三代目 J SOUL BROTHERSが新章へ…その“序章”を二宮“NINO”大輔監督が描く「JSB3 LIVE FILM / RISING SOUND」

特集・インタビュー
2023年01月23日
「JSB3 LIVE FILM / RISING SOUND」

2023年より新章として本格始動する三代目 J SOUL BROTHERS。そんな記念すべき1年の幕開けに公開された映画「JSB3 LIVE FILM / RISING SOUND」は、今ではどこでも観ることのできない、2020年に彼らが開催したオンラインライブ4本の映像をリミックスしたものだ。

1月6日から先行公開を開始したドルビーシネマでは、特別な編集を施し、鮮明な色彩と幅広いコントラストを表現するDolby Vision®︎と、360度全方位に設置されたスピーカーから繰り出されるDolby Atmos®︎で、劇場内の全ての席でライブの“最前席以上の臨場感”を味わうことができる。

そんな本作で監督を務めたのが、「冬物語」(2014年)をはじめ、三代目 J SOUL BROTHERSの数々のMVを手掛けてきた二宮“NINO”大輔さん。長きにわたって彼らと歩みを共にしてきた二宮監督に、本作にかけた思いやこだわり、印象に残っているMVについてインタビュー。そして、二宮監督の思う、三代目 J SOUL BROTHERSの魅力とは―。


◆「JSB3 LIVE FILM / RISING SOUND」が1月6日にドルビーシネマ限定で先行公開、1月13日に全国公開されました。SNSなどでも大きな反響を呼んでいますが、あらためて公開された今のお気持ちをお聞かせください。

実は僕、(取材日の)2日前にお客さんとして映画を見に行ってきたんです。今まで自分がやったことのないことをやらせていただき、試行錯誤しながらも挑んだ結果、“本当に新しいものができたな”と感じています。公開された今、あらためて見ても、他に誰もやっていないことをやれたのかなと。

◆監督は、本作のオファーを受けた際、「プレッシャーがすごかった」「好奇心から挑んだ」というお話をされています。無事に公開された今、ご自身の中で本作への手ごたえは?

満足度で言えば100%です。ただ先程もお話したように、今まで前例がないことをやり、新しい魅せ方を追求していく中で、「もし2回目があれば、さらにこういうことができるんじゃないか」というアイデアも湧いて。もちろん、この作品でも僕が今持っている100%の力を出していますが、まだまだ進化できるなと感じています。

◆ドルビーシネマの良さをどのような部分に感じられましたか?

ドルビーシネマって、音がすごいというのはもちろん、“黒”を“本当の黒”として投影できる技術でもあるんです。というのも、テレビや映画を通して、僕らが“黒”として表現しているものって、モニターの反射や明るさで、実は“黒”ではなくなっているんです。なので、それをスクリーンに映した時に、スクリーンではない部分との間にどうしても境目ができてしまう。それがドルビーシネマは“本当の黒”を表現できることで、そこの境界線がなくなり、自分がまるでその空間の中にいるような感覚になれるんです。なので今回も、スクリーンを見ているというより、自分が会場にいるように感じていただけたら、と。

◆そのために既存のライブ映像から歓声を抜き出すのみならず、新たに歓声を収録し直したともお聞きしました。

はい。今回、この映画に収録されているのはすべてオンラインライブなので、あらためて皆さんにライブ会場に行っているような、なんなら曲によってはステージに一緒に立っているような感覚で見てほしいなと思っていたんです。数十人の方々に集まっていただいて、あらためて歓声を録ったのもこだわりですね。

◆監督が演出をされるに当たって、特にこだわった、こういうところを見てほしいという部分をあらためてお伺いしたいです。

“音”を体感してほしいというのはもちろん、それ以外のところで挙げると“セットリスト”。4つのライブを1つのライブにまとめるというのはなかなか無いことだと思いますし、今回、この映画のためだけに組んだスペシャルなセットリストなので。曲の順番だったり、最後に向けての盛り上がりというのはすごく意識して作っています。あと、これはファンの方に向けてなのですが、オンラインライブで公開されたところだけではなく、4公演をさまざまな角度から収めた全カメラの素材をつなげているので、当時は公開されていない素材も使っています。なので、メンバー1人ひとりの初めて見る表情などもぜひ楽しんでいただきたいです。

◆セットリストを組む際に“時間軸”を大切にされたと。メンバーのテンションをいかに自然につなげられるかということも重要視されたそうですね。

セットリストを組む際、僕と松竹さん、メンバーとで意見が分かれることもあったんです。それぞれのライブにテーマがあって、ストーリーが崩れてしまう可能性もあるので、1本のライブに絞ったほうがいいんじゃないか…とか。でも、スマホやパソコンといえども既にこのライブを見ている方が多い中で、普通に流しても面白くないですし、せっかくドルビーシネマでやるならスペシャルなものにしたい、と。そういう意見のすり合わせが何度も行われて、イチかバチかになるかもしれないけれど、いろんな素材を混ぜながら、1本のライブを見ているようなものを作ろうとなったんです。

◆その狙い通り、まるで1本のライブを見ている感覚になりました。

ありがとうございます。いざ編集が始まると、「この曲は最後のほうがいい」と思っていてもまだみんな全然汗をかいていなかったり、逆に「この曲は最初のほうがいい」と思ってもみんなすごく元気にしていたりと、いろいろ大変でしたね(笑)。そういった曲の入れ替えは、メンバー1人ひとりの表情を細かく見ながらやっています。

◆そして、三代目 J SOUL BROTHERSのファンの方以外の方が見ても楽しめる作品になっていますよね。

今回、三代目のファンの方に喜んでいただけるものを作るというのを大前提として考えていたのですが、三代目のライブをドルビーシネマで見られる初の試みというのもあり、ファン以外の方々に見てもらいたいという思いもありました。なので、そういった方々にも受け入れられやすい音や聞いたことのある曲を、ということも意識しています。あと、4つのライブをミックスしていることでどうしても曲と曲のつなぎ目がバラバラになってしまうので、ライブやミュージックビデオ、映画という、3つの要素が混ざったようなエフェクトを入れたりしていて。ライブはもちろん、そういった面でも楽しんでいただけるのではないかなと思っています。

◆監督は、本作の思い入れの深い場面として以前「R.Y.U.S.E.I.」を挙げていましたが、既に何回かリピートされている方に対し、ここに注目してほしいという仕掛けがあれば教えて下さい。

なんだろう…。でも、「Summer Madness」で“音をふんだんにぐるぐる360度回している”というところですかね。“音サビ”と言って、歌がない音だけのサビの部分があるんですけど、このときは特に音をぐるんぐるん回していて、この曲が一番ドルビーの音の良さを感じていただけるんじゃないかなと。この映画は席によって音の感じ方が全然違ってくるのですが、「Summer Madness」はぜひど真ん中の席に座って堪能してほしいです。思わず「おーっ」っと声が出るくらい、ぐるんぐるん音が回るのを楽しめると思います。

◆ぜひ、一度はど真ん中の席で見ていただきたいですね。

あと、ライブ中の映像ではないのですが、エンディングは僕が想像していた以上に“エモい”映像になりました。ライブでガッと上がった皆さんのアドレナリンをいい感じに次につなげるような、次の展開へのバトンを渡す役割ができていると思っているので、最後の最後まで見ていただけるとうれしいです。

◆そんなエンディングを彩る、本作の主題歌「この宇宙の片隅で」は、メンバーのØMIさんが作詞・プロデュースを手掛けられていますが、初めて聞かれた時の印象はいかがでしたか?

実は、結構びっくりしたんです。この曲のMVの監督も僕がやっているのですが、去年の秋頃にお話をいただいて。約1年を経て、新章に向けて本格始動するということで、アッパーな曲がくるのかなと思っていたのですが、「うわ、こっちか! そう来るんだ!」と。でも、三代目の曲の中で一番聞き込んでいるかも、というくらい、メンバーの思いが詰まっためちゃめちゃいい曲ですよね。2月に「STARS」というシングルが出ますが、そこに対してのアプローチというのはもちろん、この映画の主題歌としてもグッと感情を高めてもらえる、本当にぴったりな曲だなと感じています。

◆この映画は三代目 J SOUL BROTHERSが“2023年から新章に突入するその序章”とも謳われていますが、監督はその立ち位置をどのように捉えていますか?

公開前にこの映画をメンバーたちと見る機会があったのですが、見終わった後に彼らから出た言葉が「やっぱり三代目って曲いいね」だったんです。僕もそう思っていたのですが、彼らからもその言葉がポロッと出てきたくらい、あらためて三代目の良さを認識させられる映画になったなと。彼らが再びスタートダッシュを切るに当たって、そういう価値のあるものを“序章”という立ち位置で提示することができるというのは、とても誇らしく思います。

◆「冬物語」(2014年)のMVをきっかけに、これまで三代目 J SOUL BROTHERSの皆さんの歩みを見つめてきた二宮監督が思う彼らの魅力とは?

音楽的な部分はもちろん、“色気”のすごさですよね。あの色気というのは他のアーティストさんにはなかなか出せないなと思いますし、どんなにポップでアッパーな曲をパフォーマンスしても、そこににじみ出る色気がある。一緒にお仕事をしているからとかではなく、どのようなアーティストさんを見ても、僕は色気と言えば「三代目」と答えます。出会った時からどんどん色気が増していきますし、ついていきたくなる魅力があるといいますか。ずば抜けて色気のあるアーティストさんだなと思っています。

◆監督が今まで手掛けられた三代目 J SOUL BROTHERSのMVの中で、特に印象に残っているものは?

まず、僕の中で勝負をかけたといいますか、“NINO”の演出が活きる、僕の好きな世界観を存分に表現するべく臨んだのが「Feel So Alive」(2016年)です。和とストリートを混ぜた世界観を表現してみたいとずっと考えていて、それが三代目でできたらめちゃめちゃカッコいいだろうなと思っていたのですが、それをそのまま形にさせてもらえたのが「Feel So Alive」でした。

◆確かに、それまでの三代目 J SOUL BROTHERSとはまた違った魅力が詰まったMVになっていると思います。

あと僕、「華麗なるギャツビー」(2013年)の世界観もすごく好きで、色気という面でも三代目でいつかやりたいなと思っていたんですけど、「HAPPY」(2017年)でその世界を表現させてもらって。この2曲は、メンバーにも楽曲にも、撮影にもたくさん思い出があります。

◆監督の知る、カメラに映らない三代目 J SOUL BROTHERSの素顔を教えて下さい。

そうですね…。皆さんテレビやライブなどで見る姿そのままで、何も作られていないんです(笑)。メンバー内で似ているキャラクターがいないので、とてもバランスが取れているなと思いますし、みんなずっと仲もいいですね。

◆今後、三代目 J SOUL BROTHERSとやってみたいことはありますか?

あるんですけど、まだ言えないです(笑)。「このタイミングでこれで勝負しよう」という引き出しをいくつか作っていて、メンバーともたびたび話をしているので、ぜひ楽しみに待っていてください。

◆監督は昨年9月に公開された「HiGH&LOW THE WORST X」で初めて映画の総監督を務められていますが、こちらの挑戦についてはいかがでしたか?

「HiGH&LOW」って、日本の映画の中でも超大作だと思うんです。これまで久保茂昭さんが監督として世界観を作り上げてこられた中、僕がやらせていただくというのは正直すごく不安もありました。映像をやっている人って、きっと誰もが「いつか映画の監督をやりたい」というのを夢に描きますし、そのお話をいただけたのはとてもありがたいこと。ただ、「HiGH&LOW」にはたくさんのファンの方がいて、作品のクオリティを絶対に落としてはいけないというところで、映画をやられている方とタッグを組みたいとお願いして、平沼紀久さんと一緒にやらせていただくことになりました。平沼さんには映画監督としてのアドバイスを受けながら、協力し合いながらやらせていただいたんですけど、映画って本当に映像の極み、最終地点だなと思いました。やっぱり、映画はすごいですね。撮影中はもちろん、出来上がって上映してからのことも含めて、映像の究極だなと思いました。今後もチャンスがあれば、少しずつでも携わっていきたいです。

◆今の話ともつながりますが、監督が今後挑戦してみたいことは?

これよく聞いていただくのですが、僕、病気なんじゃないかっていうくらい多趣味なんですよ(笑)。映像の監督でこんなにいろいろやっている人いないんじゃないか、というくらい既にいろいろなことをやっていて。なので僕、自分の名刺も「ディレクター」ではなくて「エンターテイナー」と書いているんです。人が喜んでいるのを見て自分もうれしくなるタイプの人間なので、映像に限らず、今後も常にケガする覚悟で皆さんに喜んでいただけることをしていけたらと思っています。

●text/片岡聡恵

PROFILE

二宮“NINO”大輔(NINOMIYA DAISUKE)
1982年生まれ、東京都出身。SMAP、安室奈美恵、浜崎あゆみ、三代目 J SOUL BROTHERS、Kis-My-Ft2、K-POPアーティストなどさまざまなジャンルのMVを手掛ける。TVCMのほか、2022年には「HiGH&LOW THE WORST X」にて監督デビューを飾るなど、活躍の幅を広げている。

作品情報

「JSB3 LIVE FILM / RISING SOUND」
2023年1月6日(金)ドルビーシネマ限定・先行公開
2023年1月13日(金)全国公開

監督:二宮“NINO”大輔
出演:NAOTO、小林直己、ELLY、山下健二郎、岩田剛典、今市隆二、ØMI

<スペシャルリミックス素材>
・LIVE×ONLINE(2020年7月7日)
・LIVE×ONLINE IMAGINATION(2020年9月26日)
・LIVE×ONLINE INFINITY~JSB HISTORY~(2020年11月10日【デビュー10周年記念】)
・LIVE×ONLINE BYOND THE BORDER 三代目 J SOUL BROTHERS ~Xmas Party~(2020年12月24日)

企画協力:LDH JAPAN ©rhythm zone
製作:松竹
配給:松竹 / 松竹ODS事業室

公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/jsb3livefilm
公式Twitter:https://twitter.com/jsb3_livefilm

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