長江里加・福山潤インタビュー「後悔できる人生でありたい」TVアニメ『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』

特集・インタビュー
2023年01月07日
©FUNA・講談社/「ろうきん」製作委員会

Web小説投稿サイト「小説家になろう」で累計1億2,000万PV超え(※)した小説『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』がTVアニメ化。ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネットANiMAZiNG!!!枠にて、2023年1月7日(土)より放送がスタートする。

本作の主人公は、両親と兄を事故で失い天涯孤独となった18歳のミツハ。彼女が家の維持費や生活費などこれからの生活に悩んでいたある日、謎の存在から「こちらの世界」と「異世界」を“行き来”できる能力を与えられる。その能力を有効活用し彼女は、10億+10億の合計20億円<8万枚の金貨>を貯めることを思いつく。

今回はミツハ(山野光波)役の長江里加、ミツハの兄・山野剛史役の福山潤にインタビュー。作品への印象に加えて、それぞれの老後の備えや推したいエンタメについてお話を聞きしました。

左から)長江里加・福山潤

◆原作・シナリオを読んだときの感想を教えてください。

長江:ミツハの表情や感情が本当にコロコロ変わって、ずっと楽しいなという気持ちにさせてくれる作品だと思いました。モノローグが多く、ミツハが何を考えているのかがビッシリ文字として書かれているのも印象的でしたね。一文字も読み落としたくないと思うぐらい彼女の思考が興味深く、気が付けば作品にのめり込んでいました。

福山:いわゆる異世界ものと言われているジャンルって、前置きなどをそれほど説明せずに超速・爆速で本編の内容に移れるという特徴があると思うんです。この作品の導入は、その利点をさらに加速させていると思いました。家族の死やミツハが崖から落とされることなど含めて、「そこ、説明が必要なんじゃないの?」っていう部分もあえてあまり説明しない。そうすることで、視聴者や読者にツッコんでもらうことを想定しているようにも感じました。大変面白い物語の導入になっていると思います。今の若い子たちは知らない、調べないと分からないような昭和のギャグやオマージュが入っているのも、恐らくわざとじゃないかな。キャラクターたちもそういうノリを楽しんでいると思うので、自分も楽しんでこの作品に向き合っていこうと思いました。

◆続いて、演じるキャラクターの紹介をお願いします。

長江:ミツハは親と兄を事故で失い天涯孤独の身となった18歳の女の子です。頭の回転が速くて、冷静にいつも先を考えて行動ができるタイプで、どんな世界・環境でも1人で生きていけそうなくらいたくましいんですよ。1人で生きていくなんて、きっと私には無理。もともと自分のために何か行動を起こせるタイプじゃないんです。1人でも誰か守るべき人や相棒がいないと行動できないんですよ。だからミツハのことを尊敬しています。年下ですが、あんなしっかりした大人の女性になりたい(笑)。憧れの存在ですね。

◆声優になろうと思ったのも、誰かのためにという気持ちがあって?

長江:そうですね。私、幼少期から声優っぽいねとか、特徴的な声をしているねと言われ続けてきたんですよ。しゃべりながら道を歩いていたら、知らないおじさんや地元の不良に声をかけられることもあって。

福山:すごいシチュエーション。「いい声だね、君、世界を狙えるぜ」みたいな感じ?(笑)。怖いけど、でもそれだけ印象的だったってことか。

長江:そうみたいです(笑)。知らない人にも褒められるって、なかなかないことじゃないですか。だから、みんながそう言ってくれるなら声の仕事にチャレンジしてみようかなと思って。それがきっかけになりました。

◆声優になるきっかけのお話までしていただき、ありがとうございました。改めて、福山さんにも演じるキャラクターの紹介をお願いできればと思います。

福山:ミツハの兄なのですが、物語の冒頭で彼を含めた家族は事故でお亡くなりになってしまうんです。そこからはミツハの回想やイメージのなかでイマジナリーな存在として出てきて、彼女の手助けをします。実際に生きていた時にどういう人物だったのかは、作中ではあまり語られません。見ている方々はきっと「どういう人なの」という疑問が生まれると思います。どうやらサブカルに詳しい人らしい、いろいろなことを知っているらしい、ミツハにとってはいいお兄ちゃんだったらしいなど、「らしい」だらけの人物なんですよね。そこも含めて、大変面白味のあるキャラクターだと思います。

◆では、お互いが演じるキャラクターへの印象について教えてください。

福山:ミツハは悩んだり落ち込んだりしても、ひとつのところに留まらないタイプ。悩んでもそれを打開するために何をどうしようかと考え、自分の目標に向かってちゃんと進める子だと感じています。加えて行動力が尋常じゃない。本来だったらブレーキがかかる行動も「いいや」つって舵を取っちゃうところがある気がします。蛮勇なのか英傑なのか、紙一重なギリ少女っていう感じがしますね。

長江:ギリ(笑)。

福山:そう。ギリだからまだ許せるんです。もうちょっと大人になると、落ち着きがないと思われちゃう。まだ多感さが残っていてもいい、危うさと可愛らしさがあるけど応援したいと思えるという絶妙なバランスを保てている子だと感じています。

◆そう考えると、18歳という年齢も絶妙なのかもしれないですね。

福山:いわゆる少年・少女ではない、だけど大人でもないんですよね。行動に対する物差しがないわけではなく、最低限のところは守れている。だからギリギリ羽目を外しても許されるのかなと思います。

長江:私は物知りな人がすごく好きなんです。お兄ちゃんは知識豊富で、テンションもずっと高くてなんでも楽しそうにしてくれるので、もし私の身内だったら、みんなに自慢しちゃうと思います。個人的には理想の兄ですね。遺影もお兄ちゃんだけポーズを取っているんです。マンガを読んだ時、思わず吹き出しちゃいました。

◆ミツハの今の性格は、お兄ちゃんの影響があるのかもしれません。

長江:そうかもしれないですね。ふたりともちょっとおかしい気がします(笑)。

後悔しない人生は送りたくない

◆本作はタイトルに「老後に備えて」と付いていますが、おふたりは老後に備えて、何かやっていることはありますか?

福山:どう?

長江:まだないです……。

福山:あれ、そうなんだ? 堅実そうだから、ファイナンシャルプランナーとかに興味ありそうな感じがしていた。

長江:私、そういうイメージだったんですね(笑)。いや、本当に目先のことしか見えていなくて。やっていることと言えば、食べる物の添加物を控えるとか、緑色の野菜を摂るとか、それぐらいですね。貯金も老後に備えて、ってところまではまだ考えていないです。福山さんはどうですか?

福山:僕も自分の老後のことは考えていないかなぁ。どんなじじいになりたいかっていう理想はあるけど、老後に備えたいっていうのはなくて。

◆その理想、ぜひ聞きたいです。

福山:生きている間は現役でいたいなって。もし長生きするのであれば、ずっと現役でいられるくらいの体力が持てる状態にはしておきたいんです。とはいえ、先のことばかり考えていてもしょうがないかなとも思っていて。何かあったときのための貯金はしていますね。自分のこともそうですが、僕くらいの年になると両親のこともあるので。何かあったときに何もできないでは話にならないので貯めている、という感じです。老後のためではないですね。

長江:私も一定基準は絶対に残しておくというラインはありますね! 使わないお金を別の口座に貯めています。それも母から「そうしたほうがいい」と言われてやっているだけではありますが(笑)。

◆おふたりともあまり後悔がない、しない、人生を送っている?

福山:僕は逆ですね。死ぬときに悔いのない人生だったと思うのが幸せなのかと言われたら、そうじゃない気がします。死ぬまでにやりたいことを全部できてしまうよりも、あれもこれもやりたかったと思える人生でありたいというか。人生一度きりだから後悔のないように生きようというのは、僕にとっては失敗する前振りのような気がしていて。チャレンジするのが悪いとかそういうことではなく、やって後悔してもいいんじゃないかって僕個人は思っています。

長江:確かに。私は人生のなかでやりたいことは全部やろうとは決めています。ただ、福山さんがおっしゃっているように、やった後に後悔してもいいかなって。そういう意味の後悔は必要なのかなと思っています。私、幸せ過ぎるとダメになるんですよね(笑)。

福山:なるほど、1万円札をパッと渡されたら、「これを破ったらどうなるんだろう」って考えるタイプ?

長江:ちょっとそういう節はあるかもしれないです(笑)。何かしこりがあったほうが生きる力になるというか。たぶん、満足したくないんですよね。

◆人生観が分かるようなお話までしていただきありがとうございました。今回、本記事が掲載されるのが「TV LIFE web」というエンタメ情報を扱うメディアになります。そこで、おふたりが読者のみなさんに推したいエンタメを教えていただければと思います。

長江:私、ドラマをすごく見るんですよ。新作ドラマはほとんど見ている気がします。中でも好きなのが『監察医 朝顔』(フジテレビ系)。

福山:あの、上野樹里さんが出ているドラマ?

長江:そうです、そうです! そのドラマの制作に関わったスタッフさんが集結した『PICU』(フジテレビ系)っていうドラマも大好きで。むやみやたらに奇跡が起こらないんですよ。医療系ドラマとしても、家族愛という点でも作品を楽しめて、すごく人間味のある内容なので好きですね。人生のためになる作品です。

福山:僕はアニメでもなんでもすべてのエンタメを推したい、みなさんに推してもらいたいなと思っていて。いまコンテンツの供給がすごく多いのですが、できれば身近なエンタメ以外も見てほしいです。舞台が好きな方はアニメなど、アニメが好きな方はドラマや舞台、ライブにも触れてみてほしい。エンタメって「情報」だけでは分からない、肌で触れてみて分かることがあるんですよ。自分のなかに作品を入れる喜び、この作品について語りたいという喜びが必ずあるはずなんです。

長江:今の時代はエンタメがあふれていて、時間が足りないのかもしれないですね。

福山:そう。足りないし、全部を網羅することなんて絶対にできない。だからこそ、より濃いものを探そうよって思うんです。今って、エンタメがコミュニケーションツールに変わってきているなという印象があって。楽しむ「娯楽」ではなくて、見たことによってコミュニケーションをとるというツールに変わってきた気がします。そういう意味ではどのジャンルにおいても、表層ではない部分まで語りたいというオタクが減ってきている気もします。ぜひ、みなさんには自分のオタク心をくすぐるようなエンタメを能動的に探してほしいなと思っています。

◆本日はいろいろとお話いただき、ありがとうございました。最後に、おふたりが思う本作の推しポイントを語っていただければと思います。

長江:ミツハは場面、場面に合わせて自身のキャラクターを変化させます。そこが演じるうえで大変なところでもありますが、コロコロ変わる彼女のキャラクター性が本作の面白い部分なので、ぜひ注目してください。

福山:タイトルを見れば、老後の資金を貯めるために異世界で頑張る物語なんだということが分かると思います。ただミツハが飄々としていることもあり、どうやって物語が進んでいくのか、なかなか読み取れない作りになっているんですよね。いろいろな人の手を借りて交渉したり、ちょっと非合法じゃないかという方向に舵を切ったり。清濁併せ呑む彼女が誰と出会い、どうやって異世界で奮闘するのかを楽しんでいただけたらと思います。

●text/M.TOKU

PROFILE

長江里加
●ながえ・りか…9月28日生まれ。青二プロダクション所属。主な出演作は『フレームアームズ・ガール』バーゼラルド役、『あそびあそばせ』オリヴィア役、『アイドルマスター シンデレラガールズ』久川颯役など。

福山潤
●ふくやま・じゅん…11月26日生まれ。BLACK SHIP代表取締役CEO。主な出演作は『コードギアス 反逆のルルーシュ』ルルーシュ・ランペルージ役、『中二病でも恋がしたい!』富樫勇太役、『ツルネ -つながりの一射-』二階堂永亮役など。

番組情報

TVアニメ『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』
ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネットANiMAZiNG!!!枠にて2023年1月7日より毎週(土)深夜2時〜放送

<STAFF&CAST>
原作:FUNA(講談社 Kラノベブックス 刊)
コミカライズ:モトエ恵介(講談社「水曜日のシリウス」連載)
監督:玉田博
シリーズ構成:稲荷明比古
キャラクターデザイン:福地友樹
アニメーション制作:FelixFilm
声の出演:長江里加、立花理香、前田佳織里、福山潤

©FUNA・講談社/「ろうきん」製作委員会

下記の「CTAボタン」を設定することで、ユーザーがスマートフォンで記事詳細ページを開いた際に「続きを読む」の下に「CTAボタン」を2つ追加できます。上段「CTAボタン」に設定したものは上に表示、下段「CTAボタン」に設定したものは下に表示されます。
2025冬ドラマ最新情報まとめ2024→2025 年末年始・お正月特番一覧