後悔しない人生は送りたくない
◆本作はタイトルに「老後に備えて」と付いていますが、おふたりは老後に備えて、何かやっていることはありますか?
福山:どう?
長江:まだないです……。
福山:あれ、そうなんだ? 堅実そうだから、ファイナンシャルプランナーとかに興味ありそうな感じがしていた。
長江:私、そういうイメージだったんですね(笑)。いや、本当に目先のことしか見えていなくて。やっていることと言えば、食べる物の添加物を控えるとか、緑色の野菜を摂るとか、それぐらいですね。貯金も老後に備えて、ってところまではまだ考えていないです。福山さんはどうですか?
福山:僕も自分の老後のことは考えていないかなぁ。どんなじじいになりたいかっていう理想はあるけど、老後に備えたいっていうのはなくて。
◆その理想、ぜひ聞きたいです。
福山:生きている間は現役でいたいなって。もし長生きするのであれば、ずっと現役でいられるくらいの体力が持てる状態にはしておきたいんです。とはいえ、先のことばかり考えていてもしょうがないかなとも思っていて。何かあったときのための貯金はしていますね。自分のこともそうですが、僕くらいの年になると両親のこともあるので。何かあったときに何もできないでは話にならないので貯めている、という感じです。老後のためではないですね。
長江:私も一定基準は絶対に残しておくというラインはありますね! 使わないお金を別の口座に貯めています。それも母から「そうしたほうがいい」と言われてやっているだけではありますが(笑)。
◆おふたりともあまり後悔がない、しない、人生を送っている?
福山:僕は逆ですね。死ぬときに悔いのない人生だったと思うのが幸せなのかと言われたら、そうじゃない気がします。死ぬまでにやりたいことを全部できてしまうよりも、あれもこれもやりたかったと思える人生でありたいというか。人生一度きりだから後悔のないように生きようというのは、僕にとっては失敗する前振りのような気がしていて。チャレンジするのが悪いとかそういうことではなく、やって後悔してもいいんじゃないかって僕個人は思っています。
長江:確かに。私は人生のなかでやりたいことは全部やろうとは決めています。ただ、福山さんがおっしゃっているように、やった後に後悔してもいいかなって。そういう意味の後悔は必要なのかなと思っています。私、幸せ過ぎるとダメになるんですよね(笑)。
福山:なるほど、1万円札をパッと渡されたら、「これを破ったらどうなるんだろう」って考えるタイプ?
長江:ちょっとそういう節はあるかもしれないです(笑)。何かしこりがあったほうが生きる力になるというか。たぶん、満足したくないんですよね。
◆人生観が分かるようなお話までしていただきありがとうございました。今回、本記事が掲載されるのが「TV LIFE web」というエンタメ情報を扱うメディアになります。そこで、おふたりが読者のみなさんに推したいエンタメを教えていただければと思います。
長江:私、ドラマをすごく見るんですよ。新作ドラマはほとんど見ている気がします。中でも好きなのが『監察医 朝顔』(フジテレビ系)。
福山:あの、上野樹里さんが出ているドラマ?
長江:そうです、そうです! そのドラマの制作に関わったスタッフさんが集結した『PICU』(フジテレビ系)っていうドラマも大好きで。むやみやたらに奇跡が起こらないんですよ。医療系ドラマとしても、家族愛という点でも作品を楽しめて、すごく人間味のある内容なので好きですね。人生のためになる作品です。
福山:僕はアニメでもなんでもすべてのエンタメを推したい、みなさんに推してもらいたいなと思っていて。いまコンテンツの供給がすごく多いのですが、できれば身近なエンタメ以外も見てほしいです。舞台が好きな方はアニメなど、アニメが好きな方はドラマや舞台、ライブにも触れてみてほしい。エンタメって「情報」だけでは分からない、肌で触れてみて分かることがあるんですよ。自分のなかに作品を入れる喜び、この作品について語りたいという喜びが必ずあるはずなんです。
長江:今の時代はエンタメがあふれていて、時間が足りないのかもしれないですね。
福山:そう。足りないし、全部を網羅することなんて絶対にできない。だからこそ、より濃いものを探そうよって思うんです。今って、エンタメがコミュニケーションツールに変わってきているなという印象があって。楽しむ「娯楽」ではなくて、見たことによってコミュニケーションをとるというツールに変わってきた気がします。そういう意味ではどのジャンルにおいても、表層ではない部分まで語りたいというオタクが減ってきている気もします。ぜひ、みなさんには自分のオタク心をくすぐるようなエンタメを能動的に探してほしいなと思っています。
◆本日はいろいろとお話いただき、ありがとうございました。最後に、おふたりが思う本作の推しポイントを語っていただければと思います。
長江:ミツハは場面、場面に合わせて自身のキャラクターを変化させます。そこが演じるうえで大変なところでもありますが、コロコロ変わる彼女のキャラクター性が本作の面白い部分なので、ぜひ注目してください。
福山:タイトルを見れば、老後の資金を貯めるために異世界で頑張る物語なんだということが分かると思います。ただミツハが飄々としていることもあり、どうやって物語が進んでいくのか、なかなか読み取れない作りになっているんですよね。いろいろな人の手を借りて交渉したり、ちょっと非合法じゃないかという方向に舵を切ったり。清濁併せ呑む彼女が誰と出会い、どうやって異世界で奮闘するのかを楽しんでいただけたらと思います。
●text/M.TOKU
PROFILE
長江里加
●ながえ・りか…9月28日生まれ。青二プロダクション所属。主な出演作は『フレームアームズ・ガール』バーゼラルド役、『あそびあそばせ』オリヴィア役、『アイドルマスター シンデレラガールズ』久川颯役など。
福山潤
●ふくやま・じゅん…11月26日生まれ。BLACK SHIP代表取締役CEO。主な出演作は『コードギアス 反逆のルルーシュ』ルルーシュ・ランペルージ役、『中二病でも恋がしたい!』富樫勇太役、『ツルネ -つながりの一射-』二階堂永亮役など。
番組情報
TVアニメ『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』
ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネットANiMAZiNG!!!枠にて2023年1月7日より毎週(土)深夜2時〜放送
<STAFF&CAST>
原作:FUNA(講談社 Kラノベブックス 刊)
コミカライズ:モトエ恵介(講談社「水曜日のシリウス」連載)
監督:玉田博
シリーズ構成:稲荷明比古
キャラクターデザイン:福地友樹
アニメーション制作:FelixFilm
声の出演:長江里加、立花理香、前田佳織里、福山潤
©FUNA・講談社/「ろうきん」製作委員会