきました。番組の話は一切せず、「昨日自転車でひたすら家の周り走ってたわ」など、“知らんがな”っていう話をたくさんしてくれました。近所のお兄ちゃんと話しているようで楽しかったです。僕より重岡Dはだいぶ年下ですが(笑)。

◆今後、総合演出として、ジャニーズWESTさんと一緒に挑戦したいことは何でしょう?

番組の主題歌「イキテヤレ」の歌撮りをしたいです。ディレクター人生で1回も歌を撮る、という経験がないので、その初体験をジャニーズWESTと一緒にできるのは感慨深いものがあるなと。機会があれば『イキスギさんについてった』の中で挑戦してみたいと思います。歌えるイキスギさんがいるので、どうせならいっぱいイキスギさんを集めて、合唱みたく一緒に歌う感じで撮れたらなと思っていますが、なかなか実現しなくて…。通常回のどこかでやれたらなとは思っています。

番組情報

『イキスギさんについてった ゴールデンSP』
TBS系
2023年1月10日(火)午後10時~10時56分

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ikisugisan/
公式Twitter:@ikisugisan0423

©TBS

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